2012年11月11日日曜日

ハイバイ「霊感少女ヒドミ」


2012年11月9日 16時開演 小竹向原 アトリエ春風舎
作・演出:岩井秀人
映像:ムーチョ村松
全編映像投影の60分。装置は鍵の手になった白パネルに、引戸が一つだけ。
照明は、ネライが2ヶ所のみ。
ほとんどの場面は、フロントブロジェクションのの映像の中、顔が様々な色になってもかまわず演じられる。
「地点」に影響を受けた称する繰り返しがリズミカルなナレーションに、フルシンクロするミッシェルゴンドリーのパクリと豪語する映像が気持ちよい。
ストーリーはど直球の純愛ラブストーリー。ゾンビの、そしてヒドミの片想いがせつなく悲しいが、最後に穏やかなカタルシスが映像とナレーションによりもたらされる。
芝居が映像を取り込む方法の一つの答えがここにある
背景にしてはダメだ。安くなるだけだ。
シンクロしなければ。
上田遥が、ちょっとげすくてかわいい。

2012年11月9日金曜日

アンファンテリブルプロデュース「愛のゆくえ(仮)」

2012年10月30日 15時開演 上野ストアハウス
脚本:前川麻子・高木登
Aプログラム 演出:寺十吾 出演:前川麻子・瀧川英次
一つの脚本を何度かの試演会を重ねて、三つの配役、三つの演出で上演するという試み。3本で一つの世界を表しているような気がして、スケジュールの都合でAプロしか見に行けなかった私は、この覚え書きがかなり書きにくかった。しかし、ネット上の劇評や感想を読んでみると、三つの異なった世界の表現を目指していたようで、やっと、踏ん切りがついて、書いてみる気になった。
ストーリーは、兄と別れ弟と再婚した女が、夫を捜しに兄のアパートに現れるところから始まる。本棚や、テレビが倒れ、乱闘の後が残る室内で慌てて包丁を冷蔵庫に隠す男、乱闘の後を気にもせず、夫のゆくえを訪ねる女。男は、別れた女に未練たらたらで、女もまんざらざらでもない様子。そんな二人の関係が、簡潔な台詞の中で十二分に表されていく。さすがに何度も試演会を繰り返して、練り込まれた脚本、演出だけのことはある。
さらに、兄の弟に対する愛憎入り交じった感情が語られ、ついに弟を殺してばらばらにしたことが語られる。女はさして驚きもせず、死体の処理に協力して必要なものを買いに行く。ラストでは、オープニングでのぞき込んでいたいた押し入れの中から、物音がして実は弟がまだ生きていることが暗示される。
男と女の愛情関係が、狭いアパートの一室で濃密に描かれていた。

2012年10月30日火曜日

アトリエダンカン/デラシネラプロデュース「日々の暮らし方」

2012年10月27日 18時開演 池袋あうるすぽっと
原作:別役実
脚本:きたむらけんじ
構成・演出:小野寺修二
出演:南果歩、中山祐一朗、山田悠介、河合ロン、藤田桃子、矢沢誠、吉村和顕、小野寺修二
2週間以上続いた現場がいったん終わり、久しぶりの休みに見に行きましたが、全く集中できず、舞台を見ていても知らないうちに目を閉じて意識を失っていることがたびたびありました。
舞台は、芝居+ダンスという形で、ある日突然失踪すると夫に宣言された妻の意識と行動が展開されているようなのですが、ダンスがそれを説明するような、イメージを膨らませているような形で展開されているようでした。「ようでした。」と言うのは、私には全くそれが理解できず、ダンスになる必然性も感じられなかったからです。
私自身の疲れのせいか、感受性のなさのせいかわかりませんが、久しぶりに、全くおもしろくない舞台となってしまいました。
小野寺修二の名前は、首藤康之の「ジキルとハイド」の振付監修や、「叔母との旅」のステージングでよい評判を聞いて、期待して見に行ったのに残念です。

