2014年10月18日土曜日

4年ぶりのニューヨーク 01 成田からJFK

2014年10月16日
マイルも貯まっていたので、4年ぶりにニューヨークに来ました。本当は、昨年中に会社を辞めて、還暦のお祝いとフリーになったお祝いをかねて来たかったのですが、ぐずぐずしている内に時間は経ち、フリーになったのが今年の3月、そこから季候のいい時期のニューヨークにということで、10月になってしましました。
多分、ニューヨークは仕事を含めて13回目になると思います。こんなに繰り返し来ているのは、ある程度土地勘があり不安材料が少ないというのもありますが、私の理想の休暇に一番近いからだと思います。
私の理想の休暇とは、
1)日常生活から距離的、心理的に離れていて、自動的に非日常の状態になれる。
2)昼間の娯楽、夜の娯楽両方ある。ニューヨークの場合は、昼は美術館、夜はミュージカル。
3)ある程度長期間滞在しても、不自由のない生活が送れる。(都市文化のあるところ)
この三つが基本的な条件が満たせる場所です。
成田に行くのには、いつも成田エクスプレスを使っています。品川で乗り換えれば、1本で行けるのが魅力ですが、今回、Yahoo乗換で検索したところ、京成線の方が安くて、早いことがわかりました。しかし、重い荷物を持って乗換を何回もするのも辛いので、いつもの成田エクスプレスにしてしまいました。
飛行機は、全日空のNH10便です。ユナイテッド航空のコードシェア便で成田を11時に出発し、ニューヨークには同日の10時45分に到着です。当然、エコノミーです。


まず、驚かされたのは、空港のチェックインシステムです。Web上で予約したのですが、当日までボーディングパスが送られてくるわけでもなく、不安に思っていたところ、現れたのはATMのようなマシーン、これにパスポートをかざしてからいくつかの質問に答えていくと搭乗券を発券してくれるというシステムでした。何となく今までのように行き先別のカウンターでチェックインというイメージでいた私は、どうしてよいかわからず係員に聞いてしまいました。確かにこのシステムなら行き先別のカウンターは不要になり、効率的です。後は、手荷物カウンターに荷物を預けるだけです。




出発前、最後の食事はウナギのだし茶漬けにしました。帰ってくるまで、和食は食べないつもりです。
出国手続きも電子化が始まっていて、その場でパスポートと両人差し指の指紋を登録すると、自動改札を使用できるようになっていました。喜んで登録してしまいましたが、年1,2回の海外ならスタンプの方が後々の記念になっていいかなと反省しました。

機体は、ボーイング777-300シリーズです。エコノミーでも前部座席の背面に液晶ディスプレイが付き、映画などがオンデマンドで見られます。おかげで、日本のライトノベルが原作の「オール・ユー・ニード・イズ・キル」、邦画の「超高速!参勤交代」、「トランスフォーマー/ロストエイジ」の3本も見てしまいました。
日頃ほとんど映画を見ないので3本ともそれなりに面白かったのですが、「オール・ユー・ニード・イズ・キル」のハリウッドらしいご都合主義的なストーリー展開と、それを感じさせないシャープなカット割り、「超高速!参勤交代」の邦画らしい先の読めてしまう日本的なコメディセンス、「トランスフォーマー/ロストエイジ」では、アーサー王の円卓の騎士のイメージを臆面もなく出してくる脚本・監督の面の皮の厚さと、細かいところまでピントの合っているCGのせいでかえってリアリティの感じられない画面などが気になりました。
 最初の食事は、チキンと海鮮のパエリアにしました。
2回目はオムレツ&ベーコンにしてみました。
どちらも特に問題なくおいしくいただきました。


JFKからは、Airtrainに挑戦してみました。AirtrainでHaward Beachまで行き、A-lineに乗り換えて、Broadway JuctionでL-lineにまた乗り換えるという経路です。何しろ、安い。Airtrainが5$、地下鉄が2$50cでマンハッタンまで行けます。時間的には、1時間半見ておけばオーケーというところでしょうか?
最初だったので、メトロカードの買い方がわからなかったり、Airtrainが無人運転なのに驚いたりしましたが、面白い体験でした。
どうしても乗換の時に階段の上り下りが出てくるので、大きな荷物を持った女性だときついかもしれません。また、ラッシュアワー時の使用は難しいと思います。
そこがクリアできれば、最高のマンハッタンへの移動方法だと思います。

