2013年1月1日火曜日
2012年第四四半期観劇のまとめと年間の総評
2012年10月から12月に見た芝居は以下の通り
10月1日 「ファンファーレ」
10月2日 はえぎわ「ライフスタイル体操第一」
10月3日 劇団本谷有希子「遭難、」
10月4日 子供鉅人「幕末スープレックス」
10月7日 岩井秀人「ヒッキーノソトニデテミターノ」
10月7日 劇団鹿殺し「田舎の侍」
10月11日 ブス会「女のみち2012」
10月27日 アトリエダンカン/デラシネラプロデュース「日々の暮らし方」
10月30日 アンファンテリブルプロデュース「愛のゆくえ」
11月9日 ハイバイ「霊感少女ヒドミ」
11月9日 鋼鉄松村「高橋ギロチン」
11月12日 モダンスイマーズ「楽園」
11月13日 ベッド&メイキングス「未遂の犯罪王」
11月15日 猫のホテル「峠越えのチャンピオン」
11月15日 パルコプロデュース「こどもの一生」
11月21日 ポツドール「夢の城」
11月22日 イキウメ「まとめ*図書館的人生(上)」
11月23日 離風霊船「THIRTY大橋編」
11月23日 離風霊船「THIRTY伊東編」
11月25日 「地球空洞説」
12月3日 鳥山フキ個人企画「Rのお出かけ」
12月4日 8割世界「ガラクタとペガサス」
12月5日 城山羊の会「あの山の稜線が崩れていく」
12月17日 ロロ「いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三小学校」
12月20日 中野成樹+フランケンズ「ナカフラ演劇展」
12月27日 ,ナ・ポリプロピレンプロデュース公演「ブレーメンの怪人」
12月30日 俺とあがさと彬と酒と「マボロシ兄弟・ふたりマクベス」
計27本。
その中のベストスリーは、
はえぎわ「ライフスタイル体操第一」
ハイバイ「霊感少女ヒドミ」
ベッド&メイキングス「未遂の犯罪王」の、3本です。
「ライフスタイル体操第一」は、そのさわやかで嫌みのない語り口が新鮮でした。
「霊感少女ヒドミ」は、主演の上田遙が可愛いかったです。
「未遂の犯罪王」は、唐十郎へのオマージュといえる作品ですが、今の世の中では、妄想に殉じて生きることもできない悲しみとあきらめが心を打つ作品でした。
次点は、劇団鹿殺し「田舎の侍」と、モダンスイマーズ「楽園」です。
「田舎の侍」は、相変わらずのばかばかしさに安心して笑えました。
「楽園」は、戯曲の構成の完成度の高さと、配役の見事さに感心しました。
2012年は、83本の芝居を見ることができました。年の初めに、今年は芝居を見ると決心してそのメモとしてこのブログも始めました。月に7本弱、まあ、まめに見た方だと思います。おかげで、新しい才能を知ることもできました。
はえぎわ、ハイバイ、イキウメ、ロロ、マームとジプシー、並べて書くとおかしな劇団名ばかりですが、それぞれにおもしろい芝居をやっています。
2013年も、さらに新しい才能に出逢うために芝居を見たいと思います。
俺とあがさと彬と酒と「マボロシ兄弟 / ふたりマクベス」
2012年12月30日 15時開演 小竹向原アトリエ春風舎
「マボロシ兄弟」
作・演出:山崎彬 出演:谷賢一・岡崎あがさ
「ふたりマクベス」
作・演出:谷賢一 出演:山崎彬・岡崎あがさ
京都の劇団「悪い芝居」の山崎彬と、劇団「DULL-COLORED POP」の谷賢一が合体したプロジェクト。
悪い芝居は、今年、王子小劇場で行われた公演を見ておもしろかったし、谷賢一は劇団の芝居はまだ見たことがないが名前はあちらこちらでみかけるので、興味を引かれて見にいってきた。
「マボロシ兄弟」は、精神病院に隔離されているらしい兄と、その妹を中心に周りの様々な人々を二人でとっかえひっかえ演じていく形で舞台が進んでいくうちに、誰が実在で誰がマボロシかはっきりしなくなるのがおもしろかった。ラストで兄と妹だけになったところを見ると、すべて二人の妄想だったのだろうか。
「ふたりマクベス」は、マクベスとマクベス夫人の二人が、寝室で繰り広げるマクベスストーリーという形だが、三人の魔女もマクベスの台詞にしか登場しないし、動く森も登場しないので、気弱な年下のマクベスが年上のマクベス夫人に励まされて悪事を働くという形にしか見えない。山崎彬も小劇場百戦錬磨の岡崎あがさの前では、演技の堅さ、未熟さだけが目立っていいところなし。
谷賢一のホームベース「DULL-COLORED POP」の公演を見てみたいものだ。
「マボロシ兄弟」
作・演出:山崎彬 出演:谷賢一・岡崎あがさ
「ふたりマクベス」
作・演出:谷賢一 出演:山崎彬・岡崎あがさ
京都の劇団「悪い芝居」の山崎彬と、劇団「DULL-COLORED POP」の谷賢一が合体したプロジェクト。悪い芝居は、今年、王子小劇場で行われた公演を見ておもしろかったし、谷賢一は劇団の芝居はまだ見たことがないが名前はあちらこちらでみかけるので、興味を引かれて見にいってきた。
