2012年4月27日金曜日

毛皮族「演劇の耐えられない軽さだネッ Wの喜劇」

2012年4月26日 19時30分開演 スタジオイワト
作・演出:江本純子
出演:江本純子・金子清文・高野ゆらこ・高田郁恵・柿丸美智恵・延増静美
江本純子は、青木さやかに似ている。顔つきも、「どこ見てんのよ!」と世間にけんかを売っているような雰囲気もそっくりだ。
物語は「Wの悲劇」のパロディのような筋立てで、役者が大げさに演じる「女優」を江本が、突っ込んだり、ぼけたりして進めていくが、全体の構成が結構ラフなので、そのまま流れてしまうシーンも多く見られた。
芝居のできがどうのこうのというよりは、江本純子の「どこ見てんのよ!」という姿勢の裏側にある怒りや悲しみ、あきらめこそがおもしろい舞台でした。
次回公演は、余裕があれば見たいと思います。

2012年4月26日木曜日

Phoebe Snow

4月26日で、大好きだったフィービー・スノウが亡くなって1年がたちます。
初めてフィービー・スノウを聞いたのは、ファーストアルバムの「フィービー・スノウ Phoebe Snow」でした。どんな歌手か全く知らなかったのですが、バックにベースのチャック・イスラエルやズート・シムス、テディ・ウィルソンなどジャズ畑の人が入っているので、それに惹かれてLPを買いました。まだ、CDではありませんでした。
一曲目を聞いて、その声に一発で惚れました。元来、マリア・マルダーや、リタ・クーリッジなどの少しハスキーで太めの声が大好きだったので、即、マイフェイバリットシンガーの仲間入りです。
初期に、2回来日した記憶があります。1回目は読売ホールで私はいけなかったのですが、行った人の話では、かわいそうなほどお客が入っていなかったそうです。2回目は、私も横浜県民ホールに見に行きました。ギタリストがフィービーのギターのチューニングを時々直してあげていたのが、ほほえましかったことを覚えています。お客の入りも8割くらいは入っていて、これなら3度めの来日もあるだろうと安心したことを覚えています。
しかし、その後生まれた赤ちゃんに障害があることがわかり、育児に専念するためにツアー活動をやめるという記事を雑誌で読んでがっかりしました。
ツアーに出ないでスタジオでコーラスの仕事やコマーシャルソングを歌っていたようです。そういえば、パティ・オースティンもお母さんの体が弱くて、鳴り物入りでデビューしたのツアーに出ないで、スタジオワークだけにしぼり、一部で「コマーシャルソングの女王」と呼ばれたりしてましたね。
その後は、新しいアルバムが出たのがわかれば買う程度だったのですが、2回、生のフィービーを見損ねた想い出があります。
両方ともニューヨークに遊びに行っていたときのことですが、一度は、チケットエージェントのホームページを見ていたときにニュージャージーの野外劇場で、フィービーのコンサートがあることを知りました。場所が鉄道とバスを乗り継いで行かなければ行けないようなところで、コンサート後、深夜にマンハッタンに戻ってこれるかどうかわからなくて、あきらめました。
2回目は、オープン間もないB・B・キングクラブのスケジュールボードを見たら、次の週にフィービー・スノウの名前があったのです。そのときは急いでいたので、次の日にお金を持って行ってみたら、もうキャンセルになっていました。
最近は、新しいアルバム「ナチュラル・ワンダー」もだし、少しづつ露出も増えてきたので、これは来日もあるかもと期待していたところに、入院、訃報の知らせで残念でなりません。
Youtubeで検索すると、ポール・サイモンやリンダ・ロンシュタット、スティリーダンのコンサートで歌っているフィービー・スノウを見ることができます。
元々、神経質な人のようで、ライブでは緊張しているのか声が固く、CDで聞く方が柔らかくて豊かな声が楽しめます。
代表的なCDはほとんど持っていると思いますが、CD化されていないビリー・ジョエルのバックバンドとやった「ROCK AWAY」は聞いたことがありません。
どこか、CD化してくれないかなあ。
未CD化といえば、ジョー・コッッカーがスタッフをバックに歌っている「スティングレイ」も、CDになっていませんね。これも是非聞いてみたい一枚です。
そのうち、ジョー・コッカーについてもかいてみたいと思っています。

