2014年10月28日火曜日

「Pippin」

10月28日の夜にMusic Box Theatreで、2013年度のトニー賞リバイバルミュージカルアワードを受賞した「Pippin」を見ました。トニー賞を受賞しただけのことはある、見事な出来栄えでした。緞帳が開いた瞬間、サーカスの世界観がしっかり構築されていることが感じ取れ、その上でPippinの成長譚が語られていきます。勇者になろうとしたり、王様になろうとしたり、その過程が、サーカスらしいアクロバットやトリックを使って、わかりやすく展開します。最後に普通の愛にめざめ、衣装もメイクも伴奏もなしで、愛する彼女とアカペラで歌い、静かに去っていきます。しかし、彼らの子供は、一人残り、サーカスの内部や道具を愛おしそうに撫でて、Pippin達とは別の方向に去っていきます。ここは、私の想像では、再演にあたって、新たにつけくわられた演出のように思えました。虚構が簡単に現実を乗り越えてしまう現代では、単に虚構を拒否するだけでは話は済まないと思うからです。
演出的には、4人のアクロバットダンサーと他のアンサンブルの間に違和感がなく、見事な一体感で話を進めていく演出が素敵でした。

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