2014年4月21日月曜日

シベリア少女鉄道「あのっ、先輩…ちょっとお話が… …ダメ!だってこんなのって…迷惑ですよね?」

2014年4月17日 14時開演 座・高円寺1
作・演出:土屋亮一
出演:篠塚茜、加藤雅人、竹岡常吉、川田智美、小関えりか、岸茉莉、雨宮生成
実に大胆というか、人を食った設定の芝居でした。ビフォートークと称して、演出家とよくシベリア少女鉄道に出演しているが、今回はスケジュールの都合で参加できなかった役者3人が、つまらない話をしてから芝居が始まります。ストーリーはよくある学園物で、「なんだこれは」と思っていると、ビフォートークに出演した役者が勝手に舞台に登場し始めます。最初は、遠慮がちでしたが、だんだん大胆に成り、学園物の出演者に絡んだりします。本来の出演者は笑いを一生懸命こらえながら、なんとか芝居を続けようと懸命の努力を続けます。乱入者3人は、「俺たちだって舞台に出たい」との思いがエスカレートして、ラストには「進撃の巨人」の大きな着ぐるみを着て学園物の登場人物に襲いかかります。ひとしきり、格闘シーンがつづいて、ラストにやたらと長いタイトル名を叫んで暗転、お終い。タイトル自体がオチでしたというわけです。
ある構造に全く関係のない別の構造が突然挿入されてくる。その混乱と、戸惑いをドタバタ風に描き、最後はわかりやすいパロディでしめる。その基本構造は面白そうなのですが、実際の舞台はそんなに面白くはなりませんでした。ひと味足りない物は、いくら足してもおいしくならないと言うことでしょうか。

2014年4月17日木曜日

江古田のガールズ「仮面音楽祭」

2014年4月16日 19時開演 赤坂レッドシアター
作・演出:山崎洋平
出演:瓜生和成、内野聡夢、恩田隆一、小林光、幸野紘子、荒川佳、藻田留理子、増岡裕子、うらじぬの、大村わたる、長瀬みなみ、斉藤祐一
開演前の前説を作・演出の山崎洋平自ら行っていたが、その段階から薄ら寒さ全開でそのまま、寒い芝居が2時間続いてしまいました。
「観客にただただ楽しんでもらいたいだけだ。」という芝居だそうですが、その思いに嘘はないものだとしても、お笑いにはセンスや才能が何よりも必要であり、それがないとどうしようもないことが証明されたということでしょう。この「江古田のガールズ」は、何度もチラシは見かけたのですがタイミングが合わずなかなか見られなかった劇団ですが、見てがっかりの劇団でした。見るまでにかかった時間の分だけがっかり度も大きかったのかもしれません。
深夜のカラオケボックスでの合コン、「最初からうまくいかない男女の思いをカラオケにのせて替え歌で歌いまくる。」というアイディアは悪くないと思うのですが、誰でも思いつきそうなプランだけに、作・演出のセンスが重要だと思います。それを、どこかで見たことがあるような安直な演出に終始し、加えて役者の歌が下手すぎときては救われません。演出も歌がもたないという自覚はあるらしく、振付やコーラス、合いの手などを入れてくるですが、ダンスも下手、合いの手を入れるために出入りするのもうるさいだけという有様で、救われません。

2014年4月13日日曜日

東京乾電池「そして誰もいなくなった」

2014年4月10日 19時開演 下北沢本多劇場
作:別役実
演出:柄本明
出演:柄本明、柄本時生、伊東潤、山地建仁、麻生絵里子、血野滉修、重村真智子
東京乾電池の芝居を見るのはこれで3本目になるのですが、またしても面白くない芝居を見る羽目になりました。戯曲は、アガサ・クリスティの同名小説「そして誰もいなくなった」を元に、なぜか集められた10人が順番に不条理な理由で殺されていくと言うストーリーになっています。本多劇場のこけら落としに、別役実が書き下ろしたものだそうです。
「人が殺されたことにより周りにかける迷惑」を理由に殺されていく、まさに不条理なナンセンスな話なのですが、それを声高に喋りまくるだけで、不条理に従わざるを得ない人間の悲しみや空しさに注意を払わないがさつな演出にがっかりしました。
前回見た「真夏の夜の夢」の時にも感じたのですが、細かいニュアンスを無視していくような演出方法に魅力はありません。
若い頃、今はなき渋谷のジャンジャンで見た「ストーリーは全く頭に残らないが、ただただ面白かったという印象だけがのこる。」東京乾電池はなんだったのでしょうか?
不条理の罠にはまって、頭でっかちになり、体力もなくなるとあのような結果になるのでしょうか。とても残念です。