「マボロシ兄弟」は、精神病院に隔離されているらしい兄と、その妹を中心に周りの様々な人々を二人でとっかえひっかえ演じていく形で舞台が進んでいくうちに、誰が実在で誰がマボロシかはっきりしなくなるのがおもしろかった。ラストで兄と妹だけになったところを見ると、すべて二人の妄想だったのだろうか。
「ふたりマクベス」は、マクベスとマクベス夫人の二人が、寝室で繰り広げるマクベスストーリーという形だが、三人の魔女もマクベスの台詞にしか登場しないし、動く森も登場しないので、気弱な年下のマクベスが年上のマクベス夫人に励まされて悪事を働くという形にしか見えない。山崎彬も小劇場百戦錬磨の岡崎あがさの前では、演技の堅さ、未熟さだけが目立っていいところなし。
谷賢一のホームベース「DULL-COLORED POP」の公演を見てみたいものだ。
バナナ学園純情乙女組「バナナ学園大大大大大卒業式」
ナ・ポリプロピレンプロデュース公演「ブレーメンの怪人」
2012年12月27日 19時開演 下北沢シアター711
作:細見大輔 演出:大岩美智子(劇団ジュークスペース)
出演 : 陰山泰、有馬自由、有川マコト、細見大輔、加藤敦、山口森広、瓜生和成、野口かおる、生津徹
ベッド&メーキングスの舞台で、素晴らしい芝居を見せた野口かおるが出演していたので、仕事が キャンセルになったこともあり、いってきました。野口かおるの芝居の魅力は、静から動、柔から剛、善から悪までの振れ幅の大きさとそのスピードとダイナミックさにあると思います。その芝居がより輝くためには、周りの役者たちの芝居がぶれないことが必要です。ベッド&メーキングスの舞台ではそのバランスがうまく取れていて、野口かおるの芝居を一層素晴らしいものにしていました。
今回の舞台では、残念ながらうまく行っていません。自分たちが楽しく芝居をしたいという思いが悪い方に働いて、各自の芝居の軸がブレブレで、その中に野口の芝居も埋没しがちで輝きが見られません。だいたい、楽に芝居をすることと楽しく芝居をすることは別の話であるはずなのに、楽しくするつもりで、楽しているようにしか見えませんでした。
ストーリーは、オードリー・ヘップバーンの「ローマの休日」のパクリで、野口かおるがヘップバーンの王女役なのですが、ラストの王女の務めを自覚して自国に帰るところなどは、ふざけているようにしか見えませんでした。どうみても、野口かおるに純真無垢な役は無理なので、別の演出を考えるべきだったと思います。
ナ・プロピレンの次回作を見ることはないでしょう。野口かおるは、3月に「レモンライブ」という公演があるようなので、もう一度見たいと思います。
2012年12月27日木曜日
中野茂樹+フランケンズ「ナカフラ演劇展」
2012年12月20日 20時開演 横浜STスポット
「聞いてごらんよ、雲雀のこえを」
原作:シング「谷の陰を」より
誤意訳・演出:中野茂樹
出演 : 村上聡一、福田毅、洪雄大、斎藤淳子
「家族でお食事ゆめうつつ」
原作:ワイルダー「ロング・クリスマス・ディナー」より
誤意訳・演出:中野茂樹
出演 : 村上聡一、福田毅、洪雄大、斎藤淳子
海外の多分小説であろう作品を翻訳、構成した短い芝居の二本立て。一本目は、人里離れた谷間に住む夫が若い妻の不貞を疑って死んだふりをして、それを暴くというストーリー。正直、あまり面白くなかったです。一方的に責め立てる夫の言葉を誰も受け止めようとせず、虚しく時間だけがすぎていく。そんな感じでした。
二本目は、90年の家族の歴史を40分にまとめて、語ってしまうという壮大な試みでしたが、こちらはかなり面白かったです。
クリスマスディナーの席に限定して、時間の流れに沿って、家族が増え、子供達が成長して行き、それぞれに旅立って行き、孫まで生まれてくるという歴史が、淡々と描かれていきます。起伏の少ない台詞回しと、記号化されているかのような細やかな動きが時間の流れを邪魔することなく作用して、落ち着いた気持ちで見ていられました。
ただ、すべてが終わってから、初演の時に作ったというオリジナルソングを歌ったのは、余計だと思いました。どうしても歌いたければ、芝居の中に組み込む工夫があるべきだと思います。
次回作を見に行くかどうかは、微妙です。
劇団ロロ「いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三小学校」
2012年12月17日 19時30分開演 新宿眼科画廊
作・演出 : 三浦直之
出演 : 亀島一徳、島田桃子、篠崎大悟、森本華、小橋れな、崎浜純、板橋瞬谷、望月綾乃、北村恵、大石貴也
