2012年5月31日木曜日

東京乾電池「誰か、月光 恐怖・ハト男」

2012年5月30日 19時開演 下北沢本多劇場
作:加藤一浩
演出:柄本明
出演:江本時生、山地健仁、茨木真之介、戸辺俊介、西田静史、江本明、飯塚祐介、山肩重夫、綾田俊樹、血野滉修、川崎勇人、吉橋航也、田中洋之助、伊東潤
昔、昔、渋谷の山手教会の下にジャン・ジャンがあった頃、そこで見た東京乾電池は、死ぬほどおもしろかった記憶があります。わけは全くわからなかったけれど、ただひたすらおもしろかったのです。
30数年たって、彼らはさらに進化しました。わけがわからない上に、おもしろいのかどうかもわからなくなったのです。
あまりのわけのわからなさに、途中で何分か寝てしまったほどです。
このブログは、感想をメモして芝居を見続けるモチベーションを保つために始めたものですが、ここにきて「感想をメモするにも、言葉にならない」芝居に出逢ってしまいました。
雑居ビルの5階のエレベーターホール、わけありげな男達が出入りして会話を交わしていく。商品の移動を頼まれたが、依頼主が現れず途方にくれる便利屋、絵本作家の書斎に住み着いているアルバイト達、妻がスペインに行ってしまい連絡が取れなくて困惑するサラリーマン、有名らしい皮膚科にやってきた兄弟、漫画喫茶に済んでいるような中年男、殺人があったようななかったような。ハトの怪人がいるような、いないような。突然、ラストはかっぽれを踊っておしまい。
特に芝居がうまい人がいるわけでもなく、不思議なムードだけが全体を覆っている。
東京乾電池の芝居は、あの不思議なムードを楽しむものなのでしょうか?
私には、わかりません。
次回公演を見に行くべきなのか、見なくてもよいのか、それすらもわかりません。

2012年5月26日土曜日

バナナ学園純情乙女組「バナ学シェイクスピア輪姦学校(仮)(仮)(仮)」

2012年5月25日 17時開演 王子小劇場
構成・演出:二階堂瞳子
出演:加藤真砂美、野田裕貴、前園あかり、浅川千絵、あに子、飯田一期、石黒淳士、石澤希代子、今野雄二、海田眞祐、大川大輔、高麗哲也、紺野タイキ、嵯峨ふみか、サノケイコ、七味まゆ味、Jaamil Kosoko、高田百合絵、高村枝里、田中正伸、出来本泰史、中林舞、楢原拓、橋本和瑚、長谷川雅也、林田亮、引野早津希、日高愛美、保坂藍、堀越智太郎、三塚瞬、山田伊久麿、山森信太郎、吉原あおい、吉原小百合
昔、昔、私がまだ高校生だった頃、「アングラ演劇」「アングラパフォーマンス」と呼ばれた演劇がありました。元々の理屈は、その当時欧米に留学していた人たちが持ち帰ったものだと思うのですが、物語のストーリーやテーマ、役者の演技論などよりも、「生の肉体」「生の感情」を観客にぶつけることが大事だとして、裸になったり火を噴いたり、叫び回ったりしていました。音楽のパンクロックに近いものがあると思います。
今回のバナナ学園は、まさにこれです。始まってすぐ、「これは、オタ芸によるアングラ演劇の復活だ。」と、思いました。
びしょ濡れになるほど、水が降る。水だけでなく、ワカメまで降る。たいまつは燃える。花火が上がる。爆竹が爆発する。紙吹雪はまかれ放題。
マイクに向かって叫んでいるが、何を言っているのか全くわからない。
とにかく、マイクに向かってなにか叫んで、大勢でオタ芸で踊る。この繰り返しが、猛スピードで突き進んでいきました。
本番中は、とにかく次に何か起こるのかわからないので、はらはらわくわくしながら、見ていただけでしたが、終演後、冷静になって考えてみると、あの複雑な構成と、ハイスピードな展開をスムーズに行うために、かなりのハードトレーニングがあったと推察されます。役者達は自分の感情を思う存分爆発させられて、一番楽しかったのではないでしょうか。
今回の芝居がおもしろかったと言うよりも、今後、バナナ学園がどのような方向に進んでいくのか、よりパワーアップするのか、方向転換するのか、はたまた、失速してしまうのか、見届けるまで見続けたいと思います。