2012年10月14日日曜日

ブス会「女の道2012」

2012年10月11日 19時30分開演 下北沢ザ・スズナリ
作・演出:ペヤンヌマキ
出演:安藤玉恵、もたい陽子、髙野ゆらこ、松本まりか、内田滋、尾倉ケント、仗桐安
とあるAVの撮影現場。その昔は、SMの求道者として知られていたが、こどもができて以来、金のために仕事をこなす三代目リカコ。昔のリカコを忘れられず尊敬するカエデ。巨乳と自在に操れるセルフ潮吹きを武器に業界を渡り歩くルミ。30歳にして、カムバックしたカスミ。今日の撮影の主役で、元アイドルのマリナ。
撮影が長引く中、女達の本音が次々と明らかになり、様々な人生模様が明らかになっていく。
ラストで、あくまでロリキャラを貫いたマリカが27歳の子持ちであることが明らかになる。もっともしたたかだったのが、ロリキャラでたよりなげだったマリカだったというオチ。
よくあるストーリー展開とはいえ、そこそこおもしろかったのですが、私が舞台で見たいものはなにかということを考えて直してしまう芝居でした。
私が舞台で見たいものは、たとえて言えば、フルスイングなんだと思います。その結果、ホームランなら万々歳。豪快な三振でも、まぐれの振り逃げでもかまわない。まず、フルスイングありきで、結果はまた、別の話だと思います。
この芝居のように、技巧的にファールで粘ったり、セーフティーバントで出塁を狙うようなやり方は好みではありませんでした。

2012年10月8日月曜日

鹿殺し「田舎の侍」

21012年10月7日 19時開演 下北沢駅前劇場
作:丸尾丸一郎
演出:菜月チョビ
出演:オレノグラフティ、丸尾丸一郎、菜月チョビ、山岸門人、橘輝、傳田うに、円山チカ、坂本けこ美、山口加菜、水野加奈子、鷺沼恵美子、浅野康之、峰ゆとり、近藤茶、丸山厚人、山本光二郎、美津乃あわ
この前に見た子供鉅人と同じ大阪出身の劇団で、きしくも演目も同じ時代劇。でも、この圧倒的なおもしろさの差は、何が違うのだろう。
相変わらずの、あふれんばかりのサービス精神。そして、それを確実に観客に伝えるノウハウ。殺陣もちゃんと振り付けて、あらん限りの力で演じる。そこがすがすがしく、おもしろい。初主演のオレノグラフティは、1本調子だが、ライバル役の山岡門人の屈折した役とあわせてみていれば、飽きることはない。
ゲストのコンドルズの山本光二郎は生臭坊主の役がぴったりだが、ダンスシーンで神妙にバレー風の振りで踊るのもおかしい。
いつもより、かぶり物が少なかったような気がするが、キンキラキンの大仏様のコスプレが妙にセクシーだったのでよしとしよう。

岩井秀人「ヒッキー・ソトニデテミターノ」

21012年10月7日 14時開演 渋谷パルコ劇場
作・演出:岩井秀人
出演:吹越満、古舘寛治、チャン・リーメイ、有川マコト、占部房子、小河原康二、田村健太郎、金原祐三子、岸井ゆきの
初めてハイバイ以外での彼の作・演出の芝居を見て、改めて彼の才能の素晴らしさに驚嘆しました。
昔、平田オリザの作品を青年団と、プロデュース公演で続けてみたことを思い出しました。青年団では、「東京ノート」と、「S高原から」、プロデュース公演は、円形劇場の「女子高生」と、今はなきシードホールで行われた題名も忘れてしまいましたが、緑魔子主演の芝居でした。結果は、プロデュース公演の圧倒的な勝ちでした。芝居の完成度、感動の深さ、一言で言えば、とてもおもしろい芝居だったのです。
特に「女子高生」は、現役女子高生を1ヶ月のワークショップの後、それを元に芝居を作るという試みで、その生々しくもすがすがしい等身大の女子高生の芝居に感動したことを今でも覚えています。
自分のホームである劇団の芝居よりも、外部であるプロデュース公演の方がよい芝居ができるのが不思議で先輩に尋ねたところ、「長くやっている劇団では、いろいろしがらみが生じて、それが芝居の足を引っ張ることがある。」と、言われました。今考えると、配役に関して言えば、劇団という狭い範囲での配役よりも、プロデュースでの方がよりベターな配役ができる可能性が高いと言うことでしょうか?
個人的なしがらみの少ない、役にあった役者を集めて、プロフェッショナルに演出して行ければ、よりよい芝居ができるということでしょか?
現実にはプロデュース公演にも、様々な問題があることはわかっていますが、この芝居はうまくいった例だと思います。ハイバイでは見えにくかった岩井秀人の考えや、感性がくっきり見えてきました。
岩井秀人は、引きこもりも、その家族も、きわめて客観的にどちらかに肩入れすることなく描いています。そのクールな台本を、おのおのの役者が、素直に、奇をてらうことなく演じていくことで、各自の苦悩や希望が明確に浮き彫りにされていく。素晴らしい舞台でした。
一つ残念なのは、主役の吹越満で、彼はこまかい動作(鼻をかく、うつむく、口に手を添える、など)をさも意味ありげに行う達人で、それがこの芝居では人物像をぼんやりさせるだけで、時には邪魔になっていたことでした。

