2015年8月12日水曜日

鉄割アルバトロスケット「HODOCHICCHI」

2015年8月10日 19時30分開演 下北沢ザ・スズナリ
作:戌井昭人
演出:牛島みさを
出演:戌井昭人、奥村勲、中島朋人、中島教知、村上陽一、マークス雅楽子、向雲太郎、南辻史人、松原東洋、渡部真一、東陽片岡、山本ロザ、池間由布子、横山智輝、古澤裕介
最近、過剰なものを求めている私ですが、「謎のパフォーマンス集団」鉄割アルバトロスケットでは、少しもの足らないようです。名前の面白さにつられて前々からみたいとおもっていましたが、いざ見てみるとそのオフビートなオチの付け方には興味をそそられるものの、全体の緩さについて行けませんでした。2時間半の中に37ものコントのようなものが詰め込まれていて、ほとんどの演目は残念ながら面白くありませんでした。
となりの何回か見ているらしい人も、「今回はあまり面白くない。前回は、・・・・・」とガールフレンドらしき女性に一生懸命言い訳をしていましたから、出来不出来が激しいのかもしれません。ただ、かかる音楽は、私の趣味と似ていて面白いものが多かったです。

土田英生セレクション「算段兄弟」

2015年8月9日 15時開演 三鷹市芸術文化センター星のホール
作・演出:土田英生
出演:村岡希実、竹井亮介、尾方宣久、渡辺啓太、高橋明日香、もたい陽子、七味まゆ味、土田祐太、大村わたる、石丸奈菜美、本多力、土田英生
土田英生セレクションというのは、過去の土田英生の脚本を彼の望む配役で再演出するというシリーズで、「算段兄弟」で3回目だそうです。
脚本は、「しらふな顔でしれっとシュールなことを言い放つ。」という土田の特色がよくでた面白い物でしたし、役者もそれなりに適材適所でうまい人がそろっていました。全体の印象としては中の中という感じで、過剰な物が見たいという私の最近の気持ちからすると、あまり面白いとは言えない物でした。
一番気になったのは、男優陣がデフォルメされた極端な性格を演じていたのに比べ、女優陣はおしなべてノーマルな性格を演じていたのが気になりました。
ラストで女性だけが死んだ父親の家に集まって、いわゆる女子会を開くという設定から逆算されたものだとは思いますが、そこに行くまでは、結構違和感がありました。

東葛スポーツ「ニューヨーク、ニューヨーク」

2015年8月1日 21時開演 3331 Arts ChiyodaギャラリーB
構成・演出・DJ:金山寿甲
出演:古関昇悟、牛尾千聖、金山寿甲
前回、あまりのとちりの多さに妙に感動した東葛スポーツをまた見てきました。今回は、上演時間1時間、登場人物も3人だけでしかも再演ということで、前回あんなに多かったとちりも目立った物は1回だけというスムーズな展開でした。しかし、そのとちりの少なさに正比例して面白さも半減していました。
今回は、Nasの「illmatic」というヒップホップのCD制作のドキュメンタリーらしい映像をバックにこたつにはいった男女がお互いにdisりあうという構成でしたが、そのラップの歌詞もその場でスーパーインポーズするのではなく、あらかじめ制作された歌詞つきの映像を流すなど、進化していました。しかしスムーズに行けば行くほど、面白くはなくなります。
ラストも、ニューヨークに行きたいと願う女は実は下半身麻痺で、男の助けがなければトイレにも行けないという妙にウェットなオチで終わります。内容もなければ、それほど面白くもないというないないづくしの芝居でした。
やはり、前回の面白さはあまりのとちりの多さに笑ってしまうしかないという面白さだったようです。