2012年5月19日土曜日

コーヒーカップオーケストラ「チャンス夫妻の確認」

2112年5月19日 14時開演 王子小劇場
作・演出:宮本初
出演:宮本初、前田昂一、後藤彗、モリサキミキ、田中慎一郎、ともい江梨、椎橋綾那、上山光代、後藤陽子、鹿島ゆきこ、長瀬みなみ、竹田りさ、赤本颯、菅山望、川島啓嗣、皮墓村、ヨウラマキ
作・演出の宮本初が前回見てとてもおもしろかったはえぎわの演出助手をしていたと言うことで、結構期待して見に行ったのですが、結果は残念の一言。
テンポは悪いし、ギャグは寒い、物語はつまらない。よいところが見当たらないできばえでした。何しろ役者がおもしろがってやっていないというか、与えられた台詞を繰り返しているだけという感じでした。
物語の作り方にはえぎわの影響が見えるのですが、批評なき真似は本家の劣化版にしかならないという見本のようでした。
チラシに「馬鹿馬鹿しい物語をストイックに追求していきたい」とありましたが、こういうことを公言している劇団は、言うほどでもないところが多いようです。
次回公演は見に行かないつもりです。

はえぎわ「I'm here」

2012年5月17日 19時30分開演 地も北沢ざ・スズナリ
作・演出:ノゾエ征爾
出演:井内ミワク、町田水城、鈴真紀史、滝寛式、竹口龍茶、踊り子あり、川上友里、鳥島明、富川一人、山口航太、ノゾエ征爾、金珠代、萩野肇、鈴木将一朗、笠木泉
この劇団を見ることに決めたのは、どーんと大きく写ったプールのチラシがすてきだったからです。どんな芝居をするのか予備知識ゼロで見ましたが、思いもよらず、素晴らしい観劇になりました。自己紹介から始まり、なぜか全員追い詰められた状況にあることがだんだん明らかになります。場面転換は素早く、時間はめまぐるしく過去と現在を行ったり来たりします。会話にはユーモアとペーソスがあふれ、よくわけはわからないのだが、ぐいぐい物語の中に引き込まれてしまいました。
ラストでは、全員、結構大変な状況にいるけれど、それでも私たちはここにいる。「I'm here」と自己紹介をもう一度して、終わります。うまく言葉にしていえないけれど、少し感動しました。
次回公演も是非見たいと思います。

2012年5月17日木曜日

イキウメ「ミッション」

2012年5月16日 19時30分開演 シアタートラム
作:前川知大
演出:小川絵梨子
出演:渡邊亮、浜田信也、井上裕明、岩本幸子、安井順平、太田緑ロランス、伊勢佳世、盛隆二、森下創、大窪人衛、加茂杏子
以前、イキウメの「散歩する侵略者」のゲネプロを見る機会があって、その時、場面転換で芝居がクロスフェードする演出に感心したのが、今回の観劇の動機でした。
「ミッション」では、芝居自体のクロスフェードはありませんでしたが、場面転換の道具の移動を役者が実にスムーズに行って、転換による集中力の途切れを感ずることなく、2時間の芝居を一気に見ることができました。おかげで、終演後一度に足腰のこわばりを感じて、しばらく動けませんでした。
いかに他の芝居では、転換により集中力が途切れているか、考えさせられました。こんなに丁寧な演出は、この劇団ならではと思います。「平凡な日常生活に、ささやかな違和感が知らず知らずのうちに入ってきて、いつの間にか新しい世界が見えてくる。」というのがテーマだと思うのですが、結構さりげなく描かれているので、うっかりすると単なる家庭劇と思ってしまいそうです。
役者では、妙に賢くて独善的ないやな奴を演じた大窪人衛が目立っていました。
今後も、注目していきたいです。