2014年4月8日火曜日

ちからわざ「はるヲうるひと」

2014年4月3日 19時開演 下北沢ザ・スズナリ
作:佐藤二朗
演出:堤泰之
出演:大高洋夫、兎本有紀、今藤洋子、笹野鈴々音、野口かおる、大田善也、韓英恵、佐藤二朗
芝居を見終わった後この芝居について考えていると、その前に見た芝居と比較していることに気がつきました。その前の芝居とは、遊園地再生事業団の「ヒネミの商人」のことですが、「ヒネミの商人」がほとんど日常会話で成り立っているのを中村ゆうじの意味ありげな芝居がぶちこわしているという構造だったのに対して、この芝居はほとんど全てを台詞で表現してました。
大高洋夫演じる鬼畜な置屋の経営者のむなしさも、今藤洋子演じる娼婦のいらいらもすべて台詞として書かれています。唯一、そんな台詞のない佐藤二朗演じる大高の腹違いの弟で娼婦たちの世話係も、ラストでは自殺した父親との約束で喋ってはいけない秘密を抱えて生きてきたことを語ってしまいます。
それ故、役者たちの演技は台詞にリアリティをもたせることに主眼が置かれ、ほとんどの台詞が客席に向かっており、会話をしているという感じがありません。実にわかりやすいと言えばわかりやすいのですが、ソロパートばかりでアンサンブルのない音楽を聴いているようで、違和感がありました。

2014年4月3日木曜日

鳥公園「緑子の部屋」

2014年3月26日 19時開演 3331 Arts Chiyoda B104
作・演出:西尾佳織
出演:武井翔子、浅井浩介、鳥島明
私には今ひとつ理解できない若い女性演出家の芝居に再チャレンジしてみました。ストーリーは、「なぜか死んでしまった緑子のお葬式に、元彼と中学高校の同級生が呼ばれ、話していく内に、緑子の人生が浮かび上がっていく。」というようなことが、チラシに書いてあったような気がしたのですが、実際の芝居では緑子の人生よりも、元彼のどうでもいい今時の若者にありがちな実態が明らかになってきます。この元彼は結構どうしようもない奴で、緑子と同棲中にもバイト先で女の子に手を出したり、緑子に暴力をふるって追い出してりしていたようです。
芝居は淡々と進んでいき、ラストは「絵の中の見守っている女性は私です。」という唐突な台詞で終わりました。
結局、私には何もわかりませんでした。

遊園地再生事業団「ヒネミの商人」

2014年3月25日 19時開演 座・高円寺1
作・演出:宮沢章夫
出演:中村ゆうじ、宮川賢、片岡礼子、ノゾエ征爾、笠木泉、上村聡、佐々木幸子、牛尾千聖、山村麻由美
宮沢章夫の芝居を見るのは「夏の妹」に続いて2本目だったのですが、どうも私には向いていないようで、面白くありませんでした。シェイクスピアの「ベニスの商人」を下敷きにしているようで、三つの箱を選ぶとかそれらしいエピソードが出てきます。どうも、主役の中村ゆうじがシャーロックのようで、ひたすら腹の中では別のことを考えているような芝居をしていました。本当に中村ゆうじは、ある目的を持って芝居をしているように見せる天才で、彼にかかるとなんでも演出意図に沿った芝居をしているようにあからさまにみえるので、それが気になってしょうがありません。

2014年3月20日木曜日

ゲキバカ「男の60分」

2014年3月19日 19時30分開演 王子小劇場
作・演出:柿ノ木タケヲ
出演:西川康太郎、菊池裕太、鈴木ハルニ、石黒圭一郎、書川勇輝、伊藤亜斗武、伊藤今人
梅棒の伊藤今人が掛け持ちで参加しているということで見にいきました。
コンセプトは、梅棒と全く同じ、くだらないことを熱意と勢いだけでやりきる。笑ってしまうほど同じです。ただし、梅棒がダンス8割の芝居2割なら、ゲキバカは芝居8割のダンス2割という割合の違いはあります。
地点、サンプルとシリアスな芝居の後だったので、余計面白く感じたのかもしれません。
梅棒と同じで、年に1回くらい見るのはよいかもしれません。
小劇場を見る楽しみの一つに、「つぎの伸びしろに期待する」というのがあると思うのですが、梅棒もゲキバカもその楽しみはあまりありません。吉本新喜劇と一緒で、定番の笑いを楽しむのが正しい楽しみ方だと思います。