ハイバイ「ヒッキー・カンクーントルネード」

2015年8月1日 14時開演 小田原市民会館
作・演出:岩井秀人
出演:田村健太郎、岡田瑞穂、後藤剛範、平原テツ、チャン・リーメイ
なかなか見ることのできなかったハイバイの代表作「ヒッキー・カンクーントルネード」を小田原まで出かけてみることができました。
2012年にパルコ劇場で、「ヒッキー・ソトニデテミターノ」を見て面白かったことは覚えているのですが、「ヒッキー・カンクーントルネード」はたびたび再演されているにもかかわらず、スケジュールが合わずに見逃していました。それでこのたび思いきって、チケット代金と同額の交通費2500円を払って,小田原まで見にいったわけです。
小田原市民会館に入ってみると、舞台の上手半分が客席、下手半分に黒パンチがひいてあって舞台というしつらえになっていました。道具もダイニングテーブルとイス、カーペットとハイバイオリジナルの2つのどこでもドアなど簡素な物だけで、運搬もハイエース1台で済むのではないかと思えるほどでした。
さて肝心の芝居ですが、これは感心はするが感動はしないという結果となりました。主役の引きこもりである登美雄の演技のせいか,私の年のせいか一切感情移入できず、お母さん役の平原テツの演技に感心するばかりとなりました。平原テツの女形を見るのは初めてでしたが、無理に女性に寄せようとはせず、いつものまま、台詞だけ女性言葉にしてあるだけという思い切りの良さが,リアリティを増していました。登美男は何を言っているのかよくわからず、最後までなにをいっているのかわからないままでした。

2015年7月23日木曜日

ベッド&メイキングス「墓場、女子高生」

2015年7月21日 19時開演 東京芸術劇場シアターイースト
作・演出:福原充則
出演:清水葉月、根本宗子、青山美郷、望月綾乃、山田由梨、杉ありさ、葉丸あすか、佐藤みゆき、猫背椿、竹森千人、中山祐一朗、富岡晃一郎
ひさしぶりに本当にいい芝居を見て,幸せな気持ちになれた一夜でした。カリスマ性にあふれた作家、演出家、役者が現れにくい今の時代ですが、才能がある人がいないわけではなく、全員で力を合わせて自分たちの特徴を突き詰めていけば,なでしこジャパンのようによい芝居を作れるのだということを実感しました。
まず第一に,本と演出が素晴らしい。当日パンフによると福原充則がこの芝居を演出するのは4回目と言うことで、手慣れた感じで役者の個性を引き出しつつ、物語を進めていきます。その上に乗っかって、役者陣が自由に演じている感じがびしびし伝わってきます。
ある日突然自殺してしまう主人公を演じた清水葉月は,見た目と演技はちょっと劣化した蒼井優のようですが、透明感のあるみずみずしい芝居で全体を引っ張っていきます。ひとつ間違えるとイタイ発言を連発する不思議ちゃんになりそうですが、そうならないようせりふは注意深くコントロールされていました。
次に、大人サイドを一人でしょって立ち、見事にその大役を果たした猫背椿も素晴らしかったです。女子高生7人を相手に一人で大人のだめさ加減を十二分に発揮して見事でした。
「南の島に雪が降る」では、サイドストーリーでの登場で印象が弱かったですが、今回はその実力を見せていただきました。何しろもう一人の大人サイドのサボってばかりいるサラリーマンの富岡晃一郎は、「大人なのに、社会のルールがわかりません。」などとほざいている中途半端な設定なので、猫背椿ががんばるしかないのです。というか、今回の富岡晃一郎は完全に猫背椿の引き立て役で、その意味では実に好演していました。
びっくりしたのは、根本宗子でした。以前、彼女が主宰する「月刊根本宗子」の芝居を見にいったことがあるのですが、肩肘張った物言いが目立つ言動の割に芝居は面白くない、よくあるパターンの演劇人だと思っていましたが、今回の彼女は違いました。自殺した清水葉月を生き返らせようと、必死で訳のわからない呪文を唱え続けるうぶで真面目でかわいい女子高生を熱演していました。なにしろ、赤い鳥居を背負い,鳥居のペンダントをぶら下げたセーラー服で登場するのですから、笑ってしまいます。演出家によって役者が見違えるよい例だと思います。
残念だったのは、清水葉月、根本宗子以外の女子高生がみんな足が太くて女子高生に見えなかったことです。逆に根本宗子は中学生くらいにしか見えませんでした。