2012年5月16日水曜日

劇団桟敷童子「改訂版 軍鶏307」

2012年5月15日 19時30分開演 すみだパークスタジオ
作・演出:東憲司
出演:中井理恵、稲葉能敬、鈴木めぐみ、大手忍、山本あさみ、川原洋子、外山博美、徳留香織、椎名りお、もりちえ、新井結香、原口健太郎、桑原勝行、深津紀暁、井上昌徳、橋本克己、板垣桃子
つい字面だけを見て、いきおいで「ざしきわらし」と読んでしまいますが、正しくは「さじきどうじ」だそうです。
私の中では、状況劇場→新宿梁山泊→桟敷童子とつながる唐十郎派閥の劇団というイメージでした。もちろん、そんな派閥があるわけではなく、あくまで私の中での勝手な想像に過ぎません。
今回、初めて見に行ったこの劇団に対する興味は、唐十郎好き三代目の演劇人が、どんな芝居を見せてくれるのか、ということでした。唐十郎の物語性、ロマンチックさを、どんな新しい地平で見せてくれるのかというのが、観劇前の私の勝手な期待でした。
観劇後の私の感想は、「これは演歌だ」という一言に尽きます。反戦、反体制にまで突き抜ける、息子を思う母の狂気をテーマに、ラストに大仕掛けな装置を出してお客を圧倒して終わらせる。
一見、ドラマチックでダイナミックなテーマと展開に見えますが、実際は先のストーリーがすぐ読めてしまう予定調和的な芝居になっていました。
きっと、作・演出の東憲司は確信犯なのだと思います。日本人の心情を揺さぶるエピソードを並べて、最後に大仕掛けな脅かしを見せてカタルシスを与えれば、オーケーを考えているように見えます。妙に前舞台が狭く、書き割りで奥を隠し続ける装置も、ラストに大物が出てくることが容易に想像できますし、それが飛行機であることも「希望の飛行機の塔」という台詞でわかってしまいます。何よりも、オープニングの竹槍訓練の場面が説明的すぎて、単調で退屈でした。あそこがもっと、わけがわからない演出なら先の展開が読めなくて興味が持てたのかもしれませんが、あそこで、70%くらいストーリーがわかってしまうのは、いただけません。
まるで、無法松の一生の母版のような「演歌」な芝居でした。次回公演は、見に行かないと思います。

2012年5月6日日曜日

サンプル「自慢の息子」

2012年5月2日 19時30分開演 駒場アゴラ劇場
作・演出:松井周
出演:羽場睦子・古館寛治・古屋隆太・奥田洋平・野津あおい・兵藤公美
第55回岸田戯曲賞受賞作品の再演公演だいうことは、観劇後に読んだパンフレットで知りました。先入観を持たずに見られたのは、よかったかもしれません。
自分の部屋にぬいぐるみの王国を作る引きこもりの男、徘徊症で夜は街角に立つ母親、殺人衝動を抑えられない兄、そんな兄に依存している妹、いもしない赤ちゃんの洗濯をし続ける隣の女、全員、現実と妄想の間で宙ぶらりんになり、身動きがとれないでいる。兄と妹は、引きこもりの王国に身を寄せることで再起を果たそうとするが、兄は隣の女のいもしない赤ちゃんの二代目になることで新しい妄想を獲得し、妹は引きこもりと結婚することで、新たな依存を獲得する決意をする。物語は、ラスト、現実と妄想の間で身動きできない彼らを象徴するように、ストップモーションで暗転する。妄想のツアーガイドをする宅配便の男は、母親と結婚すると表明することで、現実と妄想、両方を引き受けることを表しているようだ。それは、作者の意志を表しているのかもしれない。
次回公演もぜひ、見たい。

2012年5月2日水曜日

ナイロン100℃「百年の秘密」

2012年5月1日 19時開演 下北沢本多劇場
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:犬山イヌコ、峯村リエ、萩原聖人、山西惇、大倉孝二、近藤フク、田島ゆみか、廣川三憲、松永玲子、長田奈麻、みのすけ、村岡希実、藤田秀世、水野小論、猪股三四郎、小園茉奈、安澤千草、伊与勢我無、木乃江祐希、
私の中のケラリーノ・サンドロヴィッチのイメージは昔、有頂天でチューリップの心の旅を変なハイテンションで歌っていたときのものでした。初めて見るナイロン100℃の芝居も勝手にハイテンションなものだと思っていました。
しかし、実際の芝居は構成力に富んだ落ち着いたものでした。みんな演技はうまいし、要所要所で現れる映像演出も今まで見た中で一二を争うほど素晴らしいものでした。
でも、もう一度ナイロン100℃を見たいかと考えると、「もう十分だ。」しか思えません。
私が芝居で見たいのは、ある種の「過剰さ」なのだと知りました。バランスをくずしても何かを追求している様を見たいという気持ちがあります。それは、「若さ」と呼べるのかもしれません。3時間半という長丁場を飽きずに見終わって、満足はしているのですがそんな想いが心を離れません。
おもしろかったと思いつつも、また見たいとは思わなかった。初めての体験でした。
役者の中では、コナ役の峯村リエが押さえた演技で特に素晴らしかったです。

