2015年6月15日月曜日

NewYork 2015 No.4 Broadway Musical 「Finding Neverland」

2015年6月13日 20時開演 Lunt-Fontanne Theatre
「ピーター・パン」のJ. M. バリーの「ピーター・パン」を書き上げるまでを,背景とともに描いたミュージカルです。原作はジョニー・デップ主演の映画だそうですが、そちらは見ていません。
なかなか台本が書けないJ. M. バリーがピーターパンの基になる少年と公園で知り合い、その自由な発想に刺激を受けて「ピーター・パン」を書き上げ、劇場主や役者のクレームをはねのけて、上演までこぎ着ける。19世紀のイギリスの階級社会の重圧の中で、自由を求めた男の話でもあるし、J. M. バリーの半生記でもあります。
主役のJ. M. バリーを務めたのは、テレビ番組「GLEE」で先生役を務めたマシュー・モリソンで、そんなことを知らない私は、彼が最初に現れたときの客席のどよめきと拍手にびっくりしました。歌もうまいし、芝居も達者でただ単に客寄せのためにキャスティングされたのではないことを証明していました。もう一人、相手役の劇場主を演じたのがケルシー・グラマーで、彼は1993年からアメリカの人気テレビ番組「そりゃないぜ!?フレイジャー」で主役を務めた人物で、当時最高額のギャラをもらっていたことで知られていました。彼も初登場の時には、マシュー・モリソンに劣らぬ拍手をもらっていました。相手役がよいと芝居に広がりと深みが出ます。そこが、「Kinkt Boots」との差になって表れていました。
1幕の最後、J. M. バリーの妄想の中でケルシー・グラマーがフック船長となって現れ、大立ち回りから舞台が海賊船に大転換するところなど、最高でした。
演出は、昨年のトニー賞で最優秀ミュージカル演出賞を取ったダイアン・ポーラスで面白くないわけがありません。子供にもわかりやすい小ネタのばらまき方や、スピーディな転換など,見所満載です。
劇中のフライングシーンも,19世紀という時代背景を考えれば当然ですが、人力で,それがかえって新鮮でした。この制作チームは、これがブロードウエイ初作品と言うことで、かなり力が入っており、プロジェクションマッピングの技術の高さも驚くべきものがあります。
2幕のラストでは、風の力だけできらきら光るフェアリー・ダスト(ラメ)とウエンディのナイトガウンが舞い踊り、母親の死を象徴する見事なシーンが見られました。この技術は、「Air Sculptor(空気の彫刻)」という名称で,担当者がクレジットされていました。
今年のトニー賞のミュージカル作品賞を取った「Fun Home」もそうですが、「Rent」以降、「Next To Normal」など、現実を直視したミュージカルが高く評価される傾向があるようですが、私には納得いきません。
ファンタジーが現実を超えないでどうする。ミュージカルはファンタジーであることに価値があると思います。

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