4年ぶりのニューヨーク 05 「Cindella」

2014年10月18日 その2
夜はこの旅最初のミュージカル、「Cindella」をBroadway Theatreで見ました。
元々は、1957年にジュリー・アンドリュース主演でテレビ放送のために、リチャード・ロジャースとオスカー・ハーマンスタイン・ジュニアが書いた曲と脚本を基に、舞台版としては制作された物となります。
自分のアイデンティティに悩む王子が国の民主化に目覚め、自分を取り戻して結婚するなど、いわゆる童話の「シンデレラ」と、少しストーリーが変わっていますし、登場人物もかなり増えていました。
この無自覚な者が自我に目覚めて成長するというテーマは、このミュージカルの成り立ちにも重なり、主役の二人にもオーバーラップします、特にシンデレラ役の子は、21歳での主役抜擢、しかも黒人であると言うことで、2重、3重にイメージが重なり、舞台を補強します。
主役の個性のなさは、周りの継母、腹違いの姉妹、魔女、大臣などのキャラクターと、演技力で支えていくという割り切り方は見事で、成功してると思います。
特に、魔女役はあまり必然性もないのに、大げさなドレスへの早替わりをしたり、フライングしながら歌ったりと、大活躍でした。
来年早々のクローズが決まってしまったので、最後のてこ入れのせいかもしれませんが、ブロードウエイのプロダクションの考え方が、よくわかる作品でした。

2014年10月14日火曜日

あうるすぽっとプロデュース「ロミオとジュリエットのこどもたち」

2014年10月2日 19時開演 池袋あうるすぽっと
原作:ウィリアム・シェイクスピア
脚本・演出:三浦直之
出演:後藤まりこ、永井秀樹、長田奈麻、日高啓介、伊東沙保、田中祐弥、北村恵、重岡獏、島田桃子、板橋駿谷、亀島一徳、篠崎大悟、望月綾乃
マチネの「小指の思い出」に続いて、大作家に挑む若手演出家という図式の、「ロミオとジュリエットのこどもたち」を、同じ日の夜に見ました。
450年前のシェイクスピアなら、直接本人から文句を言われることもないので、いっそ、気が楽かもしれません。
始まってすぐは、ロメオとジュリエットのセリフを荒っぽくなぞるだけで、これはどうなることかと思いましたが、一幕の終わり頃、一通りストーリーをなぞり終わると、突然爆発します。
「金色夜叉」や、「ラブストーリーは突然に」が、カットインしてきて、物語は、新しい方向に舵を切ります。
即ち、「ロミオとジュリエット」を元祖 ボーイミーツガールとして捉え、ボーイミーツガールの大集成を行おうとしたのです。その試みは、大成功とは言えないですが、可能性を見せるという意味では成功していたと思います。現在の三浦直之とロロとしては、これ以外にはあり得ないというような舞台となっていました。前作から目立ってきた三浦直之の演出の力業も、前回同様、良い方向に作用していました。
一応、あうるすぽっとプロデュースでの公演ですが、中身はロロだったと思います。ロロの今後がますます楽しみです。
役者では、伊東沙保が断トツで光っていました。シリアスでも、ファンタジーな演技も素敵でしたが、コメディでも存在感を見せていました。

2014年10月12日日曜日

東京芸術劇場プロデュース「小指の思い出」

2014年10月2日 14時開演 東京芸術劇場プレイハウス
作:野田秀樹
演出:藤田貴大
出演:勝地涼、飴屋法水、青柳いづみ、山崎ルキノ、川崎ゆり子、伊東茄那、小泉まき、石井亮介、斉藤章子、中島広隆、宮崎叶夢、山内健司、山中崇、松重豊
Musician:青葉市子、Kan Sano、山本達久
東京芸術劇場の芸術監督である野田秀樹の作品を若手演出家が演出するシリーズがあるそうで、この「小指の思い出」もその一つらしいです。
受ける方にしたらかなり困難がともなう企画で、なにしろ今や大御所の野田秀樹ですから、ままじ好き勝手なことができるわけもなく、自分色を出し過ぎるわけにもいかず、案配の難しいところだったと思います。
藤田貴大は、実に真面目にに取り組んだと思います。ひょっとしたら、真面目に取り組みすぎたかもしれません。
真面目に取り組んだ結果、明らかになったのは、野田演劇の特徴と魅力は、早口の台詞回しと、野田の特徴ある声に追うところが大きいことがわかります。早口と声色を除いてみると、戯曲の構造は結構唐十郎に似ていること。同じ台詞を繰り返すところが多々見られるが、同じように見える繰り返しでもマームとジプシーと野田作品では全く違うこと。野田作品では、極論すると観客をあおるために繰り返しているように見えるが、マームとジプシーでは、繰り返し自体に意味を見つけ出しているように見えます。
藤田貴大は、野田秀樹から見ると、間に平田オリザを挟んで孫にあたる世代だと思いますが、何かを継承しているようには見えません。大きな意味で言えば、同じ日本で芝居をしているのですから、見たことくらいはあるでしょうが、影響を受けて芝居を造っていった形跡はないと思います。そして、それはとてもよいことだったと思います。