当日パンフレットを見たら、今回が3回目の公演で、初演は恥ずかしい台詞を恥ずかしげもなくやり、再演では恥ずかしくないようにやり、今回は、恥ずかしいままに演じましたと、書いてありました。確かに、恥ずかしい台詞満載の1時間でしたが、にもかかわらず、ロロらしい爽やかな舞台でした。成功の第一の原因は、本当に狭い新宿眼科画廊にあったと思います。手を伸ばせば役者に触れる、汗が飛んできても避けられないような近いところで、真剣に愛について語られたら、感動しないわけにはいきません。これがスズナリのような舞台と客席川kれている普通の小劇場だったら、随分印象が違ったものになっていたでしょう。
劇中で胸板と呼ばれていた役者とその相手役の女の子は、必要なかったと思います。また、空の抜け殻と称するマスクと、陽炎が亡くなるシーンの電源コードも、説明のし過ぎだと思います。
もう一つ不思議なのは、配役表にあった大石貴也が登場しなかったことです。何らかの配役変更があったとしても、事前に説明もありませんでした。大石貴也とは、誰だつたのでしょう。
城山羊の会「あの山の稜線が崩れていく」
2012年12月5日 19時30分開演
作・演出:山内ケンジ
出演 : 岸井ゆきの、石橋けい、古屋隆太、岡部たかし、永井若葉、本村荘平、猪野学、
また、面白いのか面白くないのか、判断に困る芝居に遭遇しました。東京乾電池の芝居に続いて今年2回目です。普通芝居を見ると、最初に面白いか面白くないかの判断があって、次にどこが面白いのか、何が面白くないのかの、具体的な理由に進んでいくのですが、この芝居は面白くないわけではないが、何が面白いのかよくわからないのです。慌てて、ネットで観劇記や、劇評を探したら、シュールなコメディとか、不条理な喜劇というような言葉が並んでいました。
これが正しければ、不条理劇だということになりますが、私のイメージする不条理劇とはずいぶん感じが違います。私の知っている不条理劇は、不条理自体は見えないもので、登場人物は、その周りを手探りで進みながら、あるかないかわからない不条理について語っていくというようなイメージだったのですが、この芝居では、最初から不条理がゴロンとそこにあるような感じなのです。登場人物達はそれに多少の抵抗はするものの、最終的には押し流されてしまいます。
ストーリーは、平和な3人家族の家に突然。隣の弁護士夫婦が訪ねてきて、娘の本当の父親が出所してきて、妻と娘を引き取りたいといっていると言い出す。そこへ、とうの父親も現れ、強引に連れて行ってします。妻と娘は、多少抵抗するも最終的には一緒に出て行ってします。孤軍奮闘、腕力までふるった父親は、一人残され、偶然居合わせた娘の家庭教師を、娘に見立てて、ビールを飲むところで終わる。
私のこんなことはあり得ないという常識的な気持ちが、どこがおもしろいのかわからないという気持ちの根底にあるような気もするのですが、ラストシーンの家庭教師とビールを飲むところは、あきらめなのか、ささやかな抵抗なのかもよくわかりませんでした。
2012年12月5日水曜日
8割世界「ガラクタとペガスス」
2012年12月4日 19時30分開演 八幡山ワーサルシアター
作:石原美か子 演出:鈴木雄太
出演 : 佐倉一芯、白川哲次、日高ゆい、中村匡亮、木原敦子、小林肇、石田依己架、橘未佐子、亀山浩史、原裕香、小早島モル、井上千裕、斎藤晴久、鈴木雄太
劇的につまらなかった劇団鋼鉄村松の芝居の中で、唯一おもしろかったアフタートークのゲストが、この8割世界主宰の鈴木雄太でした。
そのせいで、見てみようという気になったのですが、結果は結構、残念なものでした。
開場時に、主宰の鈴木雄太と役者の一人が場を暖めようとしてか、前説のようなおしゃべりをしているのですが、芸があるわけでもなく、話術のスキルがあるわけでもないので、場内が暖まると言うよりは、気まずい雰囲気が漂うだけでした。
話は、いわゆるベタなコメディで、途中で多少笑わせて、ラストで涙腺が緩むという定石の構成です。この手の芝居を見ると、どうしても、もっとうまい役者がやれば、もっとおもしろくなるはずなのに、という気持ちがわいてきて気持ちが冷めてしまうのです。ベタなコメディをおもしろくやれるほど、経験もキャラクターもない小劇団なら、それに変わる飛び道具が必要だと思います。飛び道具を潔しとせず、正攻法でいくのなら、それはそれで結構ですが、経験を積んでおもしろくなるまで見続けようと思うほど、シンパシーが感じられる劇団ではありませんでした。
唯一よかったのは、役者の声がでかいことでした。前日の鳥山フキの芝居が全員声が小さかったので、その落差もあって、声のでかさには驚きました。
作:石原美か子 演出:鈴木雄太
出演 : 佐倉一芯、白川哲次、日高ゆい、中村匡亮、木原敦子、小林肇、石田依己架、橘未佐子、亀山浩史、原裕香、小早島モル、井上千裕、斎藤晴久、鈴木雄太