2012年4月25日水曜日

チェルフィッチュ「現在地」

2012年4月24日 19時30分開演 神奈川芸術劇場大スタジオ
作・演出:岡田利規
出演:山崎ルキノ・佐々木幸子・伊東沙保・南波圭・安藤真理・青柳いづみ・植村梓
「絶頂マクベス」に続き女優だけの芝居でした。
まるで物語を語るように全員同じようなトーンでゆっくり語られていく、寓話のようなお話でした。
3月11日の大震災後の日本の現状を色濃く反映した内容だったと思います。とくに、ラストの「そして村は何事もなかったように、穏やかな日々を取り戻しました。」という台詞とともに、客電がつき、舞台もフラットに明るくなる演出に、作者の考えがはっきりと現れていました。
淡々と進んでいく芝居、全員が同じような形の台詞回しの中で、2時間休憩なしの舞台を飽きさせないで見せる構成力、演出力はすごいと思いましたが、次回もみるかと言えば、微妙です。

2012年4月21日土曜日

Levon Helm

Twitterで、4月19日にLevon Helmが亡くなったことを知りました。好きで、今でもiPhoneに入れてよく聞いているミュージシャンが、また一人行ってしまいました。
Levon Helmの最大の想い出は、RCOオールスターズでの初来日です。今はなき久保講堂と日比谷野音でのコンサートに仕事でつきました。1978年のことです。
今から考えてもメンバーがすごくて、Levon Helm,Steve Cropper,Donald Duck Dunnがいました。そういえば、Satday Night LiveのハウスバンドやブルースブラザースのバンドにいたTom Maloneもいましたね。
最高におかしかったのは、Dr. Johnがメンバーに同行していてコンサート会場にも毎回きていたのに、一回も歌わずに帰ってしまったことでした。スタッフ一同、是非とも彼の歌を聴いてみたいと熱望していたのですが。今から考えれば、レコード会社との契約の問題があったのかもしれません。
私は、このコンサートで初めてパーライトとロックボードを見ました。野音の昼間でシュートしても当たりがわかる、色が見えることや、ロックボードの無限とも思える点滅パターンに感激したことを覚えています。
何よりびっくりしたのは、パーライトの軽さと明るさでした。それまでの野音の仕込といえば、3Kwや5Kwのソーラーやサンスポットを汗をかきかきイントレの上に担ぎ上げ、夕方を待って無理矢理シュートして、照明がきき始める頃にはコンサートが終わるという状態でしたから、ひとりで何台も持てるパーライトが、真っ昼間からシュートできるくらい明るいというのは革命的でした。
私をはじめてパーライトと出逢わせてくれたLevon Helmに感謝、そして合掌。

2012年4月18日水曜日

柿食う客 女体シェイクスピア「絶頂マクベス」

2012年4月17日19時30分開演 吉祥寺シアター
原作:W.シェイクスピア 脚色・演出:中屋敷法仁
出演:深谷由梨香、内田亜希子、荻野友里、我妻三輪子、葛木英、佃井皆実、小野ゆり子、斎藤淳子、藤沢玲花、葉丸あすか、渡邊安理、岡田あがさ、七味まゆ味、新良エツ子、きたまり
初めての柿食う客観劇。女優だけのシェイクスピア。休憩なしの90分バージョンなので、多くの場面が、役者の一人台詞で語られる。メリハリのきいた台詞回しと、細かいポージングの切替は、宝塚を思わせるものがありました。この記事を書くに当たり、ネットで柿食う客を検索していたら、中屋敷法仁さんのインタービューがあり、その中でも、台詞回しとポージングについて言及がありましたから、中屋敷さんの演出方法なのかもしれません。
女優はみんなかわいくて、好感が持てるのですが、演出の中で踊っているだけのような気がします。一人でも、その枠から飛び出してくるような人がいれば、さらにおもしろくなったような気がします。
次回は、男優も交えた芝居がみてみたいです。
是非、次回作も見に行きます。