ナイロン100℃「社長吸血記」

2014年10月1日 14時開演 下北沢本多劇場
作・演出:ケラーノ・サンドロヴィッチ
出演:三宅宏城、大倉孝二、みのすけ、喜安浩平、犬山イヌコ、峯村リエ、村岡希実、皆戸麻衣、水野子論、猪俣三四郎、小園茉奈、大石将弘、鈴木杏、岩崎う大、槇尾ユウスケ、山内圭哉
ナイロン100℃の芝居も「デカメロン」、「百年の秘密」に続いて三本目になりましたが、私にはどうしてもこの劇団の芝居が面白いとは思えません。何か、芝居の前提条件と言うか基本的な認識が違っているような気がします。TwitterやBlogで激賞している記事を時々見かけますが、それらを読んでも今ひとつピンときません。
ここは一つ、私にはナイロンの面白さを教えてくれる劇評なり、解説にで出会うまで、見に行くのをやめてみようと思います。
相変わらず、映像の使い方は、居関係ではピカイチだと思いますが、それだけでは積極的に見に行く理由としては弱すぎます。
と、ここまで書いて前の2作品の記事を読んでみたら、両方とも「もう、見ない。」とかそれに近いことが書いてありました。我ながら学習能力の低さに呆れます。

表現・さわやか「The Greatest Hits Of HYOGEN SAWAYAKA」

2014年9月30日 19時開演 下北沢駅前劇場
作・演出:池田鉄洋
出演:森下亮、佐藤真弓、村上航、いけだしん、岩本靖輝、伊藤明賢、池田鉄洋
スペシャルゲスト:新垣里沙
Good Morning No.5から2日続けての「役者が自分がやりたいことをやるステージ(ただし、コメディに限る)の観劇になりました。
革命アイドル暴走ちゃんも含めると、3本連続となります。比べてみると、表現さわやかの立ち位置と言うか観客との距離感が、今の私に一番ピッタリきました。革命アイドル暴走ちゃんもGood Morning No.5も、自分たちのやりたいことが先走りすぎて、お客に対して押し付けすぎなところが多々あります。Good Morning No.5のほうが経験がある分だけ、押し付け方がマイルドになっていますが、圧力の強さは同じくらいでした。それは決して悪いことではないのですが、時として年寄りの身には堪えます。そんな年寄りにも、表現さわやかは優しかったです。
今回は10周年ということで、今までやったコントから気に入ったものを選び、再構成して一応ストーリーがつながっている形に整えてありましたが、ストーリーがどうのというより、各々のコントが秀逸で笑わせていただきました。特に、オープニングの「山崎パン祭」は上出来でした。
もう一つ、びっくりしたのは佐藤真弓がどの場面でもとても可愛く見えたことでした。今まで色々な芝居で見てきましたが、特に「可愛い」という印象がなかった彼女がなぜかとても可愛く見えました。なかでも、河童は特に素敵でした。