2014年3月19日水曜日

サンプル「シフト」

2014年3月18日 19時開演 東京芸術劇場シアターイースト
作・演出:松井周
出演:古屋隆太、奥田洋平、野津あおい、兵藤公美、武谷公雄、黒宮万里、市原佐都子
2007年に初演された作品の再演になるのだそうです。その頃から松井周の関心が、「閉ざされた集団」にあることがわかりました。ただし、松井の関心は。「度座された集団」それ自体にあるのではなく、そうであれば、極端な状況や、あり得そうもない設定をすることが可能になるのだからだと思います。それがだんだんとエスカレートして、最近の悪趣味な設定にまでなってきたようです。
初演は見ていないので、今回どの程度改訂がされているのかわかりませんが、悪趣味とか露悪趣味と呼べるほどのえぐさは見られません。
その悪趣味のバランスが絶妙だったのが「自慢の息子」で、あれがサンプルの最高傑作なのかもしれません。

2014年3月18日火曜日

地点「悪霊」

2014年3月17日 19時30分開演 神奈川芸術劇場大スタジオ
原作:F. ドストエフスキー
演出・構成:三浦基
出演:阿部聡子、小林洋平、窪田史恵、根本大介、小河原康二、岸本昌也、河野早紀、石田大、永濱ゆう子
とても疲れた1時間半の観劇でした。3年前の幻の公演「河童」以来、地点の東京公演はほとんど見ているはずですが、回を重ねるごとに観劇の疲労度は増し、地点がどこに向かおうとしているのかわからなくなるような気がします。
今回は、1時間半の上演中ほとんどの時間を役者はひたすらぐるぐる舞台を走り、とっくみあい、わけのわからない言葉を叫び、時々ドフトエフスキーの言葉を喋るという状態で、気をつけていないと、誰が誰に話しているかということすらわからなくなるのでした。
誰もが役柄を誇張したしゃべり方をする中で、小河原康二だけが話し方が自然で、最後には彼が喋り出すだけで、ほっとする有様でした。

小池博史ブリッジプロジェクト「銀河鉄道 -Milky Way Train-」

2014年3月13日 19時30分開演 池袋あうるすぽっと
演出・脚本・振付:小池博史
出演・振付:津村禮次郎、白井さち子、小尻健太、南波冴、松尾望、石原夏美、谷口界
昔から名前だけは知っていたパパ・タラフマラの演出家、小池博史が、今どんなことをやっているのか知りたくて見にいきました。
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をモチーフにしていますが、ストーリーをなぞるのではなく様々な人が一緒に旅立つようなイメージになっています。オープニングも、私服で客席から表れた出演者が舞台上で衣装に着替え、自己紹介をするところから始まります。その後、列車に乗り込み出発するのですが、それ以降、私には一つも面白いところがありませんでした。
確かに、能楽師、サーカスの芸人、ダンサーなど、様々なバックグラウンドをもつ出演者を違和感なく一つにまとめて動かす振付能力はたいした物だと感じましたが、本筋が退屈というか、見えてこないのは困ったものです。
Twitter上の好評も観劇の動機の一つだったのですが、あてにはならないことが、また証明された形です。