さんぴん「NEW HERO」

2015年7月17日 19時30分開演 東京芸術劇場アトリエイースト
作・演出:さんぴん
演出監修:三浦直之
出演:板橋駿谷(ロロ9,北尾亘(Baobab),永島敬三(柿食う客)、福原冠(範宙遊泳)
色々な劇団に所属する若手男優が4人集まって、一般の人々にインタビューをし、それを自分たちなりに構成・演出して物語るという試みでした。なぜ彼らがそんなことを思いつき、実行に移したのかはわかりませんが、面白い試みだとは思います。
一般の人々とは言え、その中には彼らの肉親も(主に、祖父や祖母)含まれるため、その距離感が露骨に話し方に反映されてしまいます。知らない人に聞いた話は結構客観的に再構成されて聞きやすいのに、肉親の話は情に流されて聞きにくいところが多々ありました。その揺らぎと、話をまとめなければいけないという意識が、スケールを小さくしているように見えました。どちらかに振り切って進まないと、進路は見えてこないと思います。
客観的に進むなら誰か第三者の脚本家が必要だと思いますし、情にながされるなら、集団演出は難しいと思います。(悪のりという形で、一気にエスカレートする可能性はありますが、持続はできないと思います。)
役者としては、板橋駿谷が目につきました。筋トレ好きなのは知っていましたが、4人の中で際立った肉体を持っているのに、不器用で板橋駿谷以外を演じられないところに好感が持てます。他の3人が結構小器用に役を演じ分けてくるので、その不器用さがいっそう目立ちます。できれば、この不器用さのまま、成長していってほしい物です。

2015年7月17日金曜日

長塚圭史「かがみのかなたはたなかのなかに」

2015年77月11日 17時開演 新国立劇場小劇場
作・演出:長塚圭史
振付:近藤良平
出演:首藤康之、近藤良平、長塚圭史、松たか子
2013年と同じ座組で、いちおう子供向けの企画ですが、子供より大人の方が楽しめる仕上がりでした。首藤康之と近藤良平、松たか子と長塚圭史がペアで,鏡のこちらと向こうの人物を演じるという設定で、タイトルもそれに準じたアナグラムになっています。設定、ストーリーともに前回よりスマートになっており、それは進歩だと思うのですが、そのため菊花(仮)が少なく、私には前回の方が楽しめました。鏡の世界なので、ミラー振りとでも言うのでしょうか、二入が鏡のこちらと向こうのように左右対称に踊る場面が何度かかるのですが、どうしても相手の動きを意識して踊らざるをえないので、いつもの伸びやかな,自由な感じがなくなっていたのが残念でした。
今回の最大の収穫は、長塚圭史の女装でしょうか、あれだけ背の高い人が女装すると、あんなに悲惨なことになるという見本です。

悪い芝居「キスインヘル」

2015年6月29日 19時開演 赤坂レッドシアター
作・演出:山崎彬
出演:横田美紀、渡邊りょう、田中良子、土屋シオン、山崎彬、中西柚貴、長南洸生、植田順平、岡田太郎、畑中華香、四万十川友美、北岸淳生、呉城久美
悪い芝居ならぬひどい芝居を見てしまいました。現代の純愛を描こうとして、最初に真逆の恋愛感情を利用して商品を売りつけることを仕事としている人々と、愛なんかない、精子と卵子の結合こそが全てだと主張する原理主義者を出してきて、その人々が純愛に目覚める逆転劇にしようとしたのだと思うのですが、肝心の純愛がうまく表現できず、バンド演奏で無理矢理盛り上げて終わるという,演劇としては最低の終わり方でした。舞台上での生演奏が妙にうまくて、多分、ミュージッシャンに芝居を教えたのだと思うのですが、それがまた妙に通り一遍の芝居を小器用にこなす結果となり、この芝居の失敗の一因になっているような気がします。
ラストの演奏中、することもなく舞台に佇む原理主義者の役者が,脚本家としての山崎彬に見え、無理矢理盛り上げようとマイクで客をあおり、客席を駆け回る山崎本人は演出の焦りと絶望感そのものでした。