劇的につまらなかった劇団鋼鉄村松の芝居の中で、唯一おもしろかったアフタートークのゲストが、この8割世界主宰の鈴木雄太でした。そのせいで、見てみようという気になったのですが、結果は結構、残念なものでした。
開場時に、主宰の鈴木雄太と役者の一人が場を暖めようとしてか、前説のようなおしゃべりをしているのですが、芸があるわけでもなく、話術のスキルがあるわけでもないので、場内が暖まると言うよりは、気まずい雰囲気が漂うだけでした。
話は、いわゆるベタなコメディで、途中で多少笑わせて、ラストで涙腺が緩むという定石の構成です。この手の芝居を見ると、どうしても、もっとうまい役者がやれば、もっとおもしろくなるはずなのに、という気持ちがわいてきて気持ちが冷めてしまうのです。ベタなコメディをおもしろくやれるほど、経験もキャラクターもない小劇団なら、それに変わる飛び道具が必要だと思います。飛び道具を潔しとせず、正攻法でいくのなら、それはそれで結構ですが、経験を積んでおもしろくなるまで見続けようと思うほど、シンパシーが感じられる劇団ではありませんでした。
唯一よかったのは、役者の声がでかいことでした。前日の鳥山フキの芝居が全員声が小さかったので、その落差もあって、声のでかさには驚きました。
2012年12月4日火曜日
鳥山フキ個人企画「Rのお出かけ」
2012年12月3日 19時30分開演 新宿眼科画廊地下
作・演出:鳥山フキ
出演 : 北村恵、菅谷和美、南綾希子、黒木絵美花、松木美路子、狗丸トモヒロ、渡邊とかげ、
公演チラシの裏に、最近気になる演出家の一人であるノゾエ征爾が推薦文を書いていたので、見てみる気になりました。推薦文で知った「鳥山フキは、ノゾエ征爾と大学の劇研で同期だった」ということ以外何も知りませんでした。
公演を見終わった今も、実は、ワワフラミンゴという劇団を主宰している。今回は、劇団とは別の鳥山フキ個人の企画公演である。ということが追加の知識として加わったくらいです。
ストーリーは、二人の女の子はなぜか殺し屋で、今度、スペインに行って誰かを殺すように依頼を受けます。資料や、地図、室内の見取り図などを検討すると、かなり手強そうなので、同じアパートに住む住民の中から、助手を選ぶために面接をする。というようなものだと思うのですが、ストーリーは全然重要ではないのかもしれません。それより、あげたあめ玉を手から離すまいとする気持ちとか、水草の培養を趣味とする男とのデートの話とか、少し不思議でシュールな感覚の方が重要なのかもしれません。
残念ながら、私は結構ハードで長く続いた現場が終わった次の日で、体力も、集中力もない状態で見てしまったので、舞台に集中できず、(なにしろ、全く声を張り上げることもなく、ほとんど座ったままで話すので動きもほとんどないので集中するのも難しい)約70分の短い芝居にもかかわらず、何度も寝てしまいました。
できれば、このようなタイプの芝居は、疲れていなくて優しい気持ちにあふれているときに見たいと思います。環境も、昼日中の自然光にあふれた場所で、静かに始まり、いつの間にか終わっていると最高だと思います。
作・演出:鳥山フキ
出演 : 北村恵、菅谷和美、南綾希子、黒木絵美花、松木美路子、狗丸トモヒロ、渡邊とかげ、
公演チラシの裏に、最近気になる演出家の一人であるノゾエ征爾が推薦文を書いていたので、見てみる気になりました。推薦文で知った「鳥山フキは、ノゾエ征爾と大学の劇研で同期だった」ということ以外何も知りませんでした。公演を見終わった今も、実は、ワワフラミンゴという劇団を主宰している。今回は、劇団とは別の鳥山フキ個人の企画公演である。ということが追加の知識として加わったくらいです。
ストーリーは、二人の女の子はなぜか殺し屋で、今度、スペインに行って誰かを殺すように依頼を受けます。資料や、地図、室内の見取り図などを検討すると、かなり手強そうなので、同じアパートに住む住民の中から、助手を選ぶために面接をする。というようなものだと思うのですが、ストーリーは全然重要ではないのかもしれません。それより、あげたあめ玉を手から離すまいとする気持ちとか、水草の培養を趣味とする男とのデートの話とか、少し不思議でシュールな感覚の方が重要なのかもしれません。
残念ながら、私は結構ハードで長く続いた現場が終わった次の日で、体力も、集中力もない状態で見てしまったので、舞台に集中できず、(なにしろ、全く声を張り上げることもなく、ほとんど座ったままで話すので動きもほとんどないので集中するのも難しい)約70分の短い芝居にもかかわらず、何度も寝てしまいました。
できれば、このようなタイプの芝居は、疲れていなくて優しい気持ちにあふれているときに見たいと思います。環境も、昼日中の自然光にあふれた場所で、静かに始まり、いつの間にか終わっていると最高だと思います。
2012年12月3日月曜日
流山児事務所「地球空洞説」
