2019年6月1日土曜日

ナショナルシアターライブ「英国万歳!」

2019年5月31日 20時25分開演 TOHOシネマズ川崎
昨年暮れにナショナルシアターライブの存在を知り、それ以来、機会があるたびに見にいってます。
「フォーリーズ」、「マクベス」、「ヴァージニアウルフなんて怖くない」、「リア王」、「オーディエンス」、そして今回の「英国万歳!」を観ました。
その特徴といえば、まず、なんといっても芝居がとてもうまい。役を十二分に理解して、それを体全体を使って表す技術、経験、才能、感性は言葉の壁を越えて引きつけられるものがあります。また、映像になることで、演出が再構成されわかりやすいものになっているのも見やすい理由のひとつです。
外国カンパニーの来日公演と違い、字幕が画面の中にあるので視線を動かさなくても読めるのも、集中が途切れなくてよいです。
実は私はシェイクスピアが苦手で、その理由のほとんどはあの壮大で華麗な、大げさでひたすら長い形容詞のせいなのです。特に日本語化されたものを喋られると、どうしても「お前は日頃、そんな風に喋ってないだろう。」と思ってしまい、リアリティを感じられません。ところが、ナショナルシアターライブだと、「英語なので意味がわからず、気にならない。」、「芝居がうまいので、感情は十分に感じることができる。」、「字幕でおおよその意味は理解できる。」となるので、シェイクスピアも最後まで観られます。私にとっては、最高のシェイクスピア観劇です。
シェイクスピアに限らず現代劇でも、「ヴァージニアウルフなんて怖くない」などは、朝まで続く壮絶な夫婦けんかの話で、日本の役者で演じたら、どんな組み合わせの役者でもギスギスした感じが先行して最後まで観るのがつらいだけになりそうですが、ナショナルシアターライブでは、最後まで集中が切れず、見終える事ができました。
見ている者を映像を通してさえ、劇空間にひきずりこんでしまう演技力は、次元がちがうとしかいいようがありません。
写真は「オーディエンス」のチラシです。

2019年5月28日火曜日

Newyork 2019 準備編1

2019年5月28日
2015年、2018年に続いて今年もニューヨークに行くことにしました。最大の目的はブルックリンで行われるSnarky Puppyのライブです。
今年の頭にスケジュールが発表になって、すぐチケットを予約しました。その後、4月に川崎でライブがあり、それを観てもう一度体験したいと思い、行くことを決心しました。
前回、前々回の反省点は滞在場所です。前々回がクイーンズ ウッドサイド、前回がアストリア、両方ともマンハッタンの外でした。ニューヨーク行きの12回以上となると、一日中予定を考えて、外出していることはなくなります。夜のミュージカルを中心に、空いている時間に面白そうな展示をしている美術館に行く程度です。必然的に、滞在先の周辺で過ごす時間が多くなります。そうなると朝食ひとつとっても、マンハッタンの外では、選択肢が少なすぎます。マンハッタンだからといっておいしいわけではありませんが、せめて色々なお店にチャレンジでもできないと、それだけでストレスが溜まります。
何度も泊まっているヴィレッジハウスのイーストビレッジにしようと思ったのですが、長期予約でも入ったのか今年1年埋まっているので、Airbnbで見つけたイーストビレッジのアパートにしました。暇があるとYelpで周りのお店を検索してイメージトレーニングをしています。
ミュージカルのチケットの予約もほぼ終わりました。観たいミュージカルをすべて観ても、3週間で終わるので、ラスト1週間はもう一度みたいしたいミュージカルを観るつもりです。

地点『シベリアへ!シベリアへ!シベリアへ!』

2019年5月27日 19時30分開演 神奈川芸術劇場中スタジオ
演出:三浦基
テキスト:アントン・チェーホフ
ドラマトゥルク:高田映介 
監修:中村唯史 
出演:安部聡子 石田大 小河原康二 窪田史恵 小林洋平 田中祐気
チェーホフのシベリア旅行に関するテキストを再構成した作品です。
当日パンフレットの演出ノートにも書いてありますが、ストーリーがあるわけでもなく、感情移入できるキャラクターがあるわけでもないので、なかなかつらい1時間半でした。なにしろ全員いっていることが同じで、「いつまで経っても到着しない。馬車飽きた。つらい。」だけなので、見ている方もつらいです。なにか大きな目標に攻撃を仕掛けている感覚はあるのですが、目標にダメージを与えている感じはおろか、目標が何なのかも見えてきません。もどかしい感覚だけが残ります。