2015年6月27日土曜日

NewYork 2015 No.14 Broadway Musical 「On The 20th Century」

2015年6月21日 14時開演 American Airlines Theatre
約40年ぶりの再演になるミュージカル・コメディで、「On The Town」などと同じ時代の作品です。典型的なミュージカル黄金時代の作品で、絵に描いたような要素がちりばめられていました。ショー・ビジネスのバック・ステージ物で、はったり屋の落ち目のプロデューサー、頭の弱い女優、怪演をきわめる老女優などなど、面白さてんこ盛りなのですが、新しい物はひとつもないのが残念です。それが気になります。リバイバルといえども、新しい切り口がな寝れば、面白いとはいえなのではないでしょうか。

NewYork 2015 No.13 Broadway Musical 「The King And I」

2015年6月20日 20時開演 Vivian Beaumont Theater
2015年のトニー賞のミュージカル主演女優賞を受賞したケリー・オハラが出演している「King And I」を見ました。受賞直後ということもあるのか、彼女が登場しただけで拍手がおきるほどで、彼女の人気がうかがえます。何度もノミネートされた末の受賞ですから、本人もさぞ嬉しかったことでしょう。
日本人としての興味はどうしても、王様役の渡辺謙の演技ですが、これは微妙なものがあります。シャムの王様といえば、日本人にとってもエキゾチックな物だと思うのですが、渡辺謙の演技は、けしてうまいとはいえない英語を喋りながらくさい芝居をしているとしか見えません。しかし、ケリー・オハラとのダンスシーンはとても素敵だったので結果、よかったのではないでしょうか。
芝居のラスト近くで、シャムの補佐役が苦々しくつぶやく、「She destryed KIng」という台詞に象徴しているように、この芝居には西洋文明が東洋を滅ぼしていくというストーリーが基本的に流れています。そしてそれを肯定しています。初演当時はそれでよかったのかもしれませんが、現代に上演するときにはそれでよいのでしょうか?
同じリンカーン・センターのリバイバル・シリーズとして上演された「南太平洋」の人種差別の扱い方の時も感じたのですが、さしたる反省もなくそのまま上演する体制は疑問が残ります。

2015年6月23日火曜日

NewYork 2015 No.12 Broadway Musical 「aladdin」 again!

2015年6月20日 14時開演 New Amsterdam Theatre
16日に見た「Aladdin」ですが、トニー賞ミュージカル助演男優賞の実力が見たくて、急遽,チケットを予約して見にいきました。ジェームス・モンロー・イングルハートが出演するかどうかもわからないのに、プレミヤム・チケットに300ドル以上も払って、賭にでました。公演日まで日にちがなくてe-Ticketsしか選択できず、慌ててGoogle翻訳を駆使して説明を繰り返し読み、、iPhoneに新しいアプリを入れたりなどして、焦りました。
当日は早めに行って恐る恐るプレイビルを開け、今日の出演者一覧の紙を見ると、そこにはジェームス・モンロー・イングルハートの名前がありました。愛でたし、愛でたし。
当然のことながら、スタンバイの人と台詞も同じ、やる小ネタも同じですが、会場に流れる空気が微妙に違います。ジェームスが会場をコントロールしていることがかっきりまかります。観客も安心してその流れに乗って楽しんでいることがよくわかりました。どこが違うとは言えませんが、明らかに違う。それが実力の差なのでしょう。
前から3列目のほぼセンターという至近距離でしたが、マジックカーペットの仕掛けはわかりませんでした。ただ、カーテンコールのスタンバイのため、カーペットが下手から上手に移動するのが文字の隙間から見えたので、基本的には吊っているのだとは思います。