2012年4月27日金曜日

毛皮族「演劇の耐えられない軽さだネッ Wの喜劇」

2012年4月26日 19時30分開演 スタジオイワト
作・演出:江本純子
出演:江本純子・金子清文・高野ゆらこ・高田郁恵・柿丸美智恵・延増静美
江本純子は、青木さやかに似ている。顔つきも、「どこ見てんのよ!」と世間にけんかを売っているような雰囲気もそっくりだ。
物語は「Wの悲劇」のパロディのような筋立てで、役者が大げさに演じる「女優」を江本が、突っ込んだり、ぼけたりして進めていくが、全体の構成が結構ラフなので、そのまま流れてしまうシーンも多く見られた。
芝居のできがどうのこうのというよりは、江本純子の「どこ見てんのよ!」という姿勢の裏側にある怒りや悲しみ、あきらめこそがおもしろい舞台でした。
次回公演は、余裕があれば見たいと思います。

2012年4月26日木曜日

Phoebe Snow

4月26日で、大好きだったフィービー・スノウが亡くなって1年がたちます。
初めてフィービー・スノウを聞いたのは、ファーストアルバムの「フィービー・スノウ Phoebe Snow」でした。どんな歌手か全く知らなかったのですが、バックにベースのチャック・イスラエルやズート・シムス、テディ・ウィルソンなどジャズ畑の人が入っているので、それに惹かれてLPを買いました。まだ、CDではありませんでした。
一曲目を聞いて、その声に一発で惚れました。元来、マリア・マルダーや、リタ・クーリッジなどの少しハスキーで太めの声が大好きだったので、即、マイフェイバリットシンガーの仲間入りです。
初期に、2回来日した記憶があります。1回目は読売ホールで私はいけなかったのですが、行った人の話では、かわいそうなほどお客が入っていなかったそうです。2回目は、私も横浜県民ホールに見に行きました。ギタリストがフィービーのギターのチューニングを時々直してあげていたのが、ほほえましかったことを覚えています。お客の入りも8割くらいは入っていて、これなら3度めの来日もあるだろうと安心したことを覚えています。
しかし、その後生まれた赤ちゃんに障害があることがわかり、育児に専念するためにツアー活動をやめるという記事を雑誌で読んでがっかりしました。
ツアーに出ないでスタジオでコーラスの仕事やコマーシャルソングを歌っていたようです。そういえば、パティ・オースティンもお母さんの体が弱くて、鳴り物入りでデビューしたのツアーに出ないで、スタジオワークだけにしぼり、一部で「コマーシャルソングの女王」と呼ばれたりしてましたね。
その後は、新しいアルバムが出たのがわかれば買う程度だったのですが、2回、生のフィービーを見損ねた想い出があります。
両方ともニューヨークに遊びに行っていたときのことですが、一度は、チケットエージェントのホームページを見ていたときにニュージャージーの野外劇場で、フィービーのコンサートがあることを知りました。場所が鉄道とバスを乗り継いで行かなければ行けないようなところで、コンサート後、深夜にマンハッタンに戻ってこれるかどうかわからなくて、あきらめました。
2回目は、オープン間もないB・B・キングクラブのスケジュールボードを見たら、次の週にフィービー・スノウの名前があったのです。そのときは急いでいたので、次の日にお金を持って行ってみたら、もうキャンセルになっていました。
最近は、新しいアルバム「ナチュラル・ワンダー」もだし、少しづつ露出も増えてきたので、これは来日もあるかもと期待していたところに、入院、訃報の知らせで残念でなりません。
Youtubeで検索すると、ポール・サイモンやリンダ・ロンシュタット、スティリーダンのコンサートで歌っているフィービー・スノウを見ることができます。
元々、神経質な人のようで、ライブでは緊張しているのか声が固く、CDで聞く方が柔らかくて豊かな声が楽しめます。
代表的なCDはほとんど持っていると思いますが、CD化されていないビリー・ジョエルのバックバンドとやった「ROCK AWAY」は聞いたことがありません。
どこか、CD化してくれないかなあ。
未CD化といえば、ジョー・コッッカーがスタッフをバックに歌っている「スティングレイ」も、CDになっていませんね。これも是非聞いてみたい一枚です。
そのうち、ジョー・コッカーについてもかいてみたいと思っています。