2019年5月27日月曜日

劇団かもめんたる第7回公演 「宇宙人はクラゲが嫌い」

2019年5月14日 19時開演 赤坂見附レッドシアター
作・演出:岩崎う大
出演:かもめんたる(岩崎う大・槙尾ユウスケ)、八嶋智人(劇団カムカムミニキーナ)、 
長田奈麻(ナイロン100℃・劇団かもめんたる)、小椋大輔(劇団かもめんたる)、 
森桃子(劇団かもめんたる)、土屋翔(劇団かもめんたる)、船越真美子(劇団かもめんたる)、佐久間麻由、四柳智惟(ピーチ)、増澤璃凜子、森田ひかり(虚構の劇団)
お笑いの人がやる芝居というところに興味をひかれて観にいきましたが、結果は残念の一言です。
作・演出の岩崎う大は真面目な人だと思うのですが、各シーンの細かいところまでこだわりすぎるのか、テンポがあまりにも悪すぎて観ていてつらくなります。岩崎自体の持ち味は、小声でひねくれた感想をボソッと言うところにあると思うのですが、それが生きてくる場面が少なすぎてつらいです。
八嶋智人の参加も、プラスになっているとは思えません。さすがに声は出ているし、芝居もダントツでうまいのですが、他の役者が下手すぎて一人だけ浮いてしまい、逆に観ているのがつらいです。

2019年5月8日水曜日

オーディオ熱再発2019 DAC 編

2019年5月8日
ごちゃごちゃして見にくいですが、上の白い筐体がAntyropeのSlver Box。その下の黒いのが、メインで使っているMytekのDAC 192 DSD Mastering Versionです。
その下の段の上がSingxerのDDC SU-1、その下がPS-AudioのNew Wave DACです。
DACも色々試しましたが、今のところこの3台が残りました。
Mytekは音の中身が詰まっていて、低域から高域まで厚みがある音が魅力的です。Fire-Wireでつないでいます。
Slver Boxは広域のきれいな音がします。New Wave DACはクールでパンチのある音です。
この2つは、SU-1経由で、Slver BoxはS/PDIF、New Wave DACはI2Sでつないでいます。

無教訓意味なし演劇vol.10「純喫茶"味噌夢"~蜘蛛でもわかるアクリル製色即是空~」

2019年5月3日 19時開演 学芸大学千本桜ホール
作・演出 :大谷皿屋敷
出演:かませけんた、三葉虫オーディンみどり、東野良平、フルサワミオ、武内慧、hocoten、佐藤一馬、坂菜々子、大宮二郎(コンプソンズ)、シオザキ(シオちゃんハセちゃん)、今村圭佑(Mrs.fictions)、徳橋みのり(ろりえ)
Twiter上で評判になっていたことと、独特な手書きのチラシに惹かれて、見にいきました。
芝居は短いシュールなコントのような芝居を暗転でつないでいくというかたちで進んで行きます。最初のうちは、短いコントの様々な魅力、爆笑だったり、苦笑いだったり、オチのなさに唖然としているうちにゆっくり暗転していく様が面白かったのですが、さすがにこれで2時間は長いです。途中で飽きてきます。その上、後半にいくほどストーリーを終わらせるために説明的な台詞が増えざるを得ないので、コントのインパクトも薄れてしまいます。
言葉を選ぶ感覚は、ペダンチックにならずにわかりやすい言葉を選び、適当にくすぐりも入れて話を進めていく力はたいしたものだと思いましたが、暗転つなぎの単調さを超えられませんでした。

2019年5月4日土曜日

オーディオ熱再発2019 プリアンプ編

2019年5月4日
プリアンプも整理しました。残ったのは、中段にあるガレージメーカーのChris kitのプリアンプMark Ⅳ Custum。かなり古いもののようですが、詳しくはわかりません。手に入れたものは、コンデンサーや抵抗が新しいものに交換されていました。
下段の上は、SoundcraftのPro-trackerという小型のミキサーです。外部電源が使えるように改造してもらいました。
下段の下は、同じくガレージメーカーのマツオサウンドのプリアンプです。Chris kitとマツオサウンドは真空管プリアンプです。
音色は、マツオサウンドは明るくブリリアント、Chris kitはおとなしめの渋いとでもいったらよいのか、あまり上下に伸びている感じはしないのですが、よい音です。Pro-trackerは、明るく乾いた音色で力強いです。外部電源にしたら、一層力強さが増しました。
下段の最上部は、パッチベイです。個々で、DAC、プリアンプ、パワーアンプの組み合わせを変えて色々な音を楽しんでいます。