2012年11月25日 17時開演 豊島公会堂
原作:寺山修司
構成・脚色・演出:天野天街・村井雄・流山児祥
実は39年前の天井桟敷の初演も見ました。道に迷いながらたどり着いた高円寺の公園で、開演直前にもかかわらず、寺山修司がまだ演出していました。内容はあまりにひどかったこと以外ほとんど覚えていません。寺山修司は、短歌や競馬の評論は素晴らしいが、芝居はひどい。書いていることとやっていることが、全く違う。初めての天井桟敷経験がこれだったので、以後、天井桟敷を見るのやめてしまいました。
39年経っての再演は、台詞はちゃんと聞こえるし、唄は音程がずれることもなく、ダンスの振りも全員揃っていましたが、それがどうした、つまらないものはつまらないというのが正直な感想です。
いくらカメハメ波のポーズが完璧にできても、そこに込めるエネルギーがなければ、カメハメ波は、出ません。
流山児祥と大久保鷹が狂言回しとして出ていますが、流山児は相変わらず台詞をかみまくって、そのたびに笑ってしまうし、(それがなぜかとてもいやで、演劇団の芝居を見にいかなくなったのを思い出してしまいました。)
大久保鷹は、劇中、タンスを担いで出てくるという、状況劇場の不忍池水上音楽堂での公演を思い出させるサービスまでしていましたが、あのときの状況が全くない今となっては、モゴモゴと何を言っているかわからないおじいさんでしかありません。
離風霊船「The Thrity」
2012年11月23日 15時開演 大橋編 19時開演 伊東編 中野シアターボンボン
作・演出:大橋泰彦・伊東由美子
劇団30周年記念公演第二弾。同じエレベーター前という設定で、2人の作家が書き競うという、うまくいけば面白くなったかも知れない試みでしたが、結果は残念なものでした。マチネの大橋編は一応まとまってはいたのですが、離風霊船らしい驚かしのシーンも小粒だし、大胆な転換もなしで、肩透かしを食らった感じでした。伊東編は、さらにひどいありさまでした。途中で書けなくなって、過去の作品の場面の抜粋を強引に繋げただけにしか見えません。脚本として完成しておらず、途中で投げだしたように見えます。前回、初めて離風霊船を見た私にとっては、何が面白いのか全くわかりませんでした。
同じ劇団を何回か続けて見ていくと、無意識のうちにそのたびごとに新しいものを見せてくれることを望むようになる。新しいものが見られれば、おもしろいと思い、それがなければ、つまらないと思いやすいものです。
若い劇団は、路線も固まっていないので新しいことも出やすいが、30年も続いている劇団は、劇団のカラーも定まっているので、そればかりを追い求めてもしょうがないと思います。
ベテランの劇団は、そのカラーをげ「芸」だと思って楽しむ意識が必要だと思います。
イキウメ「The Library of Life まとめ*図書館的人生(上)」
2012年11月22日 19時開演 池袋東京芸術劇場シアターイースト
作・演出:前川知大
事前にオムニバスのストーリーが錯綜してわかりにくいという噂が流れてきたので、少し心配しながら見に行きましたが、幸いなことにその心配は杞憂に終わり、心穏やかに楽しく見られました。死んだ人間が成仏する前に立ち寄る図書館。ここにはすべての人の前世、現世、来世が書かれた本があるらしい。ただし、目録はなく、ひたすら読みつづけて、探すしかない。自分の来世を知りたい人、愛する人を探す人、様々な人が訪れる。そんなSF的な設定の元、六つのエピソードがイキウメ特有のデリケートなシーンのクロスフェードを繰り返しながら、語られていく。
賽の河原の鬼の話や、万引きのプロと懸賞で暮らしている女性のラブストーリーなど、ひとつひとつが、共感できやすい優しいエピソードに仕上がっている。前作のミッションが、クールでやもすれば突き放した冷たいともとれる印象だったのに比べ、今回の方がはるかに面白い。
イキウメ得意のSF的な設定も嫌いではないし、次回作も見る気になった。
その後、時々読ませていただいている「6号通り診療所長のブログ」の記事によれば、この作品が今までに上演したオムニバス短編集を再構築したもので、「謎の図書館に出入りした人達が、書架の本を開けた時、その本を読む役者以外の全キャストが、その本の内容を演じる。」という構成になっていることを初めて知りました。以前の公演を見ていないので、先入観なく見たのがよかったのかもしれません。
2012年11月25日日曜日
ポツドール「夢の城」
2012年11月21日 19時30分開演 池袋東京芸術劇場シアターウェスト
作・演出:三浦大輔