2012年4月25日水曜日

チェルフィッチュ「現在地」

2012年4月24日 19時30分開演 神奈川芸術劇場大スタジオ
作・演出:岡田利規
出演:山崎ルキノ・佐々木幸子・伊東沙保・南波圭・安藤真理・青柳いづみ・植村梓
「絶頂マクベス」に続き女優だけの芝居でした。
まるで物語を語るように全員同じようなトーンでゆっくり語られていく、寓話のようなお話でした。
3月11日の大震災後の日本の現状を色濃く反映した内容だったと思います。とくに、ラストの「そして村は何事もなかったように、穏やかな日々を取り戻しました。」という台詞とともに、客電がつき、舞台もフラットに明るくなる演出に、作者の考えがはっきりと現れていました。
淡々と進んでいく芝居、全員が同じような形の台詞回しの中で、2時間休憩なしの舞台を飽きさせないで見せる構成力、演出力はすごいと思いましたが、次回もみるかと言えば、微妙です。

2012年4月21日土曜日

Levon Helm

Twitterで、4月19日にLevon Helmが亡くなったことを知りました。好きで、今でもiPhoneに入れてよく聞いているミュージシャンが、また一人行ってしまいました。
Levon Helmの最大の想い出は、RCOオールスターズでの初来日です。今はなき久保講堂と日比谷野音でのコンサートに仕事でつきました。1978年のことです。
今から考えてもメンバーがすごくて、Levon Helm,Steve Cropper,Donald Duck Dunnがいました。そういえば、Satday Night LiveのハウスバンドやブルースブラザースのバンドにいたTom Maloneもいましたね。
最高におかしかったのは、Dr. Johnがメンバーに同行していてコンサート会場にも毎回きていたのに、一回も歌わずに帰ってしまったことでした。スタッフ一同、是非とも彼の歌を聴いてみたいと熱望していたのですが。今から考えれば、レコード会社との契約の問題があったのかもしれません。
私は、このコンサートで初めてパーライトとロックボードを見ました。野音の昼間でシュートしても当たりがわかる、色が見えることや、ロックボードの無限とも思える点滅パターンに感激したことを覚えています。
何よりびっくりしたのは、パーライトの軽さと明るさでした。それまでの野音の仕込といえば、3Kwや5Kwのソーラーやサンスポットを汗をかきかきイントレの上に担ぎ上げ、夕方を待って無理矢理シュートして、照明がきき始める頃にはコンサートが終わるという状態でしたから、ひとりで何台も持てるパーライトが、真っ昼間からシュートできるくらい明るいというのは革命的でした。
私をはじめてパーライトと出逢わせてくれたLevon Helmに感謝、そして合掌。

2012年4月18日水曜日

柿食う客 女体シェイクスピア「絶頂マクベス」

2012年4月17日19時30分開演 吉祥寺シアター
原作:W.シェイクスピア 脚色・演出:中屋敷法仁
出演:深谷由梨香、内田亜希子、荻野友里、我妻三輪子、葛木英、佃井皆実、小野ゆり子、斎藤淳子、藤沢玲花、葉丸あすか、渡邊安理、岡田あがさ、七味まゆ味、新良エツ子、きたまり
初めての柿食う客観劇。女優だけのシェイクスピア。休憩なしの90分バージョンなので、多くの場面が、役者の一人台詞で語られる。メリハリのきいた台詞回しと、細かいポージングの切替は、宝塚を思わせるものがありました。この記事を書くに当たり、ネットで柿食う客を検索していたら、中屋敷法仁さんのインタービューがあり、その中でも、台詞回しとポージングについて言及がありましたから、中屋敷さんの演出方法なのかもしれません。
女優はみんなかわいくて、好感が持てるのですが、演出の中で踊っているだけのような気がします。一人でも、その枠から飛び出してくるような人がいれば、さらにおもしろくなったような気がします。
次回は、男優も交えた芝居がみてみたいです。
是非、次回作も見に行きます。