2019年4月27日土曜日

オーディオ熱再発2019 パワーアンプ編

2019年4月27日
約1年ぶりになるオーディオに関するブログです。LUXMAN B-1を購入した後もちょこちょこと色々なものを買っていましたが、あまりにも部屋が狭くなってきたので今年に入ってから少し整理することにしました。その結果、パワーアンプに関してはやっと一段、落ついたところです。
残ったアンプは、最上段左のBRYSTON 3B、右が真空管プリメインPrimaLunaのMystere 1A11、次の段の左がALTEC 9440A、右の1Uサイズの上がHafler P-1000、下がPeaveyのCS-200Xです。
さらに下の段の左がUREIの6250で、右がJBL/UREIの6230です。最下段は左がAccphase PRO-30で、右はLJPのTPA-100というスタジオモニター系のアンプです。真空管のMystereを除いて業務用、モニター用のアンプになってしまいました。上から下までまんべんなく再生してくれるアンプにあまり興味が持てず、個性的な音が出るアンプを残りました。
いま一番のお気に入りはALTEC 9440Aで、明るく華やかではあるがうるさくない高音、充実の中音、よくでるが決して重くならない低音という「よい音」を絵に描いたようなアンプです。その「よい音」を再確認するために、他のアンプをならしてみるというような状況です。欠点は、冷却ファンの音が結構うるさい事です。現在は、出力を40%に押さえてファンを止めています。このまま夏が乗り切れれば嬉しいです。
UREIの6250は最初に買ったヴィンティージアンプで、少しもこもこした低音と丸い中音が魅力的です。
JBL/UREIの6230はUREIがJBLに合併されてすぐのアンプで、高音がきれいです。
LJP TPA-100はJBLとの合併を機にやめた技術者が、録音スタジオ向けに作ったアンプで、私の所有する唯一のAクラスアンプです。独特のどろどろした低音は他では聞けません。
Accphase PRO-30は、コンシューマーむけのAccphaseのアンプと違い、骨太な音が全域で出ますが、私の好みからすると少し低音が弱いかもしれません。
BRYSTON 3Bは最近手に入れたアンプで、これも結構古いものですが、低音から中音に書けて身の詰まったいい音がします。
Hafler P-1000はモニター系の固めの音質ですが、ただ固いだけでなく音楽的な音がします。
PeaveyのCS-200Xはこの中では一番癖のないアンプかもしれません。ただ、上流のプリアンプやDACの癖をわかりやすく出してくれるので、聞き比べの時に重宝しています。
これ以外に、現在メンテナンスをお願いしているSoundcraftのSA-600というアンプがあります。7月くらいには戻ってくるので、そろったらまた整理を考えようと思っています。

2019年3月16日土曜日

ベッド&メイキングス「「こそぎ落としの明け暮れ」

2019年3月15日 19時開演 東京芸術劇場シアターイースト
作・演出:福原充則
出演:安藤聖、石橋静河、町田マリー、吉本菜穂子、野口かおる、島田桃依、葉丸あすか、佐久間麻由、富岡晃一郎
前作「新しいエクスプロージョン」を見逃したので、久しぶりのベッド&メイキングスでした。岸田戯曲賞受賞以後、最初の新作であり野口かおるが出演すると言うことで結構期待して見にいきました。
ストーリーは、自殺するのではないかと心配する妹と妹に信じてもらいたい姉の話と、蜘蛛に恋して近くにいたいために害虫駆除を続ける女の話と、その間をつなぐ幻の女性を様々な女の中に見て、次々と女をくどき続ける男の話の3つのストリーが展開していく。それぞれの話は面白いのだが、その絡みがよくわかりません。普通に考えると女の話は逆のベクトルで同じ事を話し、男の話がそのブリッジになると思うのですが、その関係がよく見えません。
さて野口かおるはといえば、相変わらずのかおる節で快調なのですが、何しろ猛獣なのでやはり猛獣使いが必要です。今回で言えば相手役の富岡真一郎ですが、その役割を果たすことができないのかやる気がないのかわかりませんができていないので、かおる節はことごとく不発に終わりました。
シリアスに台詞を言えば、安物の刑事ドラマのパロディみたいだし、感性の発露は、「うほっ、うほっ」というゴリラの叫びにしか聞こえないのです。
はじめて野口かおるを見たのは、ベッド$&メイキングスの「未遂の犯罪王」で、そこでは、あおるシーンでその芝居の価値を飛躍的に高める芝居をしたので、今回も期待したのですが、残念です。