追記(2012/4/21)
その後、Ustermで、すべての配役を入れ替えた乱痴気公演を見ました。といっても、気づくのが遅くて、ラストの30分だけでしたが。
確かマクベスをやったのは。七味まゆ味さんだったと思いますが、本公演の深谷由梨香さんにルックスでは負けていましたが、マクベスの狂気という点では優れていました。
全体のバランスでは本公演、マクベスに関しては乱痴気公演のほうが上という感じでした。

2012年4月17日火曜日

2012年第一四半期観劇の総括


20121月から3月の間に見た芝居は、16本でした。

114日 アイガットマーマン
121日 劇団鹿殺し「青春漂流記」
131日 ハイバイ「ある女」

22日 下谷万年町物語
210日 ぬいぐるみハンター「愛はタンパク質で育ってる」
211日 地点「トカトントンと」
2月20日 角角ストロガノフ「昆虫美学」
2月21日 劇団MONO「少しはみ出したら殴られた」
2月28日 KAKUTA「分岐点」

3月6日 あひるなんちゃら「まあまあだったね」
3月7日 「すばらしい一日」
3月10日 加藤健一事務所「ザシェルター」「寿歌」
3月14日 FUKAIPRODUCE羽衣「耳のトンネル」
3月15日 「黄色い月」
3月28日 MODE「満ちる」
3月30日 キティフィルム「破壊ランナー」

月平均5本強、何十年かぶりに芝居を見始めたにしては、まあまあいいペースなのではないかと思います。
この中で、ベスト3を選ぶならば、

ハイバイ「ある女」
劇団MONO「少しはみ出したら殴られた」
FUKAIPRODUCE羽衣「耳のトンネル」

の、3本です。
ハイバイ「ある女」は岩井秀人の芝居がおもしろく、劇団MONO「少しはみ出したら殴られた」は人間の弱さ、ずるさをさらりと日常のなかで描いたのに好感が持てました。FUKAIPRODUCE羽衣「耳のトンネル」は力一杯明るく楽天的で楽しい芝居でした。
次点としては、

劇団鹿殺し「青春漂流記」
ぬいぐるみハンター「愛はタンパク質で育ってる」
KAKUTA「分岐点」

の、3本を選びたいと思います。
劇団鹿殺し「青春漂流記」は、ゲスト出演の高田聖子だけがおもしろいという残念な結果でしたが、あの過剰なサービス精神は素晴らしいものがありますし、ぬいぐるみハンター「愛はタンパク質で育ってる」の若さあふれるスピード感もおもしろかったです。KAKUTA「分岐点」は劇団15周年記念公演で、3章の芝居を別々の演出で見せるというごちゃごちゃになりそうな芝居をシンプルにまとめ上げた劇団の力量に感心しました。
すべて、次回公演も見たいと思わせるに十分な内容だったと思います。

第一四半期全体を振り返ってみると、私の好きな芝居の傾向がかなりはっきりしてきました。
第一に、大きな劇場で有名な役者が出ている演目に、あまり好感を持っていない。1万円以上も払って見に行く気になかなかなれない。チケットが取りにくいせいもありますが。
第二に、シリアスなテーマを大上段に振りかぶって、正面から攻めるタイプは苦手。
第三に、基本、笑わせてくれる芝居がすき。
こんなところでしょうか。
4月以降も、がんばって芝居を見たいと思います。

2012年4月13日金曜日

劇団離風霊船「SUJBJECTION」

21012年4月12日 19時30分開演 下北沢ザ・スズナリ
作・演出:大橋泰彦
出演:伊東由美子、松戸俊二、山岸諒子、小林裕忠、倉林えみ、橋本直樹、江頭一晃、竹下智雄、神谷麻衣子、瀬戸純也、大矢敦子、鈴木紀江、柳一至、栗林恵美子、祥子、相川倫子、平石祥子、長橋佳奈
劇団名と、おもしろいという評判は昔から知っていましたが、なぜかチャンスがなく、初めての観劇でした。一言で言えば、評判通りおもしろい。
一つの舞台に二つの芝居が存在するというアイディア、そのかみ合い方やかみあわなさ加減の妙。個々の役者の演技の質の高さ。すべてが好ましいものでした。
一つ残念なのは、ラストの終わり方がおとなしすぎることです。何かばしっと決まる演出があれば、もっと締まったのにと思ってしまいます。
とはいえ、もっと前から見ていれば、私の観劇ライフもより豊かなものだったかもしれないと思わせる芝居でした。
次回公演も、是非見に行きたいです。