当日パンフレットに日本人特有の虚無感への言及があったが、舞台装置もそれをストレートに表したものだった。床には万年床がひかれ、えたいの知れないゴミが散らばり、壁はポスターが隙間なく貼られている。天井にまで国旗などが貼られている。ものに溢れた床、壁、天井に囲まれた空間には何もない。肉体すらもない。役者はほとんどの時間を寝そべって過ごし、立ち上がるのは、トイレに行く時か、部屋から出入りする時だけだ。台詞もなく繰り返される動きは、この空間の空虚感を強調するためだけに、おこなわれているようだ。いろいろなところで書かれている過激な性描写は、出来の悪いエロビデオみたいでいただけない。演出家のサービスだと思うが、悪いサービス休むに似たりというか、邪魔にすらなつていると思う。
岸田戯曲賞授賞後の第一作を、これにした作者の勇気には感心するが、今これを再演することにどれだけ意義があるだろうか。
ポツドールは、この虚無感を抱えてどこに行くのだろうか。
2012年11月21日水曜日
ラッパ屋「おじクロ」
2012年11月16日 19時開演 新宿紀伊國屋ホール
作演出:鈴木聡
一言でいえば、下町人情喜劇。松竹新喜劇や吉本新喜劇でやっても、おかしくないような脚本である。メーカーの事業撤退により倒産の危機に直面した下請の町工場を、社長の幼馴染でもある副社長が、会社の寮として使っていた自宅を売ってとりあえず救う。そして、最後に復活を誓って、ももクロの唄を、歌い踊る。
その踊りは、おじさんとしては、よく訓練されていて、見事なものだったが、なぜかしつくりこなかった。
劇中でいかにももクロが素晴らしいか、おじさんたちの胸をうつかが散々強調されるのだが、ももクロにそんなに思い入れのない私としては、苦笑いするしかなかつた。
そのまま、唄に突入するので、その強引さが、違和感として残るのだと思う。
十分面白かったが、次回は見なくてよい感じだった。
2012年11月16日金曜日
パルコ/キューブプロデュース「こどもの一生」
2012年11月15日 19時開演 渋谷パルコ劇場
作:中島らも
潤色:桝野幸宏
演出:G2
振付:小野寺修二
中島らもの本は、とてもおもしろくて、ラストがSFホラーチックでよくかけているし、演出も的確で破綻がない。役者も谷原章介を除いてみんなうまくて、特に破綻がない。よくできた「お芝居」だが、それだけで、私にとっては、特におもしろいものではなかった。みんな優等生で、スムーズに芝居が流れ、終わっていく。役柄を無難に演じているだけの芝居になんのおもしろみがあるだろうか?
私が見たいのは、役を超えて見えてしまう役者の人間性なのだと思う。小さな劇場で行われる若い劇団の芝居が好きなのは、役を演じきれない役者の苦し紛れの個性がよく透けて見えるからだと思う。
映像を芝居の中で使用するのがはやりのようで、この芝居でも台詞のポイントとなるところを、あたかもプレゼンのように文字で見せたり、殺人のシーンで血しぶきを一瞬見せたりしていたが、一つ一つは的確でも、続くと説明的すぎてくどすぎる。
作:中島らも
潤色:桝野幸宏
演出:G2
振付:小野寺修二
中島らもの本は、とてもおもしろくて、ラストがSFホラーチックでよくかけているし、演出も的確で破綻がない。役者も谷原章介を除いてみんなうまくて、特に破綻がない。よくできた「お芝居」だが、それだけで、私にとっては、特におもしろいものではなかった。みんな優等生で、スムーズに芝居が流れ、終わっていく。役柄を無難に演じているだけの芝居になんのおもしろみがあるだろうか?私が見たいのは、役を超えて見えてしまう役者の人間性なのだと思う。小さな劇場で行われる若い劇団の芝居が好きなのは、役を演じきれない役者の苦し紛れの個性がよく透けて見えるからだと思う。
映像を芝居の中で使用するのがはやりのようで、この芝居でも台詞のポイントとなるところを、あたかもプレゼンのように文字で見せたり、殺人のシーンで血しぶきを一瞬見せたりしていたが、一つ一つは的確でも、続くと説明的すぎてくどすぎる。
猫のホテル「峠越えのチャンピオン」
2012年11月15日木曜日
ベッド&メイキングス「未遂の犯罪王」
2012年11月13日 19時30分開演 錦糸町済みだパークスタジオ
作・演出:福原充則
高尚な思想や斬新な表現がなくても、おもしろい脚本と的確な演出、よい役者がうまくかみ合えば、おもしろい芝居ができることを証明しているような舞台でした。この前の鋼鉄村松の台本も、ここの役者がやったらおもしろく見られたかもしれません。
私が一番びっくりしたのは、状況劇場的演出、「私のお兄さんを知りませんか」と叫んで、正面向いてミエを切る、すると派手な音楽が大音量でかかり、舞台が真っ赤になる。というような演出が方法論として成立し、それを観客も違和感なく受け入れていることでした。私の中では、そのような演出はそれを支える過剰なロマンチックでファナティックな論理がなければ成立しないという感覚あったので、そのようなバックボーンなしでも成り立っているのを見るのは、軽いショックでした。きっと、この演出家は状況劇場というか、唐十郎が大好きなんだと思います。