革命アイドル暴走ちゃん「東京デビュー戦 騒音と闇 ドイツ凱旋ver.」

2014年9月29日 20時開演 こまばアゴラ劇場
構成・音楽・演出:二階堂瞳子
出演 : 加藤真砂美、アマンダ・ワデル、高村枝里、相原歩、安藤ゆかり、伊藤彩奈、伊谷亜子、金佳奈美、高麗哲也、小林ありさ、佐賀モトキ、紗弓、鈴木もも、鈴木郁海、染谷彩花、ダイナマイト・バディ夫、竹田有希子、出来本泰史、飛田大輔、橋本考世、廣瀬瞬、藤田一陽、藤本紗也香、宝保里美、堀井和也、森みどり、谷田部美咲、山岡貴之
2012年5月に舞台上での不祥事により解散したバナナ学園純情乙女組が、1年半の時を経て革命アイドル暴走ちゃんとして復活しました。今年の初めに横浜の相鉄本多劇場で公演があったのですが、スケジュールがあわずいけなかったので、復活後初めての観劇となりました。
相変わらずハイスピードで繰り広げられるオタ芸と、全く何を言っているのかわからないマイクパフォーマンス、パワーアップしているのは客席にまかれる水の量と,ワカメや紙吹雪や豆腐の量。それに、多分ドイツ人の女の子(この子はかなりかわいい)。
言っていることは全く変わりがなくて、「あなた方に会えてよかった。私たちの世界に歓迎します。」の一言ですべてが表せると思います。
水もワカメも豆腐も歓迎の印というわけです。
一つ変わったことは、ラストで観客全員を舞台に上げるというパフォーマンスが加わったことでしょうか。歓迎の儀式が一つ増えたというわけです。私は、めんどくさくて、行かなかったら、客席に残ったのが私一人になってしまってかえって目立ってしまいました。
少し気になったのは、舞台に上がったお客さんの多くが喜んでいるというよりは戸惑っているように見えたことです。
初見の時にも書きましたが、私の若い頃にはこのように「観客と舞台の一体感」を創出しようとする試みが、芝居やパフォーマンスや音楽の世界で数多くありました。それらは時には成功もありましたが、時の流れと共に忘れ去られていきました。昔より格段に多い情報が氾濫する現代において、ある程度一体感の創出に成功している革命アイドル暴走ちゃんは、すばらしいと思います。
だけれども、私としては革命アイドル暴走ちゃんの世界の中身をもう少し知りたい。その世界をわかりやすく展開して見せてほしい。その気持ちが強いです。
いつの時代もあのような舞台を造り続けるには、膨大な知力と体力と意思の力が必要です。革命アイドル暴走ちゃんがこのまま走り続けられるのか、方向転換するのか、はたまた、自然消滅するのか,最大の興味はそこにあります。
最後に、前から3列目の真ん中に座ったおかげでジーパンがびしょ濡れになり、帰りの電車で空いているにもかかわらず座れなかったのには参りました。

Good Morning No.5「秋の、死んで貰います祭り!! 地獄の三本同時上演!」

2014年9月27日 19時30分開演 下北沢OFFOFFシアター
作・演出:澤田育子
出演 : 藤田記子、MINAKO、小椋あずき、野口かおる、柿弘美、澤田育子
1年ぶりのGood Morning No.5は、タイトルにもあるとおり三本立てという暴挙でご機嫌伺いに来ました。初見の衝撃が薄れると、面白さより段取りの悪さが目につきます。この手の芝居にそのようなことをいうのも野暮ですが、三本だての無理がたたって転換のドタバタなど、練習不足がが気になりました。2回目ともなると、みんな宙づりが好きなのねとか、野口かおるは裸になるのが結構好きみたいとか、MINAKOはダンサーで話芸はないのねとか、いろいろわかってきます。わかった上で、また見たいかといわれると、微妙なところでしょうか。
見る前は、三本とも見る気満々でしたが、スケジュールの都合で一本しか見られませんでした。一本見た後の感想は、「一本見れば、十分。無理して三本見なくてよかった。」でした。ちなみに私が見たのは、再演の「愛欲の乱」、残りの二本は、藤田記子と若手女優の組み合わせの「愛欲の乱 NEO」と、藤田記子の一人芝居「みっともない」でした。
年に1回のお祭りとして、何も期待しないで見に行けるなら、いいんじゃないでしょうか。