追記(2012/4/21)
その後、Ustermで、すべての配役を入れ替えた乱痴気公演を見ました。といっても、気づくのが遅くて、ラストの30分だけでしたが。
確かマクベスをやったのは。七味まゆ味さんだったと思いますが、本公演の深谷由梨香さんにルックスでは負けていましたが、マクベスの狂気という点では優れていました。
全体のバランスでは本公演、マクベスに関しては乱痴気公演のほうが上という感じでした。

2012年4月17日火曜日

2012年第一四半期観劇の総括


20121月から3月の間に見た芝居は、16本でした。

114日 アイガットマーマン
121日 劇団鹿殺し「青春漂流記」
131日 ハイバイ「ある女」

22日 下谷万年町物語
210日 ぬいぐるみハンター「愛はタンパク質で育ってる」
211日 地点「トカトントンと」
2月20日 角角ストロガノフ「昆虫美学」
2月21日 劇団MONO「少しはみ出したら殴られた」
2月28日 KAKUTA「分岐点」

3月6日 あひるなんちゃら「まあまあだったね」
3月7日 「すばらしい一日」
3月10日 加藤健一事務所「ザシェルター」「寿歌」
3月14日 FUKAIPRODUCE羽衣「耳のトンネル」
3月15日 「黄色い月」
3月28日 MODE「満ちる」
3月30日 キティフィルム「破壊ランナー」

月平均5本強、何十年かぶりに芝居を見始めたにしては、まあまあいいペースなのではないかと思います。
この中で、ベスト3を選ぶならば、

ハイバイ「ある女」
劇団MONO「少しはみ出したら殴られた」
FUKAIPRODUCE羽衣「耳のトンネル」

の、3本です。
ハイバイ「ある女」は岩井秀人の芝居がおもしろく、劇団MONO「少しはみ出したら殴られた」は人間の弱さ、ずるさをさらりと日常のなかで描いたのに好感が持てました。FUKAIPRODUCE羽衣「耳のトンネル」は力一杯明るく楽天的で楽しい芝居でした。
次点としては、

劇団鹿殺し「青春漂流記」
ぬいぐるみハンター「愛はタンパク質で育ってる」
KAKUTA「分岐点」

の、3本を選びたいと思います。
劇団鹿殺し「青春漂流記」は、ゲスト出演の高田聖子だけがおもしろいという残念な結果でしたが、あの過剰なサービス精神は素晴らしいものがありますし、ぬいぐるみハンター「愛はタンパク質で育ってる」の若さあふれるスピード感もおもしろかったです。KAKUTA「分岐点」は劇団15周年記念公演で、3章の芝居を別々の演出で見せるというごちゃごちゃになりそうな芝居をシンプルにまとめ上げた劇団の力量に感心しました。
すべて、次回公演も見たいと思わせるに十分な内容だったと思います。

第一四半期全体を振り返ってみると、私の好きな芝居の傾向がかなりはっきりしてきました。
第一に、大きな劇場で有名な役者が出ている演目に、あまり好感を持っていない。1万円以上も払って見に行く気になかなかなれない。チケットが取りにくいせいもありますが。
第二に、シリアスなテーマを大上段に振りかぶって、正面から攻めるタイプは苦手。
第三に、基本、笑わせてくれる芝居がすき。
こんなところでしょうか。
4月以降も、がんばって芝居を見たいと思います。

2012年4月13日金曜日

劇団離風霊船「SUJBJECTION」

21012年4月12日 19時30分開演 下北沢ザ・スズナリ
作・演出:大橋泰彦
出演:伊東由美子、松戸俊二、山岸諒子、小林裕忠、倉林えみ、橋本直樹、江頭一晃、竹下智雄、神谷麻衣子、瀬戸純也、大矢敦子、鈴木紀江、柳一至、栗林恵美子、祥子、相川倫子、平石祥子、長橋佳奈
劇団名と、おもしろいという評判は昔から知っていましたが、なぜかチャンスがなく、初めての観劇でした。一言で言えば、評判通りおもしろい。
一つの舞台に二つの芝居が存在するというアイディア、そのかみ合い方やかみあわなさ加減の妙。個々の役者の演技の質の高さ。すべてが好ましいものでした。
一つ残念なのは、ラストの終わり方がおとなしすぎることです。何かばしっと決まる演出があれば、もっと締まったのにと思ってしまいます。
とはいえ、もっと前から見ていれば、私の観劇ライフもより豊かなものだったかもしれないと思わせる芝居でした。
次回公演も、是非見に行きたいです。

