2018年5月25日 20時開演 Vivian Beaumont Theater
リンカーンセンターは、独自のセレクションでミュージカルのリバイバル公演をおこなっており、「南太平洋」や「王様と私」、始まってすぐ退席した「回転木馬」もここで見ました。
この劇場の大きな特徴は、舞台から見て客席がほぼ180度に広がっており、客席に半円の張り出し舞台が突き出ている構造になっています。この張り出し舞台の下はオーケストラピットになっており、張り出し舞台は奧にスライドすることで、オーケストラピットが見渡せるようになります。
過去の公演では、客入れ時にオケピットが開いていてオーバーチェアを演奏し、その後しまる。もしくは、休憩中に開いて2幕の頭の演奏するオケが見える。のどちらかの演出が必ずありました。
しかし今回は、張り出し舞台の上に大きな盆が組まれていて開きそうにもありません。どうなることかと思って見ていたら、2幕の幕が上がった途端、上手から大きなバンド台が出てきて、その上にフルオーケストラが乗っていました。思わず、笑ってしまいました。
無事、伝統は守られました。
もう一つ、この劇場で不思議なのは舞台装置です。様々な演目に合わせて様々な装置が作られるわけですが、どれも見切れの多い、まるでフルセットを計画したが予算と時間の都合でメインを残して細部をばっさりカットしましたと言わんばかりの姿に見えることです。多分、客席が180度近くに開いているため、かなりの客席から袖中が見えてしまうが、それに細かく対応していると役者のハケや転換ができなくなるので、その対応はばっさりやめた結果だと思います。
さて、肝腎の今回のミュージカルですが、My Fair Ladyといえば映画のオードリーヘップバーンのイメージが強くて、ついつい比べてしまうのですが、比べてしまえば、「残念です」としか言えない状況になります。
特に、訛りも直って舞踏会に出る前夜、正装して登場したイライザが全然キレイに見えないのは、このミュージカル最大の見せ場で滑っているとしか思えないので、誠に残念です。
今の時代性を反映して、訛りを直すのも舞踏会に行くのも、その後のこともイライザが自分の意志で決めていくという演出になっています。
それにしても、ヒギンス教授がほとんど唄わず、リズミカルに喋るだけというのは映画以来の伝統なのでしょうか。
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