2014年9月18日木曜日

青蛾館「星の王子さま」

2014年9月12日 19時開演 池袋東京芸術劇場シアターウエスト
作:寺山修司
構成・演出・振付:スズキ拓朗
出演 : 未唯mie、大鶴美仁音、野口和美、森ようこ、山口ルツコ、ジョディ、伴美奈子、七味まゆ味、阿萬由美、新部聖子、万里沙、蜂谷眞味、松山由佳、真弓瞬、清水ゆり、浅場万矢、増田ゆーこ、落合美香、今井夢子、千葉りか子、こもだまり
実はこの芝居を見るかどうかは、かなり迷いました。理由は、今まで寺山の戯曲の上演でおもしろいと思ったことが一度もなかったこと。「男装音楽劇」と銘打ってあり、宝塚のへたくそな真似で、自己陶酔的な芝居を見せられる可能性があること。前から気になっていた若手の劇団ロ字ックの公演が同じ日にあることなどです。
それらのマイナスな要素を振り切って見に行った理由は、ただ一つ、たまごPLINの「最愛!シャイクスピアレシピ」でとても面白い舞台を見せてくれたスズキ拓朗が演出だということでした。
見に行って、大正解。寺山ワールドというよりは、たまごPLINに通ずるところが多々あるスズキワールド全開で、特に前半は、羊ともネズミともつかない着ぐるみを着たコロスが歌うわ、踊るわの大活躍で飽きさせません。
この芝居の寺山的テーマは、「星の王子さまは、見えないものを見るのが大切だというが、それは見えるものを見ないということではないのか。」「星の王子さまがいつまでたっても大人にならないのは、虚構の中に入り浸っているからだ。」というものですが、この芝居でも、点子はラストに「うそだ。この壁のうしろに、青い空だなんて、ある筈がない……。
どうせあるのは、紙の星と、豆電球の天の川!
いつまでも、いつまでも、大人になれない『星の王子さま』!きたないものを見ないふりをするごまかしの童話!
うそでかためたお芝居のホテルの後ろに、ほんものの人生をみせて頂戴!」と叫び、舞台全面に張られていた白い幕が振り落とされて、その後ろで着ぐるみを脱ぎ、私服に着替えた出演者たちが、点子に名前を呼ばれて前に出てきます。そして、本物の星を見るために客席を通って退場していきます。
舞台暗転。
その間、イントレの上で虚構の塊のような女装の野口和美はひたすらうろたえるだけです。それはそうですよね、自分の存在を否定されているのですから。
しかし、舞台は再び明るくなり、点子が戻ってきて「野口和美さん」と優しく呼びかけ、手を伸ばします。それに答えるように手を伸ばす野口和美。
そこで暗転。終演。
ラストを、鈴木拓朗の優しさととるか、主宰者の顔を立てたとととるか、どちらでもかまいませんが、見事な幕切れでした。
確かに、寺山の毒のようなものは表面的にはかなり薄くなったように見えますが、ポリシーはしっかり受け継がれていると思いました。
11月にスズキ拓朗主宰のチャイロイプリンの公演があるようですが、そちらも是非見たいと思います。

2014年9月13日土曜日

葛河思潮社「背信」

2014年9月12日 14時開演 横浜芸術劇場大スタジオ
作:ハロルド・ピンター
翻訳:喜志哲雄
演出:長塚圭史
出演 : 松雪泰子、田中哲司、長塚圭史
なかなかスケジュールが合わないし、あっても人気のようでチケットがとれない長塚圭史演出の芝居ですが、公演が横浜ということもあり、チケットがとれたので見てきました。いってみると、平日の昼間だというのにほぼ満席、やはり、人気があるようです。
内容は私の苦手なシリアスもので、しかも演出がストイックに余計なものを極力そぎ落とし,台詞を立たせることを目指しているようで、なかなかつらい90分でした。
演出としては、余計なことを排除して全体の底上げを狙い、台詞と芝居の構造を明確にすることを目指したのだと思いますが、それが成功するためには、役者の力量が足りないと思います。台詞を聞くだけでイメージが膨らむだけの技量がないと、台詞の意味を理解しようとする努力だけで疲れてしまい、集中が続きません。
私の辛抱のなさもあると思いますが、好みとしてはストイックよりも、1点突破の全面展開を狙う方が好ましいです。
そういう意味で言うと、男の馬鹿さ加減にフォーカスを当てた「わが友ヒットラー」や、ダンスの振付のよな切れのよい一人二役を見せてくれた「醜い男」の方がよく思えてきます。

2014年9月12日金曜日

iPhone6, iPad mini,

iPhoe5を購入したときにブログを書きましたが、その後順調にiPad Retina 64GB Wi-Fiも導入しました。外出にも持ち出して、iPhoneのデザリングでWebにも繋いでみましたが、接続が結構煩わしいこと、何よりも持って歩くには微妙に重くて大きいことが災いして、すぐ、室内専用になりました。外で仕事をする必要があるときには、ノートブックがどうしても必要なので、iPadは仕事の合間の暇つぶしや、情報収集が役割になります。そのためだけに持って歩くには、少々大きすぎ、重すぎでした。
今年の6月頃に、iPhone5のバッテリーが弱りだして使用時間が短くなり出しました。思い切って、バッテリーを交換してもらったのですが、しばらくすると勝手に電源OFFになったりするようになりました。どうも、バッテリー交換が徒になったようです。
その上、老眼のためiPhoneでメールの返信をするのが辛くなってきました。
そこで、メール環境を統一して素早い返信をするため、また、10月にニューヨークに行くことを決めたので、地図を見やすく、今までためたEvernoteのデータも見やすくするためと称して、SIMフリーのiPad miniを7月になって購入しました。Expansysで約9万円でした。プラス、AppleCareを1万円で付けました。
iPhone5はauに下取りしてもらい、差額18000円を払って、ガラケーにしました。
iPad miniは IIJの格安SIMを入れて、月額約1000円、ガラケーもオプションを全て取り払って、月額1000円。今まで、iPhoneだけで6000〜8000円払ってきたことを思えば、かなりのコストダウンになりました。
ただ一つ計算外だったのが、私がガラケーの使い方をすっかり忘れてしまい、電話帳の登録すらもできないことでした。
ほとんど電話をしない私ですが、あまりの使いにくさに、本日SIMフリーのiPhone6を予約してしまいました。月末までには納品されると思うので、されたら速攻、MNPで格安SIMを突っ込んで、使いたいと考えています。