2012年4月7日土曜日

リジッター企画「もしも、シ」

2012年4月7日 14時開演 王子小劇場
作・演出 中島庸介
出演:工藤理穂、芦沢統人、川上ルイベ、石澤希代子、津和野諒、マリカ、丸石彩乃、中島康介、沖山麻生、西川康太郎、森脇洋平
大人計画の当日券の電話があまりにもつながらないのであきらめ、同時期に公演していたこの芝居を予約してみました。
物語は、「1995年1月17日、フルサトという名の少女が死んだ。その15年後、東京。舞台はテレマーケティング事業部。今日も主任のタカラとアルバイト達は電話の仕事をしていた。そんな中、嫌われ者のハジメは謎の少年と出逢う。少年に名はなく、心臓は止まっていた。ハジメは言う。『君は見えちゃまずい奴なんじゃないか?』その出逢いによって、ある記憶が蘇ったハジメは、ピストルを持ってタカラの元へ向かうのだった。タカラとハジメの過去とは。そしてその少年の望みとは。」(公演チラシの裏面より)
まあ、こういったストーリーが華麗なレトリックに満ちた台詞で語られるわけです。私は、若い頃見た寺山修司を思い出しました。もっと若い人なら、野田秀樹みたいと言うかもしれません。
でも、その華麗なレトリックに満ちた台詞の洪水の果てにくる結論は、「フルサト/故郷を忘れるな」というあまりにもストレートなわかりやすいものなのです。その結論なら、もっとふさわしい演出、演技があったと思います。華麗なレトリックに満ちた台詞の芝居のエンディングは、華麗に決めていただきたいものです。
この芝居を見て、なぜ寺山修司があまり好きでなかったのか思い出しました。それは、「華麗なレトリックに満ちた台詞」が成立するにはそれを支える役者の肉体が必要なのに、当時の天井桟敷の役者はへたくそでみていて恥ずかしくなるほど空回りしているだけだったからです。役者が台詞を理解しているとはとうてい思えず、役者の演技をすべて無視し、台詞の意味だけに集中して寺山修司のイメージを追いかけていたような気がします。
この芝居の役者達は、昔の天井桟敷よりははるかにうまく、決められた動きを無難にこなし、指示された感情で台詞を言って、芝居をしていました。でも、それがかえって操り人形のように見えて、うすら悲しい気持ちにさえなりました。
この団体の次回公演を見に行く気にはならないと思います。
「チャレンジ観劇シリーズ」第九弾も、残念な結果となりました。

2012年3月31日土曜日

キティフィルムプレゼンツ「破壊ランナー2012」

2012年3月30日 19時開演 東池袋 あうるすぽっと
作・演出:西田シャトナー
「惑星ピスタチオ」の公演は、一度も見たことがありません。ピスタチオ解散後、どこかの芝居に客演していた腹筋善之介が、自分の持ちネタのような扱いで「パワーマイム」を披露していたのを見て、とてもおもしろかった記憶がありました。その記憶を頼りにこの公演を見に行ったのですが、開始5分で残念な結果に終わることが予想でき、最後までその予想は外れることはありませんでした。
小道具や装置を排除し、すべての状況や状態、心象までを説明しすぎるほどに説明しつつ、大量のギャグをその中に投入するこの芝居には、役者に講談師や、落語家のような「語り」の技術、芸が必要とされると思います。それを、そこいら辺の若い役者に要求するのは無理がありすぎます。結果、何を言っているかわからない場面ばかりの薄ら寒い時間だけが流れていくことになってしまいました。
台本は結構おもしろいし、演出もがんばっている、でも役者がそれに答えられなければ、ろくな舞台にはなりません。
懐かしさから舞台を見に行くのは、やめた方がよいと思いました。昔の戯曲でも、舞台はいつも現在進行形のものなのですから。