2012年10月7日日曜日

子供鉅人「幕末スープレックス」

2012年10月4日 19時30分開演 阿佐谷ザムザ阿佐谷
作・演出:益山貴司
出演:億なつき、キキ花香、小中太、影山徹、益山寛司、益山貴司、林祐介、大歳芽里、ミスター、益山U☆G、一川幸恵、岡野一平、尾場瀬華子、ぎぃ子、クールキャッツ高杉、小嶋海平、小林欣也、小林紀貴,永沼伊久也、東ゆうこ、三ツ井秋、山田春江
自分の芝居に関する趣味趣向の限界を思い知らされた芝居でした。たとえば、次郎のラーメンは一部の人にとっては最高のラーメンであったとしても、私にとっては料理以前のものであり、味云々の前に下ごしらえもされていなくて、金を払って食べる気がしないものであるように、子供鉅人の芝居も、楽しむ気もしないタイプの芝居でした。
おのおのの役者の演技力はもちろんへたくそなものでしたが、情熱や、一生懸命さはわかります。しかし、それをうまく観客に伝えられない演出には、大いに問題があると思います。作・演出の益山貴司も役者として舞台に登場しますが、自分がやっていることに照れや、恥じらいがあるように見えました。それが悪い方に影響して、舞台の爆発力をなくしているようでした。
もちろん、私が年を取ったせいであのような舞台をおもしろいと感じなくなったこともあるでしょう。40年前なら、おもしろいと思ったかもしれません。
残念な出逢いだったと言うしかありません。

2012年10月4日木曜日

劇団本谷有希子「遭難」

2012年10月3日 19時開演 池袋東京芸術劇場シアターイースト
作・演出:本谷有希子
出演:菅原永二、美波、佐津川愛美、松井周、片桐はいり
黒沢あすかの病気降板に伴い、主役が女優から男優(菅原永二)に変更されるという大胆きわまりない交代劇のあった「遭難」を見ました。情報不足で、交代自体も劇場でもらったパンフレットを読むまで知りませんでしたし、黒沢あすかについても全く知らなかったので、彼女が演じていたらどんな芝居になったのか、想像することもできません。
本谷有希子は、この芝居で新しい悪人を描きたかったのだと思います。自分が大好きで、自分の気に障るものは、盗聴や盗撮、ストーカー行為をしてでも排除していく。その行動が、周りの普通の人々の悪意を引きずり出していく。そんな極悪人を演じるには、菅原永二は優しすぎるというか線が細すぎると思います。
ラストシーンはすべての悪事がばれ、自殺未遂の生徒に電話越しに謝らせられた(具体的な台詞は聞こえません)のち、一人残って、隠し持っていたお菓子を食べるというものですが、ここで、「それでも私は今まで通り生きていく。」というふてぶてしさが見えれば、世界が一挙に広がったと思うのですが、私が感じたのは、そのまま死んでしまいそうな弱さだけでした。
たぶん、菅原永二の本来の人の良さが裏目に出たのだと思います。