2019年2月28日木曜日

岩井秀人 作・演出「世界は一人」

2019年2月27日 19時開演 東京芸術劇場プレイハウス
作・演出:岩井秀人
音楽:前野健太
出演:松尾スズキ、松たか子、瑛太、平田敦子、菅原永二、平原テツ、古川琴音
岩井秀人のキーワード、「ひきこもり」「トラウマ」などがちりばめられた舞台。
岩井秀人の世界観、「世界はほとんどクソだ。だけれども、希望もないわけではない。」がストレートに反映されていました。特筆すべきは、音楽。前野健太が唄うだけでなく、松尾スズキ、松たか子、瑛太も唄います。深くリバーブのかかった音で唄い、舞台に統一感と柔らかさを加えていました。この音楽の使い方はうまいです。

2019年2月26日火曜日

キラリふじみ・レパートリー 『Mother-river Welcome(マザーリバーウェルカム)-華麗なる結婚-』

2019年2月23日 18時30分開演 富士見市民文化会館キラリふじみマルチホール
作・演出:田上豊
出演:羽場睦子、伊藤昌子、櫻井章喜(文学座、用松亮、中林舞、斎藤淳子(中野成樹+フランケンズ)、田中美希恵、東毬絵、高橋義和(FUKAIPRODUCE羽衣)、静恵一(サミットクラブ)、日髙啓介(FUKAIPRODUCE羽衣)
『Mother-river Homing(マザーリバーホーミング)』の続編とも言うべき芝居ですが、「映画でも面白かった作品の続編ほどつまらなくなる」という定説通り、残念な結果になりました。
『Mother-river Homing(マザーリバーホーミング)』から5年後、三女の結婚とカラオケ詐欺師の2つの話が平行して進んでいくのですが、その構造が見えにくいのでなかなかストーリーに乗っかれません。さらに、この芝居のキーマンである母親の出番が少ないので、話にしまりがありません。
続編を書かなければいけなくなり、無理矢理話をひねくりだしたようにしか見えませんでした。

キラリふじみ・レパートリー 『Mother-river Homing(マザーリバーホーミング)』

2019年2月23日 14時開演 富士見市民文化会館キラリふじみマルチホール
作・演出:田上豊
出演:羽場睦子 、伊藤昌子 、富山直人(オペラシアターこんにゃく座)、櫻井章喜(文学座)、 用松亮 、中林舞、斎藤淳子(中野成樹+フランケンズ)、 田中美希恵、鄭亜美(青年団)、高麗哲也 、松田文香、阿久津未歩(田上パル)、鈴木燦
3年前に見た「合唱曲58番」が面白かった田上豊の代表作、『Mother-river Homing(マザーリバーホーミング)』を見ました。今回で4回目の再演だそうで、キラリふじみでの人気ぶりがうかがえます。
話は、ある日突然家にいないはずの息子が現れることからおこるドタバタ劇なのですが、田上豊の人間性を全面的に肯定した明るい脚本と演出を、小劇場界のベテラン、中堅、若手が入り乱れて演じる舞台はとても魅力的でした。特に全員オーバーアクションな演技の連続の中、ただ一人クールな芝居で要所要所をビッシと決める、母親役の羽場睦子が素敵でした。

OM-2「OPUS-10 アノ時のこと、そしてソノ後のこと」

2019年2月22日 19時30分開演 下北沢ザ・スズナリ
構成・演出:真壁茂夫
出演:佐々木敦、芝崎直子、金原知輝、ポチ、田仲ぽっぽ、辻渚、細谷史奈、高橋あきら、風祭右京、ふくおかかつひこ、坂口奈々、鐸木のりす、高松章子、梨本愛
ダンボール箱が積み上がった壁の前で本を読む少女。やがてダンボールの壁は大音響と共に吹き飛び、中から現れたのは、床も壁も真っ白な空間にロッカー、長机、パイプイスの更衣室のようなセット。その前で太った男が父親殺しの話を延々と喋り続ける。後ろでは、白塗りのコロスがうごめく。やがて白壁は崩れ、その後ろには憲法を墨書きした木パネルと、「平和憲法を守れ」と訴える群衆の姿が現れる。ラストは、降ってきた大量の血糊で全身真っ赤に染まる男。
これは私が40年前にわけもわからずに見ていたアングラ演劇そのものだ。確かに、映像など技術的にはアップデートされているが、手法としては全く変わっていない。「ストーリーを説明する演劇よりも、感情を爆発させる舞台を」というコンセプトはわかるが、私の中では、その段階を経て新たなストーリーを獲得するように進化してきたと思っていたので、いまさらアングラ演劇を見せられたことがショックだったし、若いときの自分を見せられたようで恥ずかしいような気持ちにもさせられた。