岩松了プロデュース「宅悦とお岩」

2014年3月7日 19時開演 下北沢駅前劇場
作・演出:岩松了
出演:安藤聖、梅宮万紗子、尾上寛之、亀田梨沙、児玉拓郎、小林竜樹、駒木根隆介、清水優、高橋ひろ無、滝沢恵、永岡裕、橋本一郎、藤木修、ジョンミョン、𠮷牟田眞奈
トラッシュマスターズの次の日に見たせいもあって、よい劇作家の条件には「性格の悪さ」が上げられるに違いないと思わせるような芝居でした。昨年秋のハイバイの公演「月光のつつしみ」の本が面白かったので、最近の岩松了はどんな感じなのか知りたくて見にいきました。
四谷怪談の稽古をしている劇団の稽古場を中心に、横暴な演出家、その演出家に言い寄られている女流新進作家、当て馬なのに舞い上がって仕事をやめてしまった作家の幼なじみ、演出家に反発して稽古にこない俳優などの複雑でどこか滑稽な人間関係を、過不足なく描いて面白かったです。
岩松了は、劇中で「岩松は、ぱっと見、人の良さそうなおじさんに見えるが、本当は性格が悪いらしいよ。」と、役者に言わせるほど性格が悪いですが、それくらいひねくれて物事を見ないと行き届いた脚本は書けないのかもしれません。
安藤聖は小劇場に出演しても花のあるよい女優だとは思いますが、いつ見ても何か堅い印象があります。頑固というか頑なに何かを守っているような気がします。それが見えなくなると、もっといいのになあと見るたびに思います。

2014年3月10日月曜日

トラッシュマスターズ「虚像の礎」

2014年3月6日 19時開演 座・高円寺
作・演出:中津留章仁
出演:カゴシマジロー、吹上タツヒロ、星野卓誠、龍座、村上洋康、井上裕朗、坂東工、林田麻里、川崎初夏
まめに小劇場を見て回っていると、定期的にチラシは目にするが、なぜかいつもスケジュールが合わずに見に行けない劇団ができてきます。今回は、そんな劇団の一つ、トラッシュマスターズを見てきました。今まで見ていなかったのはスケジュールの都合が大きいのですが、いつもチラシが暗くて地味な絵で面白そうに見えなかったのも理由の一つです。
物語は、人々の争い、戦争や、人種差別の原因を「人が、自分の心の矛盾に気づかない二している」ところに求め、それを気づかせ、教えていくのは、「心の専門家」である「劇作家」のつとめだと主張する主人公を中心に進んでいきます。実際、彼は自分の周りで怒る様々な争いに、誠実に勇気を持って行動し、説得していきます。実に明快で、新興宗教の教祖のお話を聞いているようでした。でも、私が芝居でみたいのは、そんなお説教ではありません。様々な矛盾の中で葛藤している人間であって、安易な解決策ではないのです。
きっと、この作者はまじめで優しい人間なのだとは思いますが、まじめだからと言って芝居が面白くなるわけではないのです。

2014年3月4日火曜日

ニッポンの河川「大きなものを破壊命令」

2014年3月3日 20時開演 池袋東京芸術劇場シアターイースト
作・演出:福原充則
出演・音響・照明:峯村リエ、佐藤真弓、中林舞、光瀬指絵
役者が芝居をしながら、音響・照明の操作を自ら行う芝居でした。その格好はジャージの上下にレッグウォーマー、スニーカー、膝当てまでつけて、左手には懐かしいウォークマンタイプのカセット、腰のベルトにはスピーカーとアンプとバッテリーをつけているという、芝居の衣装と言うよりは重装備のジョギングマニアのようでした。その左手のウォークマンのカセットを入れ替え入れ替え、 BGMを流し、照明の切替は舞台の各所に設けられたフットスイッチを踏むことで ON/OFFすることで操作するのです。物語は、首締めジャックをやっつけようとする熊谷の珍走団ビートルズと、鳥と戦うジャングルの脱走兵、お見合いを進められる小津安二郎の映画のような4人姉妹の話が、テンポよく切り替わって語られていきます。3年前の東日本大震災以降を受けての芝居らしいのですが、私にはその辺のことは少しも感じられませんでした。ただただテンポよく、切れのよい動きの中で話がどんどん飛んでゆく、その気持ちよさに笑っていただけでした。それにしても、4人の役者は大変だっただろうと思います。台詞、動き、カセットの入れ替え、フットスイッチを踏むタイミング。いくら練習しても、うまくいかないような気がします。それをほぼパーフェクトにやりきっただけでも感動ものです。

