どうしても薄っぺらになる歌と踊りは、大人の役者が子供の扮装して参加して厚みを出し、区別のつきにくい子役同士は、人種、性別のバラエティを豊富にすることで、キャラクターを明確にしています。主役のマチルダは子役の中でも一番小さく、念力が使えるという設定なので、顔つきも神秘的な要素を感じさせるインド系の顔で、他の子役とは一線をかくしていました。
それだけの配慮をしても、見え方が単調になるのは、避けられませんでした。どうしても、悪役の学園長や、軽薄なマチルダの両親の方が印象に残ってしまいます。
Motown The Musicalほどではないにしろ、ポピュラー音楽を題材にした作品は、どうしても歌物真似大会になってしまうのは仕方がないことなのでしょうか?
10月28日の夜にMusic Box Theatreで、2013年度のトニー賞リバイバルミュージカルアワードを受賞した「Pippin」を見ました。トニー賞を受賞しただけのことはある、見事な出来栄えでした。緞帳が開いた瞬間、サーカスの世界観がしっかり構築されていることが感じ取れ、その上でPippinの成長譚が語られていきます。勇者になろうとしたり、王様になろうとしたり、その過程が、サーカスらしいアクロバットやトリックを使って、わかりやすく展開します。最後に普通の愛にめざめ、衣装もメイクも伴奏もなしで、愛する彼女とアカペラで歌い、静かに去っていきます。しかし、彼らの子供は、一人残り、サーカスの内部や道具を愛おしそうに撫でて、Pippin達とは別の方向に去っていきます。ここは、私の想像では、再演にあたって、新たにつけくわられた演出のように思えました。虚構が簡単に現実を乗り越えてしまう現代では、単に虚構を拒否するだけでは話は済まないと思うからです。
Public Theatreの3階の、ちょうどザ・スズナリぐらいのスペースで、イメルダ・マルコスをモチーフにしたミュージカルを見ました。元Talking HeadsのDavid Byrneが製作に加わっているのが主な動機でした。長手方向の手前と奥にステージがあり、壁沿いにステージを繋ぐ通路があり、部屋の真ん中にもぐるぐる回るステージがあります。観客は、スタッフの指示で動くステージをよけながら、様々なところで行われる芝居を見たり、一緒に踊ったりする趣向です。最近、
今年のトニー賞のミュージカル作品賞を取った「Gentlemaen's Guide To Love & Muder」を見ました。
Wickedでトニー賞のミュージカル主演女優賞をとり、一躍注目を浴びたIdina MenzelがNext To Normalのクリエーターチームとタッグを組んだ注目の作品なのだそうですが、圧倒的に目立つのは、Menzelの歌唱力。彼女が歌い出すと、もうそれだけで十分で他に何も必要ないだろうと思えてしまいます。歌手としての実力に加えて、役者としての説得力も兼ね備えた、希有な存在です。
夜は、「On The Town」をLyric Theatreで見ました。ニューヨークに来る直前に、ジャニーズの坂本昌行、長野博、井ノ原快彦の三人でやった日本初演の仕込についたので、本場ではいかがと見てみることにしました。
これは、モータウンの創始者、ベニー・ゴーディの自伝を基にした、モータウン25周年までの歴史のミュージカルにした物です。
まず、驚かされたのは、空港のチェックインシステムです。Web上で予約したのですが、当日までボーディングパスが送られてくるわけでもなく、不安に思っていたところ、現れたのはATMのようなマシーン、これにパスポートをかざしてからいくつかの質問に答えていくと搭乗券を発券してくれるというシステムでした。何となく今までのように行き先別のカウンターでチェックインというイメージでいた私は、どうしてよいかわからず係員に聞いてしまいました。確かにこのシステムなら行き先別のカウンターは不要になり、効率的です。後は、手荷物カウンターに荷物を預けるだけです。
出発前、最後の食事はウナギのだし茶漬けにしました。帰ってくるまで、和食は食べないつもりです。
機体は、ボーイング777-300シリーズです。エコノミーでも前部座席の背面に液晶ディスプレイが付き、映画などがオンデマンドで見られます。おかげで、日本のライトノベルが原作の「オール・ユー・ニード・イズ・キル」、邦画の「超高速!参勤交代」、「トランスフォーマー/ロストエイジ」の3本も見てしまいました。
夜はこの旅最初のミュージカル、「Cindella」をBroadway Theatreで見ました。
東京芸術劇場の芸術監督である野田秀樹の作品を若手演出家が演出するシリーズがあるそうで、この「小指の思い出」もその一つらしいです。
ナイロン100℃の芝居も「デカメロン」、「百年の秘密」に続いて三本目になりましたが、私にはどうしてもこの劇団の芝居が面白いとは思えません。何か、芝居の前提条件と言うか基本的な認識が違っているような気がします。TwitterやBlogで激賞している記事を時々見かけますが、それらを読んでも今ひとつピンときません。
1年ぶりのGood Morning No.5は、タイトルにもあるとおり三本立てという暴挙でご機嫌伺いに来ました。初見の衝撃が薄れると、面白さより段取りの悪さが目につきます。この手の芝居にそのようなことをいうのも野暮ですが、三本だての無理がたたって転換のドタバタなど、練習不足がが気になりました。2回目ともなると、みんな宙づりが好きなのねとか、野口かおるは裸になるのが結構好きみたいとか、MINAKOはダンサーで話芸はないのねとか、いろいろわかってきます。わかった上で、また見たいかといわれると、微妙なところでしょうか。