富士山アネット/Manos.「醜い男」

2014年9月11日 20時開演 東京芸術劇場アトリエイースト
作:マリウス・フォン・マイエンブルグ
翻訳:林立騎
構成・演出・振付:長谷川寧
出演 : 板倉チヒロ、中林舞、大原研二、福原冠
20時という遅い開演なので、ゆっくり東京芸術劇場の地下にいったら、シアターイーストには別の芝居のポスターが貼ってありました。劇場を間違えたのかと(過去に一度経験あり)、慌ててWebで検索したところアトリエイーストとのこと。周りを見渡したところ、今まで気がつきもしませんでしたが、シアターイーストの左手にそれらしき受付がありました。中に入ってみると、そこは真っ白い画廊のような空間で椅子が50席くらい並べられていました。
開演前に主宰者の長谷川寧氏の前説で、本体の富士山アネットは、台詞のない演劇的なダンスをする団体であり、今回の富士山アネット/Manos.は、台詞のある演劇を上演する旨の説明がありました。
新聞紙のようなチラシの面白さだけに惹かれて見に来た私にとっては、あまり意味のない情報でした。
ストーリーは、ふとしたことから自分が非常に醜いことを知った男が整形手術を受け、それがあまりに成功したため、真似する者が増えすぎて次第にアイデンティティが崩壊するという、ある種寓話のような話でした。役者は4人だけで、主役の醜い男以外は、一人二役、三役をこなすのですが、その切り替えが、最小限の声色の変化や、動きの変化だけで小気味よく行われ、気持ちがよいものでした。

2014年9月11日木曜日

風琴工房「我が友ヒットラー」

2014年9月10日 19時30分開演 渋谷 TRUMP ROOM
作:三島由紀夫
演出:詩森ろば
出演 : 古河耕史、朝倉洋介、山森大輔、小田豊
前回の「Proof」の芝居がおもしろかったので,見に行きました。まず第一に、その芝居にふさわしいと思える場所を探す情熱に感心します。
「Proof」の時は空に浮かんでいるように見える全面ガラス張りのビルの1室でしたし、今回は渋谷の怪しげな雑居ビルの1室でした。普段は、バーか,クラブとして営業しているであろうアンティークのシャンデリアや、ミラーが所狭しと飾ってある退廃的なムード漂う不思議な空間でした。
その退廃的なムードが背景としてふさわしいと考えて選んだと思われるのですが、その効果が発揮される以前に芝居が残念な結果しか残せていませんでした。
シェイクスピアの作品が典型的ですが作家の書く言葉に力がありすぎる場合、それを言う役者の力量も比例して必要になってくるわけで、それが不足しているときには、今回のように悲しい結果にならざるを得ないということでしょうか。
特に、今回のように本当に役者が目の前で演じていると、演技している役者と一緒に演技していない素の肉体も垣間見えてしらけてしまいます。
考えてみれば、三島由紀夫の戯曲をちゃんと見たのは初めての経験でした。今まで食わず嫌いでしたが、台詞の力強さや構成の巧みさは、さすがな物があります。
次に三島の作品を見るときには、うまい役者の座組で見たい物です。

はえぎわ「ハエのように舞い 牛は笑う」

2014年8月25日 19時開演 池袋東京芸術劇場シアターイースト
作・演出:ノゾエ征爾
出演 : 川上友里、橘花梨、井内ミワク、富川一人、河井克夫、町田水城、笠木泉、竹口龍茶、鳥島明、鈴真紀史、上村聡、踊り子あり、滝寛式、山口航太、ノゾエ征爾
ゾンビ映画のエキストラが主な産業である南の火山島で、様々なエピソードが語られていく。離婚して東京で父親と暮らす妹と一緒にアイスクリームを食べるために牛乳が飲めるようになりたい姉、ゾンビのバイトするために島に流れてきた弟と、自ら記憶喪失になろうとしている兄、大規模なレジャー施設開発の噂におびえるボーリング場オーナーとその右腕、ボーリングのボールが抜けなくなり,悪戦苦闘する二人の男、人間嫌いな自販機飲料補充員、全くかみ合わないカップル、悪事を推奨して落書きをする女、人間でもない動物でもない謎の生物もろた、すべてがどこかでつながっているようでも有り、全く関係ないようでもある。
物語は、それぞれのエピソードを淡々と、しかし十分おもしろく描き、突然、歌と共に終わってしまう。
最後に、口の周りを血だらけにしながら何かを食べている謎の生物もろたと、高校生ながら妊娠しているらしい妹のつぶやきを残して。
まるで、映画のイントロ部分だけか、知らされていなかったシリーズ物の導入部分のようである。この先続きがあるのかどうかもわからないが、それを知るためだけにでも次回作を見たい。