2019年2月19日火曜日

サファリ・P「悪童日記」

2019年2月17日 14時開演 横浜美術館レクチャーホール
原作:アゴタ・クリストフ『悪童日記』
訳:堀 茂樹(ハヤカワ文庫)
構成・演出:山口茜
出演:高杉征司、日置あつし、芦谷康介、達矢、佐々木ヤス子

アゴタ・クリストフの傑作小説『悪童日記』の舞台化作品です。小説の中のいくつかのシーンを抜粋して、5人の役者が台詞とストリートダンス的な動きで見せていくのですが、私は事前に小説を読んでいたのでストーリーがわかりましたが、読んでいない人は切れ切れのシーンの連続としか思えなかったに違いありません。
この小説の面白さは、戦時下のヨーロッパの片田舎で徹底的にリアリスティックに生き抜く双子と言うところにあるのに、それが全く見えてきません。
チラシの中の推薦文で誰かが、「これをアゴタ・クリストフに見せたい。絶対、喜んでくれるに違いない」と書いていましたが、私は見せない方がよいと思いました。

世田谷シルク「春夏秋冬」

2019年2月17日 11時30分開演 YCC ヨコハマ創造都市センター
構成・演出・振付 堀川 炎
出演:佐藤優子、武井希未(以上、世田谷シルク) 、石井 維、上田茉衣子、大竹ココ(□字ック/ユトサトリ)、大原富如(ユトサトリ)、柿の葉なら、佐々木実紀、新屋七海、中原百合香、平井絢子、堀内 萌(キリグス)、牧野栞奈、宮﨑優里
名前だけは前から知っていましたが、見るのは初めてです。勝手に「梅棒」の女性版をイメージしていましたが、「梅棒」よりはシリアスよりでした。「春夏秋冬」になぞらえて女性の一生を正面からとらえて、台詞とダンスでみせるというものでした。全員、白い着物に白い編み笠で、固有の役を演じるときだけ編み笠を取っていました。
印象的なのは、一生の中で恋愛も結婚もするのですが、相手役の男はいっさい登場しません。「男に左右されない女の一生」に対する強いこだわりを感じます。ラストは、80歳以上の主人公が冬の富士山に一人で登り、頂上で亡くなるというシーンで、痛快でした。

贅沢貧乏『わかろうとはおもっているけど』

2019年2月16日 14時30分開演 横浜BUKATSUDO HALL
作・演出:山田由梨
出演:島田桃子、山本雅幸、田島ゆみか、大竹このみ、青山祥子
「贅沢貧乏」というのは素敵な名前だと思います。また、一軒家やアパートで長期公演をするなど、芝居を演じる場所に対しても問題意識を持っているラディカルな集団という印象もあります。初めて見たときは、そんなラディカルな集団なのに芝居の中身は結構普通じゃないかという印象でした。
今回は、半分同棲しているような男女が妊娠をきっかけに、二人の意識の違いが表面化していくストーリーです。よくある話ですが、後半、男女の立場が逆転し、男が妊娠したという設定にするっと入れ替わり、前と同じ台詞を男女が入れ替わって言い合うというかたちになります。すると、前半で男が戸惑いながらも女のためを思っていっていた言葉がいかに空々しいものであったかと言うことが明白になります。前半の最後の男は、狭いところに閉じこもって、うじうじとパズルをやり続けるのに比べ、ラストの女はいったん蹲るものの、すっと立ち上がってリンゴをかじりながら外に出て行きます。今の時代にふさわしいエンディングでした。
多分、タイトルの「わかろうとはおもっているけど」の後に続く言葉は、「だめでも私は一人で行く」なのでしょう。