2012年10月3日水曜日

はえぎわ「ライフスタイル体操第一」

2012年10月2日 19時30分開演 三鷹市芸術文化センター星のホール
作・演出:ノゾエ征爾
出演:滝寛式、川上友里、笠木泉、本多力、竹口龍茶、富川一人、踊り子あり、高松呼志響、鈴真紀史、町田水城、鳥島明、金珠代、井内ミワク、山口航太、萩野肇、竹田邦彦、加藤素子、佐藤賀数江、阪口美由紀、高山久子、美恵サンダ、渡邊敦子、宇津木昆台、立堀貴子、うちやまきよつぐ、石原裕鵬、ノゾエ征爾
「起きる、食べる、排泄する、寝る。これが人生の基本動作、これ以外に何をするかが人生。」と、結構、大上段に振りかぶったテーマの今回の芝居ですが、大上段に見えないところが、はえぎわの芝居のよいところだと思います。人生の何かが、様々なエピソードとして語られていき、それをつなぐように、おばあさんがバイクを押して歩いて行きます。そのすべてが、さらりと、優しく描かれていく。優しい風のような舞台でした。
今回の芝居には、公募した60歳以上の方が、多数出ていました。一部、埼玉ゴールドシアターや、楽塾に所属されている方もいるようですが、ほとんどは素人です。彼らをうまく誘導して、彼ら自身の人生がさりげなく舞台に現れるように構成したノゾエ征爾の演出力は、たいしたものだと思います。
公募グループの魅力に勝てなかったのか、出番が多くなった分だけ、芝居のテンポが遅くなり2時間が長く感じられたのは、少し残念ですが、それも許容範囲でしょう。
次回作もぜひ、見たいです。

2012年10月2日火曜日

音楽劇「ファンファーレ」

2012年10月1日 19時30分開演 三軒茶屋シアタートラム
脚本・演出:柴幸男
音楽・演出:三浦康嗣
振付・演出:白神ももこ
出演:坂本美雨、今井尋也、今村洋一、初夏、大柿友哉、北川結、重岡佐都子、清水久美子、名児耶ゆり、西尾大介、bable、柳瀬大輔、
前回芝居を見てから、2週間以上間が空いてしまったので、その間に勝手な期待が膨らんでしまっていました。Twitterに時々上がってくる稽古の進行状況などを見るたびに、何か素晴らしいものが見られるのではないかと、妄想を楽しむ自分がいました。
しかし、現実はそう甘くもなく、結構、残念な結果に終わってしまいました。
物語は、ファーレという「ファ」と「レ」しか歌えない女の子の成長の話。孤児のファーレは両親を見つけるため、うたうたいになるべく養い親のレッサーパンダ先生の元を飛び出し、音盗人として暮らすうちオーディションに参加する。やがて、そのオーディションの審査員のアロンアルファと結婚し、両親がすでになくなっていることを知るという、3幕ものです。
各幕ごとに違う女優が、ファーレを演じるのですが、幕が進むごとに魅力が半減してていくのがわかります。特に、第3幕は、歌手の坂本美雨がつとめるのですが、近くで見ると結構ブスで、芝居もできるわけでもなく、存在感がとても薄いです。
一番残念なのは、テーマソングで、ファーレが歌う都合上ファとレの2音で主旋律ができており、魅力的な歌とはとても思えません。
全体のアレンジは、ニューフォニュームなどを生かして、とても魅力的にできているのですが、そのアレンジ力をもってしても、テーマ曲の残念さは救えませんでした。
最後に、音響が台詞の時にリバーブをかけ過ぎて、台詞が聞き取りにくいのがとても気になりました。

2012年9月23日日曜日

2012年第三四半期観劇のまとめ

21012年7月から9月に見た芝居は以下の通り。
7月3日 ままごと「朝がある」
7月4日 オフィスコットーネプロヂュース「コルセット」
7月5日 可児市文化芸術振興財団「高き彼物」
7月10日 悪い芝居「カナヅチ女、夜泳ぐ」
7月11日 範宙遊泳「東京アメリカ」
7月25日 ハイバイ「ポンポン、おまえの自意識に小刻みに振りたくなるんだポンポン」
7月26日 ナカゴー「黛さん、現る」
7月30日 中屋敷法仁「露出狂」

8月4日 第16次笑いの内閣「非実在少女のるてちゃん」
8月7日 ロロ「父母姉僕弟君」
8月8日 クロモリブデン「進化とみなしていいでしょう」
8月14日 演劇企画集団ガジラ「Happy Days 幸せな日々」
8月24日 ぬいぐるみハンター「ゴミくずちゃん可愛い」
8月29日 バストリオ「Very Story,Very Hungry」

9月3日 ヨーロッパ企画イエティ#6「ウィークポイントシャッフル」
9月4日 北京蝶々「都道府県パズル」
9月6日 風煉ダンス「ゲシュタル島崩壊記」
9月7日 マームとジプシー「ワタシんち、通過。のち、ダイジェスト。」
9月14日 tsumazuki no ishi「HEAVEN ELEVEN OF THE DEAD」
9月14日 柿食う客「無差別」