写真は開演前の緞帳です。ここから、少し透けてから振り落とされると、砂漠の真ん中にジニーが立っていて,始まり始まりです。

2015年6月21日日曜日

NewYork 2015 No.11 Broadway Musical 「An American In Paris」

2015年6月19日 20時開演 Place Theatre
1951年のジーン・ケリー主演の映画を基に作られたミュージカルで,今年のトニー賞に12部門でノミネートされました。結局、受賞したのは、振付、編曲、装置デザイン、照明デザインの4部門でした。
何しろ主役の二人とも現役のバレー・ダンサーで、男性のリチャード。フェアチャイルドは、ニューヨーク・シティ・バレーのプリンシパル、女性のレニー・コープはロイヤルバレエ団所属なのですから、最初から最後まで踊る、踊る、芝居があって普通なら歌い出すところで、踊り出すという感じです。そのかわり、芝居と歌はそこそこというかんじでしょうか。ダンス好きならたまらない作品と言えるでしょう。ダンスが今ひとつ苦手な私には、純粋なダンス作品よりは見やすかったですが、今ひとつな感じでした。
この作品で特筆すべきは、最近はやりのプロジェクションマッピングの技術の高さです。
単純にプロジェクションするのではなく、わざわざ建物の切り出しパネルに投影して、後ろの空のプロジェクションと遠近感を見せたり、パースの奥の方の絵をボケ気味に暗く映してパース感を補強したりして、プロジェクションマッピングの最大の欠点、どうしても平面的に見えることをうまくカバーしていました。また、主人公が画家なので、プロジェクションの開始をスケッチ風の輪郭線から始めて、次第に色がついてくことで転換時間を持たせる工夫など、トニー賞に選ばれるにふさわしいと思えました。
ただ、ラストの15分にも及ぶバレー・シーンは、ダンスの質は別にして、モンドリアン風の衣装と装置は,今となってはレトロモダンなだけでいかがな物でしょう。映画に習ったなら、仕方がないのかもしれませんが、もう少しやり方があったような気がします。

NewYork 2015 No.10 Broadway Musical 「Book Of Mormon」

2015年6月18日 19時開演 Eugene O'Neill Theate
2011年度のトニー賞ミュージカル作品賞を始め、9部門を受賞したミュージカルです。モルモン教というキリスト教系の新興宗教を徹底的に茶化した内容で、よくも教団側がオーケーを出したと思うのですが、「宣伝になる」と一発オーケーだったそうです。この辺はアメリカ的功利主義の現れだと思います。
内容は、モルモン教の宣教師になる訓練センターをダントツの成績で卒業した男が、なぜかだめな嘘つき男と組まされてアフリカはウガンダに派遣されることになります。到着してみると、先輩宣教師たちの成績はゼロ。しかし、嘘つき男が適当なことを言って,村人に洗礼を受けさせることに成功してしまいます。知らせを受けた本部の監督官が喜んで視察に来た,その目の前で、村人たちが著しく曲解したモルモン教の教えを芝居仕立てで披露してしまいます。当然、布教所は即閉鎖、宣教師たちには帰国命令が出ます。しかし、アフリカへの愛に目覚めた宣教師と村人は,新しい宗派を開き布教活動を始めて、愛でたし、愛でたし。
このミュージカルの原案者はアニメ「サウス・パーク」の制作者で、それからすれば、この内容もさもありなんというところでしょう。また、「茶化しはすれど、否定はしない」、このレベルがアメリカにおける表現行為の限界でもあるのでしょう。
このミューカルの演出・振付をしたキャシー・ニコローは、ディズニーの「Aladdin」の演出・振付も担当しました。そういえば、ここぞというところで、あらゆるアイディア、手法を放り込んでくるスタイルはそっくりです。
私が見た日は、平日のソワレにもかかわらず、嘘つき男の役がアンダー・スタディでした。アンダー・スタディの出番は、水曜マチネーのみという不文律があったような記がすすのですが、今ではなくなったのでしょうか。