役者では、ヒロイン役の野口かおるが素敵でした。泣いたり笑ったり叫んだり、自由奔放に暴れまくって、最後には本物の自動車でセットに突っ込んできました。まるで、可愛いくて若い李麗仙のようでした。他の芝居をするところも見てみたいです。
作・演出:福原充則
高尚な思想や斬新な表現がなくても、おもしろい脚本と的確な演出、よい役者がうまくかみ合えば、おもしろい芝居ができることを証明しているような舞台でした。この前の鋼鉄村松の台本も、ここの役者がやったらおもしろく見られたかもしれません。
私が一番びっくりしたのは、状況劇場的演出、「私のお兄さんを知りませんか」と叫んで、正面向いてミエを切る、すると派手な音楽が大音量でかかり、舞台が真っ赤になる。というような演出が方法論として成立し、それを観客も違和感なく受け入れていることでした。私の中では、そのような演出はそれを支える過剰なロマンチックでファナティックな論理がなければ成立しないという感覚あったので、そのようなバックボーンなしでも成り立っているのを見るのは、軽いショックでした。きっと、この演出家は状況劇場というか、唐十郎が大好きなんだと思います。
役者では、ヒロイン役の野口かおるが素敵でした。泣いたり笑ったり叫んだり、自由奔放に暴れまくって、最後には本物の自動車でセットに突っ込んできました。まるで、可愛いくて若い李麗仙のようでした。他の芝居をするところも見てみたいです。
2012年11月13日火曜日
iPhone5
購入前の楽しい悩みの時期を経て、昨日11月12日ついにiPhone5を購入しました。ついでに、キャリアもソフトバンクからauに変更しました。
iPhone5にした最大の動機は、iOS5からiOS6にしたところ全体の動作が緩慢になって何とするにも1拍待たされるのに耐えきれなくなったことです。
iPhone5にしてみての感想は、
薄い!
軽い!
早い!
綺麗!
ということで、とりあえず満足です。
今後は、iPadのWi-Fi機を購入して、デザリングを試してみるつもりです。
iPhone5にした最大の動機は、iOS5からiOS6にしたところ全体の動作が緩慢になって何とするにも1拍待たされるのに耐えきれなくなったことです。
iPhone5にしてみての感想は、
薄い!
軽い!
早い!
綺麗!
ということで、とりあえず満足です。
今後は、iPadのWi-Fi機を購入して、デザリングを試してみるつもりです。
モダンスイマーズ「楽園」
2012年11月12日 19時30分開演 吉祥寺シアター
作・演出:蓬莱竜太
テレビの舞台中継で石田えり主演の芝居を見て、ずいぶん堅い、きっちりした脚本を書く人という印象だった蓬莱竜太でしたが、この芝居はとても柔らかい、やさしいという感じでした。
小学生の頃、男子なら誰でも夢見る「秘密基地」でのごっこ遊び。「いじめ」と「差別」が混在するごっこ遊びの最中に事故が起き、一人の女子の運命が大きく変わってしまう。
そんな物語です。
この芝居の肝は、役者が大人になった衣装で小学生を演じていくところです。台詞と動きは小学生、衣装は大人なっての職業を表す。所々でストップモーションと字幕により、その衣装の謎が明かされていきます。コンビニ店員、プロレスラー、工務店、警察官。この衣装と台詞、動きの異差が微妙なバランスを保って、大人が小学生を演じることの痛々しさから救っていると思いました。
もう一つの、そして最大の肝は、女子小学生役の深沢敦です。彼が出てきてから、それまで多少の不安定感、大人の衣装で小学生を演じることへの違和感は吹っ飛び、物語はいきいきとダイナミックに動き出します。大人なのか、小学生なのかという区別などは関係なくなり、ストーリーの中にぐいぐい引き込まれていきます。チビで、デブで顔もでかいのに、大きくてよく通る声と、演技力で見る者を引きつけてやみません。役者の力のすごさを思い知らされました。
次回作も是非見たいと思います。
作・演出:蓬莱竜太
テレビの舞台中継で石田えり主演の芝居を見て、ずいぶん堅い、きっちりした脚本を書く人という印象だった蓬莱竜太でしたが、この芝居はとても柔らかい、やさしいという感じでした。
小学生の頃、男子なら誰でも夢見る「秘密基地」でのごっこ遊び。「いじめ」と「差別」が混在するごっこ遊びの最中に事故が起き、一人の女子の運命が大きく変わってしまう。
そんな物語です。
この芝居の肝は、役者が大人になった衣装で小学生を演じていくところです。台詞と動きは小学生、衣装は大人なっての職業を表す。所々でストップモーションと字幕により、その衣装の謎が明かされていきます。コンビニ店員、プロレスラー、工務店、警察官。この衣装と台詞、動きの異差が微妙なバランスを保って、大人が小学生を演じることの痛々しさから救っていると思いました。