2012年4月7日土曜日

リジッター企画「もしも、シ」

2012年4月7日 14時開演 王子小劇場
作・演出 中島庸介
出演:工藤理穂、芦沢統人、川上ルイベ、石澤希代子、津和野諒、マリカ、丸石彩乃、中島康介、沖山麻生、西川康太郎、森脇洋平
大人計画の当日券の電話があまりにもつながらないのであきらめ、同時期に公演していたこの芝居を予約してみました。
物語は、「1995年1月17日、フルサトという名の少女が死んだ。その15年後、東京。舞台はテレマーケティング事業部。今日も主任のタカラとアルバイト達は電話の仕事をしていた。そんな中、嫌われ者のハジメは謎の少年と出逢う。少年に名はなく、心臓は止まっていた。ハジメは言う。『君は見えちゃまずい奴なんじゃないか?』その出逢いによって、ある記憶が蘇ったハジメは、ピストルを持ってタカラの元へ向かうのだった。タカラとハジメの過去とは。そしてその少年の望みとは。」(公演チラシの裏面より)
まあ、こういったストーリーが華麗なレトリックに満ちた台詞で語られるわけです。私は、若い頃見た寺山修司を思い出しました。もっと若い人なら、野田秀樹みたいと言うかもしれません。
でも、その華麗なレトリックに満ちた台詞の洪水の果てにくる結論は、「フルサト/故郷を忘れるな」というあまりにもストレートなわかりやすいものなのです。その結論なら、もっとふさわしい演出、演技があったと思います。華麗なレトリックに満ちた台詞の芝居のエンディングは、華麗に決めていただきたいものです。
この芝居を見て、なぜ寺山修司があまり好きでなかったのか思い出しました。それは、「華麗なレトリックに満ちた台詞」が成立するにはそれを支える役者の肉体が必要なのに、当時の天井桟敷の役者はへたくそでみていて恥ずかしくなるほど空回りしているだけだったからです。役者が台詞を理解しているとはとうてい思えず、役者の演技をすべて無視し、台詞の意味だけに集中して寺山修司のイメージを追いかけていたような気がします。
この芝居の役者達は、昔の天井桟敷よりははるかにうまく、決められた動きを無難にこなし、指示された感情で台詞を言って、芝居をしていました。でも、それがかえって操り人形のように見えて、うすら悲しい気持ちにさえなりました。
この団体の次回公演を見に行く気にはならないと思います。
「チャレンジ観劇シリーズ」第九弾も、残念な結果となりました。

2012年3月31日土曜日

キティフィルムプレゼンツ「破壊ランナー2012」

2012年3月30日 19時開演 東池袋 あうるすぽっと
作・演出:西田シャトナー
「惑星ピスタチオ」の公演は、一度も見たことがありません。ピスタチオ解散後、どこかの芝居に客演していた腹筋善之介が、自分の持ちネタのような扱いで「パワーマイム」を披露していたのを見て、とてもおもしろかった記憶がありました。その記憶を頼りにこの公演を見に行ったのですが、開始5分で残念な結果に終わることが予想でき、最後までその予想は外れることはありませんでした。
小道具や装置を排除し、すべての状況や状態、心象までを説明しすぎるほどに説明しつつ、大量のギャグをその中に投入するこの芝居には、役者に講談師や、落語家のような「語り」の技術、芸が必要とされると思います。それを、そこいら辺の若い役者に要求するのは無理がありすぎます。結果、何を言っているかわからない場面ばかりの薄ら寒い時間だけが流れていくことになってしまいました。
台本は結構おもしろいし、演出もがんばっている、でも役者がそれに答えられなければ、ろくな舞台にはなりません。
懐かしさから舞台を見に行くのは、やめた方がよいと思いました。昔の戯曲でも、舞台はいつも現在進行形のものなのですから。