2012年3月27日火曜日

MODE「満ちる」

2012年3月26日 19時開演 座・高円寺1
作:竹内銃一郎
演出:松本修
出演:すまけい、小嶋尚樹、中田春介、若松力、岡部尚、山田キヌヲ、大崎由利子、中地美佐子、山田美佳
いつもは「カフカの小説の舞台化」という、あまり私が興味が持てない作業をしているMODEの舞台を見に行く気になったのは、ひとえにすまけいが出演するからでした。私が芝居に関心を持ち始めた30年以上前に、すでに「伝説の役者」だったすまけいは、私が芝居を見始めた頃には、すでに舞台から遠ざかっていて、井上ひさしの芝居で復活したときは、私の方が舞台を見にいく意欲を失っていた時機でした。
初めてのすまけいは、片手片足が不自由で台詞回しも完全とはいえませんでした。芝居後半の娘との二人だけのシーンは、年老いた役者の芝居はこうあってほしいと私が思っていたことを具現したような素晴らしいものでした。森繁久彌や三国連太郎のような妙に偉そうな芝居でなく、どこか悲しくでも誇り高い、人間味あふれる堂々としたものでした。残念ながら、登場人物が増えてくるとまわりのスピードについて行けず、もたもたしてしまうのは残念でした。
何人かの役者が大声で怒鳴ることで怒りを表す芝居をしていましたが、それがうるさく気になりました。
舞台装置として、前面にシネマスクリーンを表す枠がつり下げられ、場面転換の時にフィルムのコマ落としのような効果がほどこされて、全体を映画にみせる演出がされていました。
また、カメラリハーサルのように台詞に詰まる→台本が出てきて段取りの確認→その前からやり直すというようなシーンもありました。これらが、「映画=虚構」を表す演出なのか、すまけいの不自由さ故の方策なのかよくわかりませんでした。

2012年3月24日土曜日

ローチケ

今年に入っていろいろ芝居を見るようになって、劇場に行くたびにくれるチラシを大切に持って帰って、仕事のスケジュールとにらみ合わせて見に行く芝居を決めています。
見に行く芝居が決まったら、次はチケットの予約です。インターネット上のいろいろなチケット予約サービスを使って予約していくわけですが、現在様々な予約サービスがあります。チケットぴあ、イープラス等々。
今回、ローチケというサービスを初めて使ったわけですが、これが実に使いにくいのです。
まず、会員になるときに、いろいろな会員があってどれにしたらいいかわかりにくい。最初に「ローチケWEB」の会員になろうとしたら、ほしくもない「PONTAカード」を作らされそうになって慌ててブラウザ閉じたりしました。
やっとの思いで会員になり、チケットを予約しても、発券がまた実にめんどくさい。
「Lopi」とか言う専用端末に、「会員番号」「予約番号」「暗証番号」をいちいち入力して、あげくに予約に使ったクレジットカードを自分でスワイプしなければいけないのです。最後のとどめは、出てくるのは実券ではなく「引換券」、それを持ってレジに行き、やっとことで、実券を手にできるのです。
なんと回りくどいサービスでしょう。二度と使いたくありません。

パルコプロデュース「テキサス」

2012年3月22日 19時開演 渋谷パルコ劇場
作:長塚圭史 演出:川原雅彦
出演:星野源、木南晴夏、野波麻帆、岡田義徳、福田転球、政岡泰泰志、伊達曉、吉本菜穂子、山岸門人、湯澤幸一郎、川原雅彦、高橋和也、松澤一之
この芝居を見ることに決めたのは、噂だけで見たことがなかった長塚圭史の戯曲を、同じく評判だけ知っていたハイレグジーザスの川原雅彦が演出するからでした。
要するに、今、生きがよいとされている脚本家、演出家がどんなものだか自分で体験したかったのです。
極端な設定(トロッコとロープウェイと称する綱渡りでしかたどり着けないど田舎で、住民は暇つぶしに格安の整形手術を受けて、全く別の顔になっている)を違和感なく見せるのに、けれんみあふれる演出は有効だとは思うのですが、全体の疾走感が全く足りていません。ギャグを一つ言うたびに、役者が「ドヤ顔」を決めているような気すらして、スピードが全く上がっていきません。
疾走感があれば、暇つぶしに整形で別人になってしまう人々のやるせなさまで、明確に観客に伝わったと思います。
殺し屋の役で出てきた川原雅彦之演技はかっこつけてるのが見え見えで、今時、高校の演劇部でもやらないような芝居で、みていられませんでした。