以上の20本。仕事が忙しくなってスケジュールが合わず、見に行けなかった芝居もありました。
そんな中でのベストスリーは、
ハイバイ「ポンポン、おまえの自意識に小刻みに振りたくなるんだポンポン」
ロロ「父母姉僕弟君」
マームとジプシー「ワタシんち、通過。のち、ダイジェスト。」
の、3本です。
ハイバイは、相変わらず、岩井秀人の演技が魅力的でした。
ロロは、そのさわやかな語り口が印象的でした。
マームとジプシーは、繰り返し語られる台詞のリズムと波及力が新鮮でした。
次点は、ままごと「朝がある」でしょうか。マームとジプシーにも通じるものがある繰り返しの魅力がありました。

柿食う客「無差別」

2012年9月14日 19時30分開演 池袋東京芸術劇場シアターイースト
作・演出:中屋敷法仁
出演:七味まゆ味、玉置玲央、深谷由梨香、永島敬三、大村わたる、葉丸あすか、中屋敷法仁
中屋敷法仁の作・演出作品を見るのは、「女体マクベス」、「露出狂」に続いて3本目だが、今回の作品が一番おもしろかった。おもしろかった、主な原因は、台詞のスピード。台詞のスピードが少しゆっくりになったことで、台詞同士がかみ合い、芝居の展開がよりはっきり理解できるようになった。
しかし、喋りすぎではないかとは、やはり思う。あんなに喋らなくても伝わるだろうにと、考えてしまう。あの過剰な台詞は、作者の強迫観念なのだろうか。柿食う客には、キャストを総入れ替えして演じられる、オールシャッフル版という日が必ずあるが、次回は、そちらも見てみたい。

P.S.
この日は、マチネ、ソワレと1日に2本の芝居を見たが、この方法は問題がある。今回は、たまたま1本目がおもしろかったので、何とか2本目も見る元気が出せたが、もし、1本目がつまらなかったら、2本目を見る元気は出なかったと思う。できるだけ、2本観劇はやめるべきだと思う。しかし、このところ、仕事が忙しいので、そうも言っていられないかもしれない。

tsumazuki no ishi「HEAVEN ELEVEN OF THE DEAD」

2012年9月14日 14時開演 下北沢ザ・スズナリ
作:スエヒロケイスケ 演出:寺十吾
出演:津村知与支、日暮玩具、亜矢乃、西園泰博、松原正隆、宇鉄菊三、大高洋子、佐藤健、中野麻衣、舞山裕子、岡野正一、寺十吾、柿丸美智恵
死んで、ゾンビになった自分の体を、スマホを使ってコントロールしようとしたり、よりよいコントロールのためには、完全同期が必要だと叫んでみたり、なんといい加減なSF設定だと思いながら見ていたら、最後にはすべて一人の少女の妄想であり、彼女が書いていたストーリーだと言うことがわかって、一応、ツジマジがあうようにはなっている。
その最初はわけのわからない状況の中で、自由に動いて芝居をしている、コンビニの店員二人、津村知与支と日暮玩具、ホームレスの二人、寺十吾と柿丸美智恵がおもしろい。
特に、柿丸美智恵は「Happy Days」のシリアスな役柄より、肩の力が抜けて楽しそうだ。あと、妄想の原因となる少女、ワックンを演じた舞山裕子が可愛い。次回作も見てみたい。

2012年9月8日土曜日

マームとジプシー「ワタシんち、通過。のち、ダイジェスト。」

2012年9月7日 19時30分開演 三鷹市芸術文化センター
作・演出:藤田貴大
出演:伊野香織、石井亮介、萩原綾、尾野島慎太朗、斎藤章子、高山玲子、成田亜祐美、波佐谷聡、召田実子、吉田聡子
独特のアクセントで、台詞を繰り返し繰り返し語っていくことで、独特の感覚を客席まで広げていく感じがとてもおもしろいです。
独特のアクセントを使う劇団は、「地点」とか「チェルフィッチュ」などがあるが、この劇団は、その台詞回しに感情を乗せて、それがどんどんエスカレートしていくところがほかとは違うとことろです。100年続いた祖母の家が、区画整理で取り壊された。自分たちが住んでいた、一度は捨てたと思った家が亡くなることの喪失感、悲しみが台詞が繰り返されるたびにだんだん大きくなり、それが次第に観客にも広がっていく。今までに感じたことのない一体感でした。
次回公演も是非、見たいと思います。