2015年6月20日土曜日

NewYork 2015 No.9 FUERZA BRUTA 「WAYRA」

2015年6月17日 20時開演 Daryl Roth Theatre
昨年のニューヨークの時にも見たFUERZA BRUTAですが、再び見にいきました。私としては珍しいことです。有名な人がでているわけでもなく、大きな場所でやっているわけでもありませんが、長年のロングランはすごいことだと思います。
一言で言えば、パワープレイ系のシルク・ドゥ・ソレイユとでもいいましょうか、高い身体能力と技術で超人的な技をいとも簡単に決めてくるシルク・ドゥ・ソレイユに比べて、一般人に近い俳優が体力と勢いだけを頼りにパフォーマンスする舞台だと思います。
パーフェクトに近いシルク・ドゥ・ソレイユにはほとんど興味を引かれませんが、FUERZA BRUTAは大好きです。きっと、あの必死さに惹かれるのだともいます。

NewYork 2015 No.8 Broadway Musical 「Something Rotten!」

2015年6月17日 14時開演 St. James Theatre
最近の人気ミュージカルのパロディを詰め込んだ抱腹絶倒のミュージカル・コメディというイメージで見にいきましたが、私の英語力ではほとんど理解できず、いつもながら
パロディ物を見るのは、難しいことを痛感しました。
しかし、曲の中に一節づつ有名ミュージカルのメロディを混ぜたり、同じ振付を一瞬だけ見せたりするのは、パロディと言えるのでしょうか?
著作権にうるさい昨今では、あれが限界なのかもしれません。
ストーリーは、ご都合主義の塊で、いっそ気持ちがよいくらいです。そんなことは気にせず、ただただ笑い飛ばすための芝居なのだと思います。
話は変わりますが、このSt. James Theatreは行きの飛行機の中で見た「バードマン」で、エオワード・ノートンとエマ・ストーンが屋上から見下ろしていた劇場です。ということは、彼らがいた劇場はMajestic Theatreだということになります。バード満の劇場は客席数800という設定ですから、ロケーションの良さから選ばれただけでしょうが。

2015年6月17日水曜日

NewYork 2015 No.7 Broadway Musical 「Aladdin」

2015年6月16日 19時開演 New Amsterdam Theatre
ディズニーの最新ミュージカル「アラジン」を見ました。残念ながら魔法のランプの精、ジニーは、2014年のトニー賞、最優秀ミュージカル助演男優賞を獲得したジェームス・モンロー・イングルハートではなく、スタンバイのトレバー・ディオン・ニコラスが演じていました。
このミュージカルの肝は、ジニーとその魔法のシーンで、アラジンに呼ばれて三つの願いをかなえるシーンでは、マジック、様々なスタイルのダンス、花火などを使いまくってこれでもかと言うほど盛り上げます。ただし、一番重要なのはジニー役の演技力で、ここで観客の心をわしづかみにして振り回さないと、後が持ちません。トレバー・ディオン・ニコラスはがんばってはいましたが、少し上滑り気味で残念でした。
マジックカーペットのシーンは、LEDの星空の中、本当にカーペットが浮かんでいるように見えるのですが、アラジンとプリンセスにあたっている照明がカーペット上のコロガシしかなくて、暗くて1曲持たない感じでした。
今までのミュージカルの様々な演出方法を駆使して盛り上げるという点では、「ライオンキング」と共通の考え方を感じますが、ただ、羅列しただけの「アラジン」に比べ、「ライオンキング」では全てを新しい切り口で見せていて,今更ながらその革新性に驚きます。

