シンガーソングライターのアナシス・ミッチェルの書いたアルバム「Hadestown」を元に作られたミュージカルです。ストーリーは、ギリシャ神話の「オルフェスとエウリュディケ」を現代アメリカに置き換えたもので結末も全く同じだと知っていたので、少々斜に構えて観ていたのですが、あっという間に話しに引き込まれました。主役のオルフェスを演じたリーブ・カーニーは「ミュージカル・スパイダーマン」のタイトルロールで、エウリュディケを演じたエヴァ・ノブレザダは「ミス・サイゴン」の再演で、トニー賞にノミネートされたことがあるようですが、この二人の印象はかなり薄いです。
というよりは、各シーンごとに主役が入れ替わり、それをアンディ・デ・シールド演ずるエルメスが、狂言回し的につなげていくという構成でできていて、そのバランスが実に見事です。
演出のレイチェル・チャブキンは、「ナターシャ、ピエールとグレイトコメット1812」の演出でトニー賞にノミネートされて、今回は見事、ミュージカル演出賞を取りました。エルメス役のアンディ・デ・シールドはベストミュージカル助演男優賞を取りましたし、アナシス・ミッチェルはベスト作曲賞を受賞しました。そして、作品自体もベストミュージカル作品賞に輝きました。こうしてみると、素晴らしいと思ったところがすべて受賞していることになります。昨年の「バンドビジット」の受賞の時も思いましたが、自分が観て感動した作品がトニー賞を取るのは本当に嬉しいものです。
この日は夜トニー賞授賞式の放送があり、見ていたのですが最後のベストミュージカル賞の発表に合わせて登壇してきた大勢の中に、マチネーの客出しをしながら、「トニーを取りに行くぞ!」と叫んでいたタキシード姿の男性がいたのが印象的でした。。
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