2014年10月12日日曜日

東京芸術劇場プロデュース「小指の思い出」

2014年10月2日 14時開演 東京芸術劇場プレイハウス
作:野田秀樹
演出:藤田貴大
出演:勝地涼、飴屋法水、青柳いづみ、山崎ルキノ、川崎ゆり子、伊東茄那、小泉まき、石井亮介、斉藤章子、中島広隆、宮崎叶夢、山内健司、山中崇、松重豊
Musician:青葉市子、Kan Sano、山本達久
東京芸術劇場の芸術監督である野田秀樹の作品を若手演出家が演出するシリーズがあるそうで、この「小指の思い出」もその一つらしいです。
受ける方にしたらかなり困難がともなう企画で、なにしろ今や大御所の野田秀樹ですから、ままじ好き勝手なことができるわけもなく、自分色を出し過ぎるわけにもいかず、案配の難しいところだったと思います。
藤田貴大は、実に真面目にに取り組んだと思います。ひょっとしたら、真面目に取り組みすぎたかもしれません。
真面目に取り組んだ結果、明らかになったのは、野田演劇の特徴と魅力は、早口の台詞回しと、野田の特徴ある声に追うところが大きいことがわかります。早口と声色を除いてみると、戯曲の構造は結構唐十郎に似ていること。同じ台詞を繰り返すところが多々見られるが、同じように見える繰り返しでもマームとジプシーと野田作品では全く違うこと。野田作品では、極論すると観客をあおるために繰り返しているように見えるが、マームとジプシーでは、繰り返し自体に意味を見つけ出しているように見えます。
藤田貴大は、野田秀樹から見ると、間に平田オリザを挟んで孫にあたる世代だと思いますが、何かを継承しているようには見えません。大きな意味で言えば、同じ日本で芝居をしているのですから、見たことくらいはあるでしょうが、影響を受けて芝居を造っていった形跡はないと思います。そして、それはとてもよいことだったと思います。

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