2014年2月27日木曜日

M & O playsプロデュース「サニサイドアップ」

2014年2月24日 19時開演 下北沢本多劇場
作・演出:ノゾエ征爾
出演:荒川良々、赤堀雅秋、小野寺修二、町田水城、竹口龍茶、富川一人、山口航太、ノゾエ征爾
私が勝手に「小劇場童貞派」と呼んでいる内の一人、はえぎわのノゾエ征爾が外部で作・演出するというので見にいきました。(ちなみに残りの「童貞派」は、ままごとの柴幸男とか、ロロの三浦直之です。特徴は、恥ずかしいほどのナイーブさ。基本的に人生を肯定的にとらえていて、それを素直に表現するところ。)
荒川良々演じる嵐山鯛の人生を、エピソードに切り分けて時系列ばらばらに演じていく。それに関わる人々の人生も同じように切り分けて演じられていく。どのエピソードも、同じような重さで演じられ、様々な人生が肯定されていく。それに色々なおもしろ小ネタや、小道具が飽きずに出てくる。プロデュース公演と言うことで、制作的によゆうがあるのか、やってみたかったネタをできるかぎり詰め込んだような印象がある。
はえぎわでのノゾエ征爾に比べると、スケベすぎるだろうとすら思えてしまう。

2014年2月23日日曜日

tamagoPLIN「さいあいシェイクスピア・レシピ」

2014年2月21日 20時開演 三軒茶屋シアタートラム
作・演出・振付:スズキ拓朗
出演:柴田千絵里、石井友樹、清水ゆり、一平杏子、本山三火、中井沙織、鳥越勇作、川越美樹、平井千尋、浅井裕子、ジョディ、長嶺安奈、スズキ拓朗
コンドルズのダンサー スズキ拓朗とパフォーマンス集団・たまごが合体したのがtamagoPLINだそうですが、もちろん全く知りませんでした。名前の面白さに惹かれて見にいきましたが、これが大当たり。文句なく面白い1時間30分でした。
アスファルトを割って生えてくるど根性野菜たちに、母親を事故で目の前でなくした女子中学生がシェイクスピアを教えるというストーリーなのですが、なにしろありとあらゆる癖球をコントロールを気にせず投げ続ける勢いにあっという間に飲み込まれて、笑って泣いての1時間半でした。けして、一人一人の演技やダンスはうまくないのですが、それがうまく組み合わさって、シルクドソレイユの見事さではなく、サーカスの楽しさに魅了されました。

MONO「のぞき穴、哀愁」

2014年2月20日 19時30分開演 下北沢駅前劇場
作・演出:土田英生
出演:水沼健、奥村泰彦、尾方宣久、金替康博、土田英生、森谷ふみ、古籐望、高橋明日香、松永渚
初めて見る劇団の芝居を面白いと思い、公演があるたびに見にいくようになる。すると、だんだんその劇団の特徴や持ち味がわかってきて、それに慣れてくる。次に来るのは、面白いのだけれども、飽きてくくるのだ。MONOも3回目となり、そろそろ飽きてきたようだ。20年以上の歴史がある劇団なので、いきなり新しいことを始める訳もないこともよくわかるのだが、新しい芝居が見たいという最近の私の気分からすると、物足りないことは否めない。本もよく書けているし、演出もあざといくらいうまい。でも、いつものMONOとかわりない。というところが実に残念だ。
いや、実は大きな変化はあった。過去2回の公演は、男性だけのキャスティングだったのが、今回は女優が3人も入っていた。でもそれが劇団にとって大きな変化であったようには全く見えなかった。

2014年2月18日火曜日

玉造小劇店「洋服解体新書」

2014年2月8日 14時開演 座・高円寺
作:演出:わかぎゑふ
出演:うえだひろし、谷川未佳、若松武史、曾我廻家八十吉、佐藤誓、桂圭一、浅野雅博、西牟田恵、伊東孝明、小椋あずき、山藤貴子、浅野彰一、江戸川卍丸、荒木健太朗、谷畑聡、山内庸平、長橋遼也
何十年かぶりの東京の大雪の日に見にいきました。わかぎゑふの作・演出を見るのは初めてでしたが、わりと構成のすっきりした見やすい芝居でした。特に印象に残ったのが舞台転換で、前のシーンと後のシーンの登場人物が転換をするのですが、その動きがうまく整理されていてスムーズに次のシーン移行できていました。
また、関西人のせいか天皇制に対する親近感が東京より強い感じがしました。