2014年8月25日月曜日

ままごと「わたしの星」

2014年8月22日 19時30分開演 三鷹市芸術文化センター星のホール
作・演出:柴幸男
出演 : 生駒元輝、坂本彩音、佐藤まい、西片愛夏、西田心、札内茜梨、山田菜々緒、吉田圭織、吉田恵、吉永夏帆
現役女子高生をオーディションで選抜して(男子も一人いますが)稽古して、上演する形で作られた芝居でした。
どこかで聞いたことがある話だと思って検索したら、今をさかのぼること20年前、1994年に青山円形劇場の企画公演で、平田オリザ作・演出の「転校生」が同じ形で上演されていました。この公演は私も見ていて、素直に感動したことを覚えています。丁度平田オリザの芝居を続けてみていたときで、この「転校生」、緑魔子主演の今はなき渋谷のシードホールで上演された「思い出せない夢のいくつか」、青年団の「S高原より」を見た覚えがあります。
緑魔子の「思い出せない夢のいくつか」はもちろんおもしろかったのですが、芝居としては「転校生」の方が全体のできがよかった記憶があります。いちばんできがよくなかったのが「S高原より」で、自分が主宰している劇団の芝居がよくないなんて、作・演出にとって、劇団って何だろう、どんな意義があるのだろうと疑問に思ったことも覚えています。
今回、検索した結果、この「転校生」に劇団KAKUTAの桑原裕子が出演していたことも知りました。あのおばさんも20年以上のキャリアがあるのかと知って、少しびっくりしました。
色々昔のことを思い出させてくれた「わたしの星」ですが、今素直におもしろいといえる芝居になっていました。決して芝居がうまいわけでもない、エキセントリックな性格の子をコント的に演じるのは中々うまいのですが、普通の性格、少しドジで、引っ込み思案で、コンプレックスを抱えている役などは結構ぐずぐずになってしまったりしていたのですが、それも台詞に救われたりして、気にならないできあがりでした。
現役女子高生(男子も一人いますが)には、何か魔法のような力があるのでしょうか?
あるとしても、それに気づき、引っ張り出した柴幸男の才能は(20年前の平田オリザも)すばらしいものがあります。
ままごとはなかなか東京での公演がありませんが、あれば是非見たいと思います。

オフィス鹿プロデュース「山犬」

2014年8月13日 19時開演 座・高円寺1
作・演出:丸尾丸一郎
出演 : 鳥肌実、森下くるみ、オレノグラフィティ、山岸門人、ISOPP、丸尾丸一郎
葉月チョビの留学後、2本目の公演になります。1本目の「ジルゼの事情」が評判がよかったようなので見に行きました。
結論から言うとほとんど普通の小劇場の芝居で、鳥肌実の中二病全開の演技と、本来ならチョビがやるであろう役を、かわいい森下くるみが下手なりに健気に演じていたのがおもしろかったくらいで、あの鹿殺しで私が好きだった無謀ともいえるぎらぎらした上昇志向は、葉月チョビに由来するところが大きかったのだと,よくわかりました。
「ジルゼの事情」は再演されるようですが、チョビが帰ってくるまで見に行く必要はないようです。