岡崎芸術座「いいかげんな訪問者の報告」

2019年2月15日 17時開演 横浜CASACO
作・演出・出演:上里雄大
レクチャーパフォーマンスということなので、いわゆる演劇の公演とは違います。2014年と2016年の2回の南米訪問の報告会というかたちで、映像を交えながら日系移民の歴史や現在の姿が話されます。上里自身も、ペルー生まれであり、幼い頃に親の仕事の都合で日本に来てそのまま日本で育ったようです。現在でも祖母をはじめ、多くの親戚が南米で暮らしています。
その中の一人の遠い親戚の男性に会い、たまたま同い年だったこともあり、強いシンパシーを感じて、「ひょっとしたら、自分がこの男性だったかもしれない。日本でなく、南米で暮らしていたかもしれない」と思います。
この感覚が上里雄大の魅力だと思います。日本人でありながら日本人からはみ出した感性を持ち、それを肯定的にとらえている。今までよくわからなかった、岡崎芸術座の不思議な魅力の源を見たような気がしました。

2019年2月18日月曜日

ハイドロブラスト『幽霊が乗るタクシー』

2019年2月11日 14時開演 トーキョーアーツアンドスペース本郷
脚本・演出:太田信吾
出演:川﨑麻里子、宍泥美、森準人、椎橋綾那、昇良樹、大山実音
脚本・演出の太田省吾は映画監督で、チェルフィッチュの芝居に役者として出ていました。
「スーパープレミアムソフトWバニラリッチ」にでていたそうですが、どんな人だったか覚えていません。
東日本大震災の被災地石巻で、ゆうれいを乗せたタクシー運転手や、娘を亡くした母親などへのインタビュー映像とその再現ドラマで構成されていますが、テレビドキュメンタリーとしてもできの悪い作品でしかなく、演劇作品としては成立さえしていないように見えます。
現実としての映像と、それを昇華してイメージを膨らませるべきドラマの部分が単なる再現にしか見えなくて、やってる意味が理解できません。

隣屋「あるいはニコライ、新しくてぬるぬるした死骸」

2019年2月10日 20時開演 横浜STスポット
原案:レフ・トルストイ「光は闇の中に輝く」(訳:米川正夫)
脚本・演出:三浦雨林(隣屋/青年団)
出演:永瀬泰生(隣屋)、杉山賢(隣屋)、藤谷理子、宮本悠加
隣屋のWebサイトによれば、

レフ・トルストイ『光は闇の中に輝く』を原案に、新しい宗教と誰もいなくなった土地を描く。音楽と身体表現による生理的な感覚へのアプローチを試みる。2016年に短編として発表した作品をフルサイズで再演。

『光は闇の中に輝く』
大農園の主人ニコライはある日新しい宗教を求め、地位も金も家族も捨て始める。やがて生きるための全てをも打ち捨てようとする彼を、妻と僧侶が説き伏せようとするが…。
(レフ・トルストイ「光は闇の中に輝く」(訳:米川正夫))

ということのようだが、私にはよくわからなかった。劇中でお告げを聞くように携帯に耳をあてるシーンがあったが、あれが新しい宗教なのだろうか。
音楽というのは、俳優の一人がずっとキーボードやバイオリン、パーカッションなどで、BGMやSEのような音を出していたが、あれをさすのだろうか。
身体表現というのは、女優の一人がずっと踊っていたが、あれのことだろうか。
音楽は芝居の一部として理解できたが、踊りは芝居との関わりがよく理解できなかった。

2019年2月12日火曜日

お布団「破壊された女」

2019年2月10日 14時開演 横浜長者スタジオ
作・演出:得地弘基(お布団/東京デスロック)
出演 緒沢麻友(お布団)
キャラクターと称して、初音ミクのようなバーチャルアイドルやバーチャルユーチューバーのようなものにに扮した女優が、人間と架空のキャラクターの異差について喋りまくる一人芝居でした。
無意識のうちに架空のキャラクターというものが人間の延長線上にあるものだと思っていましたが(例えば、初音ミクはアイドルの1バリエーションだと思う)、ここでは人間と対立するもの、人間と異なるものと設定されていて、キャラクターの方から人間を問う構造になっています。ただ、キャラクターとして「私」といい、人間としても「私」と称するので、時々どちらの話をしているのか混乱します。
また、場面によってはプロジェクターで短い質問などのテキストを投影することがあるのですが、それが結構効いていて、質問することで相対化され空間が広がるような効果がありました。