2012年9月7日金曜日

風煉ダンス「ゲシュタル島崩壊記」

2012年9月6日 19時30分開演 調布市せんがわ劇場
作:林周一 演出:笠原真志
出演:河内哲二郎、吉田佳世、田中晶、リアルマッスル泉、吉成淳一、荒井クルミ、松尾容子、溝口明日美、南波トモコ、本山三火、荒巻大道、林周一、有馬則純、笠原真志、関根真理
3本も残念な芝居が続いた後だったので、「劇団名もかっこいいし、結構昔からやってるらしいから」と、勝手に期待して見に行きましたが、結果は、「微妙」というところでしょうか。
手作り感満載の段ボールを素材にした装置、小道具、衣装をはじめとして、いい大人が嬉しそうに装置を作り、稽古をして、やがて初日を迎えて、楽しく舞台の上ではしゃぐ。
とてもほほえましく、温かい気持ちにはなるのですが、私には若干の違和感がありました。芝居をする人は、「わかる人だけがわかればいい。これが俺の表現だ。」と言いつつ、「俺の表現を、すべてにの人に理解してほしい。いや、俺の力で理解させてみせる。」という、欲求があると思います。いわゆるハングリー精神というやつです。それが、技術以上に、舞台を輝かせたり、思わぬ感動を呼んだりすることもあると思います。
風煉ダンスは、もっと大人で、本当に好きな人だけが見に来てくれればいいと思っているようです。余分な欲がないというか、芝居を作る課程を楽しみ、舞台の上でそれをお客さんと共有するを楽しむ。すてきなことだとは思いますが、意地悪く見れば、「大人のお遊戯会」ともいえると思います。
その自己満足さ加減が、今の私に違和感を感じさせる原因だと思います。
次回公演を見に行くかどうかは、微妙です。

2012年9月5日水曜日

北京蝶々「都道府県パズル」

2012年9月4日 14時30分開演 王子小劇場
作:大塩哲史
演出:登米裕一(キリンバズウカ)
出演:八木橋達郎、中田麦平、鶴巻公江、渡辺樹里、鴨下亨、田渕彰展、井ノ本慎平、緒方晋、峰仁志、中村靖、宗像志保、高橋悠、阿久津紀夫、岡本篤、瀬古俊樹、森田祐志、薦田二郎、村上誠基
笑いの内閣と同じように、私の嫌いな政治的な問題をテーマとしてディスカッションするような演劇。
どうして新聞やテレビWEB上で書かれているような討論を、舞台で聞かなくてはいけないのか、それがまず理解できません。ストーリーは、「道州制を周知するためのフェスティバルのの内容を決めるため、各地から選ばれた委員が、イベント運営会社のコントロールや、反対派の意見にも惑わされず、福島を救うためにみんなで考えようとする。」といったものなのですが、政治的な意見はどれももっともらしいだけに、その主張だけが耳に入ってきてうるさいだけです。役者の力量がかなりないと街頭演説と変わりないものにしか聞こえません。主張だけが飛び交って、なんのイメージも膨らまない寂しい舞台でした。
北京蝶々は、二度と見ないと思います。
この芝居を含めて、連続3本外れを引いてしまいました。前評判や、劇評などは当てにしないで自分の勘だけで、予約を入れる。芝居は自分で見るまでわからない。と、信じてきましたが、少し弱気になってきました。
次の劇団に期待です。

ヨーロッパ企画イエティ#6「ウィークポイントシャッフル」

2012年9月3日 19時30分開演 下北沢駅前劇場
作・演出:大歳倫弘
出演:酒井善史、角田貴志、土佐和成、安藤真理、花本有加、福井菜月、向井咲絵
ヨーロッパ企画という名前は、いろいろな芝居で客演している役者の所属先としてよく聞く名前なので、チケットをとってみました。外部から呼ばれることが多い劇団は、たぶんよい芝居をするだろうという読みでした。
残念ながら、その読みは完全に外れました。慌てて調べてみたら、「イエティ」というのは劇団内ユニットで、本体とは別の人が作・演出されているようです。
芝居は、ザット(that)と呼ばれる怪物が怖くて外出できず、通販で暮らしている4人姉妹の家に、謎の男が車が故障したといって現れるところから恥じます。父親はザットに殺され、唯一ピザの配達人だけがいろいろなものを届けてくれる。という導入部分から、シリアスにも、ホラーにも、サスペンスにもいかず、ひたすら緩く通販の商品を喜々として説明しまくる4人姉妹。
しかし、その4人姉妹を演ずる女優がそろいもそろって、ひどくて見ていられない。台詞は、棒読み、体は動かない。ストーリーがどうのこうのいう前に、見る気が全くしないのです。まあ、ストーリーも突っ込みどころ満載ですが、そこまで気が回りませんでした。
ヨーロッパ企画本体の芝居も見てみたいものです。