NewYork 2015 No.6 Broadway Musical 「Clinton The Musical」

2015年6月15日 20時開演 New World Stages 4
軒並みブロードウエイ・ミュージカルが休演の月曜日に、Today Tixで選んだのがこのオフ・ブロードウエイ作品でした。
2012年にロンドンとエジンバラで上演され、2014年のニューヨーク・ミュージカル・フェスティバルでも上演された後、オフ・ブロードウエイに移ってきたようです。
健全で知的な大統領と女好きで魅力的な大統領を二人の男優が演じるのがこの作品の肝で、ほとんどの場面で,二人のクリントンが舞台上にいます。しかし、本当の主役はヒラリー・クリントンで、大統領よりも大統領らしい大統領夫人、本当は自分が大統領になりたかったヒラリーを、2008年にミュージカル「キサナドゥ」でミュージカル主演女優賞にノルミネートされたケリー・バトラーがあざとく演じています。
「あざとさ」がこの作品のキーワードで、モニカ・ルインスキー事件もあざとく演じられます。
ケリー・バトラーは非常に歌がうまい女優だそうですが、熱唱すればするほどあざとく感じられてしまい、かえって損しているようです。
このミュージカルを見る2,3日前に、ヒラリーが正式に2016年の大統領選に出馬することを表明しましたが、その効果は全くなかったようで、今月の21日でクローズだそうです。

2015年6月15日月曜日

NewYork 2015 No.5 Broadway Musical 「Le Miserable」

2015年6月14日 15時開演 Imperial Theatre
この日は見るミュージカルを決めていなかったので、ニューヨークに来てから Today Tixで「Le Miserable」のチケットを取りました。
新しい演出になったことは知っていたので、どうなったのか知りたかったのもありました。とは言え、私が見たのは遙か昔に帝劇で、主演の滝田栄のくさい芝居と,バリケードの迫力以外ほとんど記憶がありません。全体としての印象は、アンサンブルが主役のような芝居で、日本でも見るに耐えるアンサンブルができるのだというのが最大の印象でした。
新演出になっても、昔のことをほとんど覚えていないので比較もできませんが、アンサンブル重視から、主役クラスの歌重視という変更が新演出のポイントだと感じに見えました。
途中休憩を挟むとは言え、3時間以上とにかく歌う、歌う,歌い上げる。オペラのような暗い照明の中で歌い続けて、ラストのコーダでは、必ずバックサスが明るくついてきてポーズの繰り返しで、疲れました。
今はやりのプロジェクションマッピングも取り入れていましたが、全体の照明が暗すぎて、プロジェクションもそれにあわせるため、何が写っているのかよくわからないという状態になりがちでした。ジャベール警視が身投げするところなど、橋の上からパンで橋桁を過ぎて水に入り,水面を下から見るまでをプロジェクションして面白いのですが、いかにせん、光量が抑え気味で迫力がでません。
プロジェクションマッピング前提なら、それに合わせた全体光量を決める必要があるようです。