2012年3月16日金曜日

オフィスコットーネプロデュース「黄色い月」

2012年3月15日 15時開演 下北沢ザ・スズナリ
作:デイヴィット・グレッグ 演出:高田恵篤
出演:柄本時生・門脇麦・仲川安奈・下総源太朗
パンフレットにプロデューサーの言葉として、2009年からずっとこの戯曲を上演したくて、やっと今回できたというようなことが書いてありましたが、どこにプロデューサーを引きつけた魅力があったのかわかりませんでした。出演者が、交互にナレーターと役を行き交いながら、ストーリーが進行していきます。ストーリーは、その場の勢いで人を殺してしまった若者が女の子と北に逃げ出し、一時、平和な暮らしを営むが最後に捕まってしまうという、ボニーとクライドのような話です。ナレーションが、背景や登場人物の内面を説明してくれるので、シーンはわかりやすく、テンポよく進んでいきます。しかし、同じ役者が同じようなトーンで台詞もしゃべるので、すべての台詞が説明的に聞こえて、膨らみが全くありません。約75分の芝居なので、あれよあれよという間に終わってしまいますが、あれ以上長かったら、退屈してしまったに違いありません。
現在のイギリス演劇(正確には、スコットランドですが)は、どんなものかという興味から見に行きましたが、残念な結果でした。

2012年3月15日木曜日

FUKAI PRODUCE羽衣「耳のトンネル」

2012年3月14日 19時30分開演 東大駒場前アゴラ劇場
作・演出・音楽:糸井幸之介 
出演:深井順子・日高啓介・鯉和鮎美・高橋義和・寺門敦子・澤田慎司・伊藤昌子・西田夏奈子・加藤律・幸田尚子・並木秀介・金子岳憲
私の大好きな芝居として、「上演中は、笑って笑って笑いが止まらないけれど、劇場を出たらすぐ内容はすっかり忘れてしまい、笑った記憶だけが残る。」というものがあります。その昔、東京乾電池が今はなきジャンジャンで公演していたときに、経験した記憶があります。内容はすっかり忘れてしまったので、題名も覚えていませんが。
FUKAI PRODUCE羽衣の「耳のトンネル」を見て、このことを思い出しました。もしかしたら、私の理想を実現してくれるグループかもしれません。現在のところ、小笑い程度で、大爆笑まではほど遠いのですが。
音楽ライブもやっているらしいので、動向を注意してみていきたいグループです。
そんなことを思った「チャレンジ観劇シリーズ」第八弾でした。