2012年8月30日木曜日

バストリオ「Very Story,Very Hungry」

2012年8月29日 19時30分開演 横浜 BankArt Studio NYK
作・演出:今野裕一郎
出演:狗丸トモヒロ、橋本和加子、八木光太郎、深川奈緒美、伊藤羊子、平石はと子、秋山莉紗、今野裕一郎、児玉悟之、酒井和哉、石田美生、砂川佳代子、萬州通擴、小林光春
海外で芝居でも見ようと入ったら、それが前衛的な芝居だったりして全く訳がわからず、せめて言葉がわかれば少しは理解できておもしろいかどうかの判断くらいはできるのに、それもかなわず意味不明のまま劇場を後にするという経験が何度かありましたが、日本でも同じ目に会うとは思いませんでした。
もちろん、台詞は日本語なのでいっていることはわかりますが、台詞が理解できたところでおもしろくなるものではないことがよくわかりました。おもしろいと思うことと、台詞の意味が理解できることは、別の次元の話なんですね。
稽古の時に、演出家は役の性格や、位置づけ、なぜこのような台詞の言い方をするのか説明しながら芝居を作っていき、役者はそれを受けて役作りをしていったと思うのですが、舞台に現れたものは、棒読みの台詞と、意味不明の動作、全くつながらず何のイメージも広がらない細切れのシーンの羅列でした。
会場もこの芝居にはよくなかったと思います。昔の倉庫をそのままホールにしたので、コンクリート打ちっ放しの床、壁、柱には「坪荷重 20t」と大きく赤字で書かれている実にリアリティあふれる空間です。ここでは、すべての演技が嘘にしか見えません。普通の劇場でやった方が、まだ意味ありげに見えたかもしれません。実にお尻が痛いだけの90分でした。

2012年8月25日土曜日

ぬいぐるみハンター「ゴミくずちゃん可愛い」

2012年8月24日 14時30分開演 王子小劇場
作・演出:池亀三太
出演:浅利ねこ、満間昂平、川本直人、江幡朋子、佐賀モトキ、富山恵理子、石黒淳士、猪股和麿、平舘宏大、竹田有希子、浅見紘至、工藤史子、橋口克哉
2回目のぬいぐるみハンター観劇。相変わらず、ポップでポジティブ、前向きな作風は好感が持てます。残念だったのは、モノローグがものすごく多くて、それがブレーキとなって、スピード感がなかったことです。モノローグはどうしても説明的になってしまうので、退屈してしまうし、景色が広がらないので苦手です。
役者としては、漫画の「お坊ちゃま君」を彷彿とさせるゴウトクジの浅見紘至や、その秘書クニマツの工藤史子、ボディガードのコムスビ、橋口克哉がおもしろかったです。とくに橋口克哉はその体のでかさで、演技力以前に独特の存在感を醸し出していました。
この劇団の魅力は、ポップ、ポジティブ、スピードだと思うので、そのうちの一つがかけたこの公演は、少々残念です。

演劇企画集団ガジラ「Happy Days 幸せな日々」

2012年8月14日 19時開演 笹塚ファクトリー
作・演出:鐘下辰男
出演:千葉哲也・柿丸美智恵・とみやまあゆむ・皆戸麻衣・山口航太・寺十吾・塩野谷正幸
小劇場界のベテランのがっぷり四つ相撲に若い俳優が力を振り絞って挑む、見応えのある舞台でした。びっくりしたのは、直接的な身体接触(髪の毛を引っぱる、つかみかかる、投げ飛ばす)の多さと、その迫力です。もちろん演技でやっているのでしょうが、その荒々しい迫力は、先日のナカゴーの乱闘シーンがままごとに思えるくらいでした。
演技は楽しめたのですが、ストーリーがいまいちよくわかりませんでした。