
日本人としての興味はどうしても、王様役の渡辺謙の演技ですが、これは微妙なものがあります。シャムの王様といえば、日本人にとってもエキゾチックな物だと思うのですが、渡辺謙の演技は、けしてうまいとはいえない英語を喋りながらくさい芝居をしているとしか見えません。しかし、ケリー・オハラとのダンスシーンはとても素敵だったので結果、よかったのではないでしょうか。
芝居のラスト近くで、シャムの補佐役が苦々しくつぶやく、「She destryed KIng」という台詞に象徴しているように、この芝居には西洋文明が東洋を滅ぼしていくというストーリーが基本的に流れています。そしてそれを肯定しています。初演当時はそれでよかったのかもしれませんが、現代に上演するときにはそれでよいのでしょうか?
同じリンカーン・センターのリバイバル・シリーズとして上演された「南太平洋」の人種差別の扱い方の時も感じたのですが、さしたる反省もなくそのまま上演する体制は疑問が残ります。
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