2014年2月9日日曜日

秘密結社ブランコ「独占!女の70分」

2014年2月7日 20時開演 ムーブ町屋ハイビジョンルーム
1.「町屋の火事」
作:ふじきみつ彦 演出:鎌田順也
出演:中島真央、水野伽奈子、鶴まき、はしいくみ
2.「たまたま」
作:新井友香 演出:飯田こうこ
出演:はしいくみ、宇野なおみ、徳元直子
3.「センチメンタル嘔吐物」
作:福原充則 演出:飯田こうこ
出演:土田由有未、深澤千有紀、野々山椿、田村朋世
4.「こし…」
作・演出:鎌田順也
出演:女優たち
またまた残念というか、はっきり言ってひどい芝居を見てしまいました。芝居を集中的に見るようになって3年目、もっともひどい芝居だったかもしれません。
まず第一に、演技がひどすぎます。客が40人くらいしか入らない視聴覚教室のようなところで、新劇をひどくしたような芝居をされても観客としてはどこを見てよいのかわからず、困ってしまします。まるで普通の劇場のような目線で芝居をされるとこの人たちには観客が見えていないのではないかと思えてしまいます。
次に、構成と演出がひどすぎます。4本の短編を4人の作家が書いて二人の演出家が演出するという形ですが、4本目の「こし…」を書き演出した鎌田順也が全体をまとめてオチをつけるという役目を負わされていたようですが、自分の好きなゾンビ話に持ち込んで好きなようにやっているだけでした。前の3本にゾンビの伏線があるわけもなく、無理矢理全てを台詞で説明するという前代未聞の台本になっていました。あまりにひどいできに、悲しみや怒りを通り越して、笑うしかないような状況でした。
脚本的には、3本目の「センチメンタル嘔吐物」がおもしろく、うまく展開していけば30分物のテレビドラマが作れそうなネタでしたが、それもゾンビの出現で台無しです。
この惨劇の主な犯人と思われる鎌田順也の関わった芝居を今までに2本(ナカゴー「黛さん、現る」と、野鳩+ナカゴー「ひとつになれた」)
見ましたが、どちらも残念なできでした。私にとっては鬼門なのかもしれません。

モモンガ・コンプレックス「ご多分にもれず、ふつう 再」

2014年2月6日 19時30分開演 横浜STスポット
構成・演出・振付:白神ももこ
出演:北川結、臼井梨恵、夕田智恵
舞台美術の人々:内海正考、榎本純子、小野正彦、新宅一平、鈴木燦、中本章太、村上聡一
ダンスがよくわからないのに、見にいくのはなぜでしょう。「日常的な仕草を美しい動きに昇華する」といわれているらしいモモンガ・コンプレックスを見ましたが、やはりよくわかりません。多少、台詞があり、それを英語の字幕やアナウンスでも提示するやり方から、日本だけでなく、世界を意識していることはわかります。
メインの3人以外に7人のダンサーが出演しているのですが、その陰に隠れて板付きしていたりしていたので、彼らを「舞台美術の人々」と呼んでいるのもわかります。
しかし、演出、振付家が何を言いたいのか、ダンサーがどのような感情で踊っているのかを言葉にすることができません。
ただ、その時間が退屈であったか、そうでなかったという感想は残ります。その点で言えば、退屈なところもありましたが面白かった1時間だったと言えると思います。その面白さを言葉にできないところがもどかしいところです。

2014年2月6日木曜日

ロリータ男爵「しのび足のカリン」

2014年2月5日 19時30分開演 下北沢 OFF-OFFシアター
作・演出:田辺茂範
出演:橘花梨、大沢ラーク、はまい海、ボッチン、足立雲平、たにぐちいくこ、高橋未希、清水くん、矢頭睦、北村泉、丹野晶子、横塚真之介
今年に入ってから芝居の当たり外れが極端な気がします。傑作か、見るんじゃなかったと始まったとたんに後悔するほどの駄作か、どちらかしかなかったような気分です。
このロリータ男爵は、残念ながら外れの方でした。何しろ演技がひどい、今時の高校演劇の方がはるかにうまいだろうと思えるほどのひどさでした。台詞は棒読み、動きはぎこちない。まともに見る気になれませんでした。そして、脚本もひどい。「ガラスの仮面」と「オペラ座の怪人」と映画「ゴースト」を適当に混ぜ合わせて、最後に芝居への愛を叫ばれても、それはないだろうとしか思えません。
ロリータ男爵という面白そうな劇団名につられて見にいきましたが、完敗でした。