東京乾電池 ET X 2「ゴドーを待ちながら」

2014年8月9日 19字開演 下北沢ザ・スズナリ
作:サミュエル・ベケット
演出:戸辺俊介
出演 : 柄本佑,柄本時生、山根博、綾田俊樹、荒川楽
柄本明の息子たち、佑と時生が「ゴドーを待ちながら」をやるというので、見に行きました。前評判も高いらしく、満員で補助席まで出る騒ぎでした。
正直言ってスズナリの狭い椅子で3時間弱の芝居を見るのはかなりの苦行です。特に1幕は何度も寝そうになりました。
演出は,1幕を日常として描き、2幕を悲劇として描くというオーソドックスなものでした。
2幕は基本的に1幕の繰り返しであり、それが観点を変えて悲劇的に描かれるわけで、わかりやすくおもしろいのですが、問題はやはり1幕です。
ゴドーを待つということが日常として描かれ,それも延々と続いている訳ですが、ポッツォが出てくるまで、ほとんど何も起こりません。何も起こらないことに意味があるのですが、退屈です。
ベテランの漫才コンビがお互いの芸に飽き飽きしているのですが、話し出すとおもしろい。そんな感じで出来ればいいのにといつも思うのですが、若いETの二人には望むべくもありません。
毎年とはいいませんが、何度もチャレンジしてくれたら、嬉しいです。

サードステージ「朝日のような夕日をつれて2014」

2014年8月5日 19時開演 新宿紀伊國屋ホール
作・演出:鴻上尚史
出演 : 大高洋夫、小須田康人、藤井隆、伊礼彼方、玉置玲央
今をさかのぼること40年以上昔、手伝いに行っていた早稲田の劇団が稽古場を共用していたので、鴻上尚史さんとは2,3回挨拶をしたような記憶があります。ちょうど、彼が第三舞台を立ち上げる少し前くらいだったと思います。それから40年以上がたち、今回初めて彼の作品を見ました。今まで見なかった理由は、会ったときの印象が、「ずるがしこい男」「好きになれない」という、私の勝手な好き嫌いが主な原因だったような気がします。
今なら、本人の性格と作品は別物だとわかりますが、若いときは本当に単純でした。
今回、見に行く気になったのは、この作品が「ゴドーを待ちながら」を下敷きにしていると知ったからでした。ゴドー好きとしては、見ないわけにはいきません。
見た結果を一言で言えば、「やはり好きになれない」という物でした。
何回も再演された演目にもかかわらず、2014年現在にうまくアップデートされていますし、構成も演出もスピーディで鮮やかなものでした。芝居として十分おもしろいものだと思うのですが、例えば、ダンスのうまくない役者のためにゆっくりした振付であらが見えないようにする工夫とかが、本当はかっこよくないのにかっこよく見せようとする考え方が、生理的にだめなのだと思います。
今後、鴻上尚史の芝居を見に行くことは二度とないと思います。

ジョンソン&ジャクソン「窓に映るエレジー」

2014年7月29日 14時開演 渋谷シブゲキ
作・演出:ジョンソン&ジャクソン(大倉孝二 ブルー&スカイ)
出演 : 大倉孝二、ブルー&スカイ、村岡希美、池谷のぶえ、菊池明明、川原一馬、池田成志
役者が自分のやりたい芝居をするために、ユニットを組むとなると、どうしても池田鉄洋の表現さわやかとか、グッドモーニングNO.5のようにぶっ飛んだ芝居を期待してしまうのですが、それからすると少し期待外れの感は否めませんでした。
チラシの文章は結構過激だったのですが、大倉孝二はまともな演劇人だったということなのでしょう。
最初、コント風に始まった芝居もだんだんとストーリーに収束され、最後には2段オチで終わるという見事な構成、演出といってもいいでしょう。しかし、自分のやりたい芝居がそのような普通の芝居なら、わざわざユニットを立ち上げてまでする必要もないような気がします。
役者的には、池田成志オンステージという感じで、池田の重い鉈でずばずば切っていくような演技が堪能できましたし、池谷のぶえの普通のようでいてどこかおかしい不思議な芝居がスパイスとしてよく効いていました。
とくに、池谷の犬の芝居は最高でした。

ロロ「朝日を抱きしめてトゥナイト」

2014年7月20日 19時30分開演 駒場アゴラ劇場
作・演出:三浦直之
出演 : 伊東沙保、板橋瞬谷、森本華、篠崎大悟、小橋れな、山口航太、大橋一輝、島田桃子、大場みなみ、亀島一徳
私が勝手に「演劇童貞派」と読んでいる三浦直之の新作です。ずいぶん久しぶりだなあと昔のブログを検索してみたところ、なんと1年1ヶ月ぶりでした。
ボーイミーツガール物と称されてきたロロですが、ここに来てそれを推し進めて「ミーツ」物に進化してきたようです。自分が自分に会う、自分が親に会う、他人に会う、世界に会う、そんな世界観を獲得したように見えました。相変わらずの語り口のさわやかさと少々のおセンチはそのままに、新しい世界に出発したようです。秋の、シェイクスピアが楽しみです。
最後に、板橋瞬谷が,若き日の竹内力を彷彿とさせてほほえましかったです。