2012年3月10日土曜日

加藤健一事務所「シェルター・寿歌」

2012年3月10日 17時開演 下北沢本多劇場
作:北村想 演出:大杉祐 出演:加藤健一・小松和重・日下由美・占部房子
何よりも、「寿歌」が見たくてチケットを買いました。今年に入って、シスカンパニーが新国立で上演したのですが、スケジュールが合わず見られなかったので、こちらを見ました。
79年に書かれたという、ゆうに30年以上前の戯曲なのに少しも古くないです。核戦争後の世界を、ゲサクとキョウコという二人がいい加減な芸を見せながらさまよい歩くうちにヤスオという男と出会う。どうもヤスオは神様らしいのだが、何もできない。キョウコとヤスオは惹かれあうのだが、最後にはヤスオはエルサレムへ、キョウコとゲサクはモヘンジョダロにいくために分かれてしまう。べたな設定にべたなストーリーなのだが、不思議とイメージが広がり、見た後に様々な言葉にならない感情が残ります。
このブログを書くために、少しインターネットで「寿歌」について検索してみたところ、「六号通り診察所所長のブログ」というところに、「寿歌」の感想があり、なかに「これはゴドーを待ちながらの1バージョンだ」というような文章がありました。実は、私が一番好きな戯曲は「ゴドーを待ちながら」でして、そう言われれば同じにおいがすると、一人で納得しました。
もう一本の「シェルター」は、「ほかの出演者のテンションを軽く受け流す芝居のうまい加藤健一」という構図に飽き飽きするだけでした。唯一の感想は、「加藤健一の声は、江守徹に似ている」というものです。無理に2本立てにしなくてもよかったのではないでしょうか?
加藤健一の芝居はこの公演で十二分に見た気がするので、もう一生見なくても済みそうですが、「寿歌」はいつかどこかで上演されたら、また、是非みたいです。

2012年3月8日木曜日

吉川威史 PRESENTS「素晴らしい1日」

2012年3月7日 19時30分開演 下北沢 駅前劇場
原作:平安寿子 脚本:ブラジリィー・アン・山田 演出:龍川英次
出演:内浦純一・伊勢佳世・宇田川椎子・石澤美和・安藤聖・浅野千鶴
「チャレンジ観劇」シリーズ第七弾。この芝居を見ることに決めたポイントは、チラシの裏にあった原作者の推薦文でした。内容は、ユーモアを交えながらハリウッドでも映画化されるかもしれない(韓国では、映画化された)この小説が、日本ではまったく注目されていないことを嘆いているものでした。それを読んで、見てみたいと思いました。
結果は、中当たりというところでしょうか。脚本、演出、役者、劇場の大きさまで、バランスのよいおもしろい芝居でした。
昔、お金を貸した男を見つけた女がお金を返してもらうため、金を借りて回る男について回るというロードムービーのようなお話なんですが、前半のエピソードが生き生きしているのに比べ、後半の元大女優のエピソードでは、肝心の大女優が大女優に見えないし、婦人警官とシングルマザーを演じた浅野千鶴の芝居が少々ぎこちないのが残念でした。プロデュース公演なので、次回は全く違う配役になるのでしょうが、「吉川威史」の名前は覚えておきたいと思います。

2012年3月6日火曜日

あひるなんちゃら「まあまあだったね。」

2012年3月6日 15時開演 下北沢 OFF-OFFシアター
作・演出:関村俊介
出演:根津茂尚、佐藤遼、渡辺裕也、江崎穣、堀靖明、三枝貴史、永山智啓、澤唯、三瓶大介、関村俊介
「チャレンジ観劇シリーズ」第六弾
この劇団を選んだのは、ひとえに「あひるなんちゃら」という劇団名のせいです。なんていい加減というか、こだわりのない名前なんだろうか。「笑いあり、涙なし」が劇団のモットーだということだし、ひょっとしたら、ひたすらおもしろいだけの芝居を見せてくれるのではないのかと勝手に思って、行ってきました。
結果は、残念ながら、涙はないが笑いもない。できの悪いコントのような台本を、芸もなく、芝居もうまくない役者がテンションまで低く演じるという、苦笑いしかできないような内容でした。アンケートの「芝居の感想」の欄に、「まあまあだったね。という感想だけは勘弁してください。」と書いてありましたが、「まあまあ」以下だったねという感じです。
次回公演を見る気には、なりませんでした。