もう一つの、そして最大の肝は、女子小学生役の深沢敦です。彼が出てきてから、それまで多少の不安定感、大人の衣装で小学生を演じることへの違和感は吹っ飛び、物語はいきいきとダイナミックに動き出します。大人なのか、小学生なのかという区別などは関係なくなり、ストーリーの中にぐいぐい引き込まれていきます。チビで、デブで顔もでかいのに、大きくてよく通る声と、演技力で見る者を引きつけてやみません。役者の力のすごさを思い知らされました。
次回作も是非見たいと思います。
鋼鉄村松「高橋ギロチン」
2012年11月9日 19時30分開演 王子小劇場
作・演出:ボス村松
「鋼鉄村松」というふざけた劇団名と、バブルムラマツとか、サラリーマン村松という「劇団名」を名のるというわけのわからないシステムに惹かれて見に行きましたが、始まったとたんに後悔しました。正しくは、前説が始まったとたんに他の芝居を見に行った方がよかったと思いました。
前説は、作・演出のボス村松が何を言っているかわからないラップ調でやったのですが、完全にグダグダで滑りまくり、見かねた劇団員が袖から声をかけてやっと終わるという演出すらも決まらずに滑るという有様でした。
今にして思えば、この前説が芝居のつまらなさを象徴しているようでした。
おもしろい芝居をしたいという意欲があってアイデアも一応あるが、芝居のスキルは低く、戦略や方向性がないので、すべて不発に終わる。その繰り返しに、観客も失笑するしかない。誠に、残念な結果しか残らない。
ストーリーは、秋葉原無差別殺傷事件と死刑廃止論を組み合わせてたもので、犯人像はカミュの「異邦人」そのままという感じでした。
その脚本を、方向性も示さないままもっとおもしろく、もっとおもしろくと攻め続けるだけの稽古をして、その結果、てんでばらばらにオーバーアクションで演じ始める役者達。その交通整理もできないまま本番投入という感じでした。
結果、なぜかオーバーアクションを求められなかったダクト屋の親方、ミニ阿藤海みたいな松井さんと、ダクト職人の多田無情の普通の芝居だけが光って見えるという残念な結果になってしまったように見えました。
しかし、観客は通路までぎっしりの超満員で2時間休憩なしなので、途中で出ることもできず、終演後のアフタートークまで見る羽目になってしまいました。アフタートークの相手は、「8割世界」の主催者の鈴木雄太という人で、芝居のだめ出しと、冒頭シーンの再演出をするという内容でした。
時間的には15分くらいのものでしたが、これが本編よりもおもしろい。観客も一番笑っていました。
こんな芝居を20年以上続けてきたのだとしたら、その意志の強さには感服しますが、次回は見に行かないでしょう。
作・演出:ボス村松
「鋼鉄村松」というふざけた劇団名と、バブルムラマツとか、サラリーマン村松という「劇団名」を名のるというわけのわからないシステムに惹かれて見に行きましたが、始まったとたんに後悔しました。正しくは、前説が始まったとたんに他の芝居を見に行った方がよかったと思いました。前説は、作・演出のボス村松が何を言っているかわからないラップ調でやったのですが、完全にグダグダで滑りまくり、見かねた劇団員が袖から声をかけてやっと終わるという演出すらも決まらずに滑るという有様でした。
今にして思えば、この前説が芝居のつまらなさを象徴しているようでした。
おもしろい芝居をしたいという意欲があってアイデアも一応あるが、芝居のスキルは低く、戦略や方向性がないので、すべて不発に終わる。その繰り返しに、観客も失笑するしかない。誠に、残念な結果しか残らない。
ストーリーは、秋葉原無差別殺傷事件と死刑廃止論を組み合わせてたもので、犯人像はカミュの「異邦人」そのままという感じでした。
その脚本を、方向性も示さないままもっとおもしろく、もっとおもしろくと攻め続けるだけの稽古をして、その結果、てんでばらばらにオーバーアクションで演じ始める役者達。その交通整理もできないまま本番投入という感じでした。
結果、なぜかオーバーアクションを求められなかったダクト屋の親方、ミニ阿藤海みたいな松井さんと、ダクト職人の多田無情の普通の芝居だけが光って見えるという残念な結果になってしまったように見えました。
しかし、観客は通路までぎっしりの超満員で2時間休憩なしなので、途中で出ることもできず、終演後のアフタートークまで見る羽目になってしまいました。アフタートークの相手は、「8割世界」の主催者の鈴木雄太という人で、芝居のだめ出しと、冒頭シーンの再演出をするという内容でした。
時間的には15分くらいのものでしたが、これが本編よりもおもしろい。観客も一番笑っていました。
こんな芝居を20年以上続けてきたのだとしたら、その意志の強さには感服しますが、次回は見に行かないでしょう。
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