NewYork 2015 No.4 Broadway Musical 「Finding Neverland」

2015年6月13日 20時開演 Lunt-Fontanne Theatre
「ピーター・パン」のJ. M. バリーの「ピーター・パン」を書き上げるまでを,背景とともに描いたミュージカルです。原作はジョニー・デップ主演の映画だそうですが、そちらは見ていません。
なかなか台本が書けないJ. M. バリーがピーターパンの基になる少年と公園で知り合い、その自由な発想に刺激を受けて「ピーター・パン」を書き上げ、劇場主や役者のクレームをはねのけて、上演までこぎ着ける。19世紀のイギリスの階級社会の重圧の中で、自由を求めた男の話でもあるし、J. M. バリーの半生記でもあります。
主役のJ. M. バリーを務めたのは、テレビ番組「GLEE」で先生役を務めたマシュー・モリソンで、そんなことを知らない私は、彼が最初に現れたときの客席のどよめきと拍手にびっくりしました。歌もうまいし、芝居も達者でただ単に客寄せのためにキャスティングされたのではないことを証明していました。もう一人、相手役の劇場主を演じたのがケルシー・グラマーで、彼は1993年からアメリカの人気テレビ番組「そりゃないぜ!?フレイジャー」で主役を務めた人物で、当時最高額のギャラをもらっていたことで知られていました。彼も初登場の時には、マシュー・モリソンに劣らぬ拍手をもらっていました。相手役がよいと芝居に広がりと深みが出ます。そこが、「Kinkt Boots」との差になって表れていました。
1幕の最後、J. M. バリーの妄想の中でケルシー・グラマーがフック船長となって現れ、大立ち回りから舞台が海賊船に大転換するところなど、最高でした。
演出は、昨年のトニー賞で最優秀ミュージカル演出賞を取ったダイアン・ポーラスで面白くないわけがありません。子供にもわかりやすい小ネタのばらまき方や、スピーディな転換など,見所満載です。
劇中のフライングシーンも,19世紀という時代背景を考えれば当然ですが、人力で,それがかえって新鮮でした。この制作チームは、これがブロードウエイ初作品と言うことで、かなり力が入っており、プロジェクションマッピングの技術の高さも驚くべきものがあります。
2幕のラストでは、風の力だけできらきら光るフェアリー・ダスト(ラメ)とウエンディのナイトガウンが舞い踊り、母親の死を象徴する見事なシーンが見られました。この技術は、「Air Sculptor(空気の彫刻)」という名称で,担当者がクレジットされていました。
今年のトニー賞のミュージカル作品賞を取った「Fun Home」もそうですが、「Rent」以降、「Next To Normal」など、現実を直視したミュージカルが高く評価される傾向があるようですが、私には納得いきません。
ファンタジーが現実を超えないでどうする。ミュージカルはファンタジーであることに価値があると思います。

NewYork 2015 No.3 Broadway Musical 「Kinky Boots」

2015年6月13日 14時開演 Al Hirschfeld Theatre
2013年トニー賞:ミュージカル作品賞、オリジナル楽曲賞を受賞
4月の末に、主役のドラッグ・クィーン,ローラ役のビリー・ポーターが戻ってきた「Kinky Boots」を見ました。
ドラッグクィーンとそのエンジェルスが出てくれば、ミュージカルの盛り上げシーンは問題なしという、うまい構成というか、ずるいというか別にして実にうまくできた脚本で,十分楽しめました。
ローラは、いわゆるテレビなどでよく目にする,周りに遠慮しないでずけずけものを言うステレオタイプのオカマではなく、普通に父親との関係に悩み、周りに気を遣う人間として描かれていて、役柄に深みをもたせているところはよく考えられています。
残念なことに、相手役のチャーリーは、恋人との葛藤や、亡くなった父親が自分が靴工場をつがないことを見越して、工場の再開発(コンドミニアムへのリノベーション)に同意していたことのショック、ドラッグクィーン用ブーツを開発することへの工場従業員の反発など、,様々な困難が襲いかかってくるにもかかわらず、金持ちのボンボンにしか見えない線の細さが問題で、ローラとの友情が今ひとつ盛り上がらない原因です。
シンディー・ローパーの楽曲は、オペレッタらしさのすくないポピューラーミュージックにちかいもので聞きやすいのですが、歌う人のエモーションが如実に表れる欠点もあり、エモーショナルでない人が歌うと、R&Bのテンプレート集のように聞こえることがあるのが、残念でした。
ラストでは、ミラノの見本市でモデルが間に合わず、チャーリー自身がスーツ姿に下半身がパンツひとつにブーツを履いてランウエイでよろめいているところに、なぜかローラとエンジェルスが現れて大盛り上がり、挙げ句の果てには、工場従業員全員がブーツを履いてハッピーエンドというお約束のオチとなりました。
それがお寒いシーンにならないところに、脚本のうまさや役者の実力があると思います。
ラストシーンの振付が、パラパラみたいで、日本人には笑えると思います。