2012年3月5日月曜日

KAKUTA「Turning Point(分岐点)」

2012年2月28日 19時30分開演 ザ・スズナリ
作:堤泰之・金井博文・桑原裕子
演出:堤泰之・山崎総司・桑原裕子
出演:木下智恵、大枝佳織、武藤心平、熊野善啓、鳥島明、ヨウラマキ、佐賀野雅和、前田勝、原扶貴子、冠仁、野澤爽子、高山奈央子、成清正紀、桑原裕子、若狭勝也、馬場恒行、長尾長幸
「チャレンジ観劇シリーズ」第五弾です。
昨年夏の「ピーターパン」の演出をしたのが桑原裕子さんだと知り、今まで全く知らなかった名前なのでネットで調べたところ、KAKUTAという劇団の方だとわかりました。それ以来、一度芝居を見たいと思っていたのが今回ようやく果たせました。
劇団結成15周年記念公演ということで、芝居のストーリーは、劇団の歴史に重なるような「出発」「決別」「迷路」「対峙」「覚悟」と名付けられたプロローグ、エピローグつきの三つの話からなる二人の女性の物語でした。居場所を探して転々と移動する絵里と一緒にいたいために見当外れの努力をする貴和子。
二人は何度もすれ違い、最後に「全く違う場所にたどり着いて、そこでまた出会った。だったら、そこから、また、始めればいいじゃない。」という結論にたどり着く。最後の結論はあまりにもナイーブすぎるようにも思えますが、彼女たちの心情としては、正直なところなのでしょう。
桑原裕子さんのブログに、今回の公演は「いつもより賑やかで、ガチャガチャしている」という言葉がありましたが、普通のKAKUTAの芝居を知るためにも、次の公演も見たいと思います。

2012年2月25日土曜日

MONO「少しはみ出したら殴られた」

2012年2月22日 19時30分開演 吉祥寺シアター
作・演出 土田英生
出演:水沼健、奥村泰彦、尾方宣久、金替康博、土田英生、岡島秀昭、諏訪雅、中川晴樹
昔WOWOW舞台中継を見て、おもしろかった記憶があったので見た「チャレンジ観劇シリーズ」第四弾。
あっさりとした日常会話のなかで、知らず知らずのうちに進んでいく軋轢と差別。
ある日、突然二つの国に分裂した国の刑務所は、偶然にも国境線の真上にありました。
仲のよかった囚人たちも出身地で二つに分かれ、次第に仲が悪くなり、最後には大乱闘になります。
オチは、二つの国はEUのように周辺諸国を巻き込んで統合され、刑務所には、気まずい日常が戻ってきます。この芝居を見て、前の角角ストロガのフの芝居で、納得できなかったところがはっきりとわかりました。角角ストロガのフでは、現実を「事件」という形で再構成して、ゴロンと舞台に投げ出しただけに過ぎないのです。その先にあってほしい「評価」が全く見えてきません。
「評価」とは、「マインドコントロールは非人道的です。」などというありきたりな主張ではなく、「犯人の徹底的な悪の魅力」でもよかったと思います。それが見えてこず、全体の演技力不足で、クールに人を操る犯人と何となくそれに従ってしまう普通の人々という構図が見えていたに過ぎませんでした。
MONOでは、地味ですが確かな個々の演技力とアンサンブルで、苦くもささやかな希望を含んだ評価を見せてくれました。
次回公演も是非みたいです。

2012年2月20日月曜日

角角ストロガのフ「昆虫美学」

2012年2月20日 13時30分開演 王子小劇場
作・演出:角田ルミ
出演:青柳尊哉、村田唯、正木佐和、犬塚征男、関亜弓、椿かおり、塚田まい子、島崎裕気、綱川凜、仲田敬治

「チャレンジ観劇シリーズ」第三弾。この芝居を選んだのは、劇団名のおもしろさと、王子小劇場に一度行ってみたかったという簡単な理由でした。

安易な選択理由と裏腹に、芝居は実際にあった「一家監禁殺人事件」をもとに、マインドコントロールとそれによって自我が崩壊していく人々を描く重いものでした。始まりから一気に一家崩壊に導いていく作者の筆力は相当なものです。残念ながら、役者の力量が全体に不足気味で、マインドコントロールする方もされる方もいまいち、説得力がありません。特に、犯人の吉田がラスト近く長女にプロポーズするところは、唐突な感じが残りました。
それにしても、演出家の能力のなかには「洗脳」する力が含まれていることがよくわかりました。
きっと、優れた演出家は、セールスマンやネットワークビジネスでもよい成績を上げることでしょう。
この劇団の次回公演を見に行くかどうかは、作演出の興味がどこにあるのかわかってからにしたいと思います。