2012年3月27日火曜日

MODE「満ちる」

2012年3月26日 19時開演 座・高円寺1
作:竹内銃一郎
演出:松本修
出演:すまけい、小嶋尚樹、中田春介、若松力、岡部尚、山田キヌヲ、大崎由利子、中地美佐子、山田美佳
いつもは「カフカの小説の舞台化」という、あまり私が興味が持てない作業をしているMODEの舞台を見に行く気になったのは、ひとえにすまけいが出演するからでした。私が芝居に関心を持ち始めた30年以上前に、すでに「伝説の役者」だったすまけいは、私が芝居を見始めた頃には、すでに舞台から遠ざかっていて、井上ひさしの芝居で復活したときは、私の方が舞台を見にいく意欲を失っていた時機でした。
初めてのすまけいは、片手片足が不自由で台詞回しも完全とはいえませんでした。芝居後半の娘との二人だけのシーンは、年老いた役者の芝居はこうあってほしいと私が思っていたことを具現したような素晴らしいものでした。森繁久彌や三国連太郎のような妙に偉そうな芝居でなく、どこか悲しくでも誇り高い、人間味あふれる堂々としたものでした。残念ながら、登場人物が増えてくるとまわりのスピードについて行けず、もたもたしてしまうのは残念でした。
何人かの役者が大声で怒鳴ることで怒りを表す芝居をしていましたが、それがうるさく気になりました。
舞台装置として、前面にシネマスクリーンを表す枠がつり下げられ、場面転換の時にフィルムのコマ落としのような効果がほどこされて、全体を映画にみせる演出がされていました。
また、カメラリハーサルのように台詞に詰まる→台本が出てきて段取りの確認→その前からやり直すというようなシーンもありました。これらが、「映画=虚構」を表す演出なのか、すまけいの不自由さ故の方策なのかよくわかりませんでした。

2012年3月24日土曜日

ローチケ

今年に入っていろいろ芝居を見るようになって、劇場に行くたびにくれるチラシを大切に持って帰って、仕事のスケジュールとにらみ合わせて見に行く芝居を決めています。
見に行く芝居が決まったら、次はチケットの予約です。インターネット上のいろいろなチケット予約サービスを使って予約していくわけですが、現在様々な予約サービスがあります。チケットぴあ、イープラス等々。
今回、ローチケというサービスを初めて使ったわけですが、これが実に使いにくいのです。
まず、会員になるときに、いろいろな会員があってどれにしたらいいかわかりにくい。最初に「ローチケWEB」の会員になろうとしたら、ほしくもない「PONTAカード」を作らされそうになって慌ててブラウザ閉じたりしました。
やっとの思いで会員になり、チケットを予約しても、発券がまた実にめんどくさい。
「Lopi」とか言う専用端末に、「会員番号」「予約番号」「暗証番号」をいちいち入力して、あげくに予約に使ったクレジットカードを自分でスワイプしなければいけないのです。最後のとどめは、出てくるのは実券ではなく「引換券」、それを持ってレジに行き、やっとことで、実券を手にできるのです。
なんと回りくどいサービスでしょう。二度と使いたくありません。

パルコプロデュース「テキサス」

2012年3月22日 19時開演 渋谷パルコ劇場
作:長塚圭史 演出:川原雅彦
出演:星野源、木南晴夏、野波麻帆、岡田義徳、福田転球、政岡泰泰志、伊達曉、吉本菜穂子、山岸門人、湯澤幸一郎、川原雅彦、高橋和也、松澤一之
この芝居を見ることに決めたのは、噂だけで見たことがなかった長塚圭史の戯曲を、同じく評判だけ知っていたハイレグジーザスの川原雅彦が演出するからでした。
要するに、今、生きがよいとされている脚本家、演出家がどんなものだか自分で体験したかったのです。
極端な設定(トロッコとロープウェイと称する綱渡りでしかたどり着けないど田舎で、住民は暇つぶしに格安の整形手術を受けて、全く別の顔になっている)を違和感なく見せるのに、けれんみあふれる演出は有効だとは思うのですが、全体の疾走感が全く足りていません。ギャグを一つ言うたびに、役者が「ドヤ顔」を決めているような気すらして、スピードが全く上がっていきません。
疾走感があれば、暇つぶしに整形で別人になってしまう人々のやるせなさまで、明確に観客に伝わったと思います。
殺し屋の役で出てきた川原雅彦之演技はかっこつけてるのが見え見えで、今時、高校の演劇部でもやらないような芝居で、みていられませんでした。